サントリー「ボスマート」のビジネスモデル図解
今回は、サントリーが法人向けサービスとして展開している「ボスマート」のビジネスモデルを図解したいと思います。
「ボスマート」は、オフィス内の自販機横に設置された什器から軽食を購入可能にすることで、オフィスワーカーの利便性を向上させるサービスであり、商品補充と金銭管理を通常の自販機オペレーションの範囲で行うというビジネスモデル。
サービスをご存知ない方は、こちらの紹介動画から。
公式サイトはこちらになります。
そしてビジネスモデルを図解したものがこちら。
なお、ここではシステム思考の「ループ図」を使ってビジネスモデルを解説していきます。以下のリンクでは「ループ図」および、「ビジネスモデル」について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
ここからは「ボスマート」のビジネスモデルの、
食品販売で顧客の利便性を高める
飲料に対するクロスマーチャンダイジング
特許を取得して模倣困難性を高める
という3つのポイントについて解説します。
①食品販売で顧客の利便性を高める
ボスマートも、別記事でご紹介した「社長のおごり自販機」と同様に法人向けサービスのひとつ。ターゲットとしているオフィスワーカーなどに対する付加価値をどう高めるかが、競争のカギとなります。
そこでサントリーが試みたのは、食品の販売。オフィスグリコやヤクルトレディさんに対抗するようなサービスです。
しかし本当のライバルはコンビニなんです。これまでコンビニに多くの客を奪われてきた自動販売機。オフィス内などの屋内(インロケ)設置の自販機の優位性は、コンビニよりも消費者に近いということ。
コンビニが気軽に行ける距離に無かったり、移動に時間がとられるのが嫌な場合には、自販機の飲料と同じ感覚で軽食が買えると便利ですよね。
このように食品を消費者の近くに置くということで、利用者の利便性を高めています。
②飲料に対するクロスマーチャンダイジング
クロスマーチャンダイジングとは、関連性の高い商品を同じ売り場で提案するマーケティング手法のこと。
例えば、コンビニでアルコール売り場の近くにおつまみが置いてあったりしますよね。これでお互いに売り上げを伸ばす効果を見込めます。
ボスマートでも同様に、
飲料と相性の良い商品
飲料が必要になる商品
などをラインナップに加えることで、相互の売上向上効果を狙っています。
これは明らかに効果がありそう。「クッキーが食べたいけど口が渇きそうだからコーヒーも買っていくか」とか「お茶だけ買うつもりだったけど、あんぱんを見たら食べたくなってきた」とか。
食品だけでなく、飲料の売り上げも伸ばしてくれる一石二鳥の作戦です。
③特許を取得して模倣困難性を高める
ボスマートでは自販機の余っているボタンを利用することで、軽食の決済システムを構築しています。
…これって、競合他社でも簡単に真似できそうですよね?
実際に公式サイトの情報では11,000台以上の導入実績(執筆時点)があるので、需要もあることが証明されています。なので、真似をする競合も出てくるはず。
でもサントリーは特許を取得しているので、競合他社は全く同じ方法で真似ることはできないんです。
そのため、同じように軽食を販売しようと思っても、ボスマートとは全く別の方法を開発しなければならず、他社の参入障壁になっています。
ボスマートのビジネスモデルまとめ
改めて、ボスマートのビジネスモデルを俯瞰してみましょう。
相性の良い軽食と飲料を一緒に売ることで、販売の相乗効果を生み出すビジネスモデル。
自販機横の什器に軽食を置き、決済は自販機を使うことで、特別な装置を不要としています。しかも真似されないように、特許も取得済み。
現場のオペレーションでは、飲料や軽食の在庫を補充するだけなので、負担も少なくて助かりますね。
なお、このnote記事の詳細版はブログで公開しています。ブログ版の記事では、この「ボスマート」を開発した、サントリーの森さんのインタビューを交えながら解説しています。気になる方はぜひ下記リンクよりご覧になってください。
𝕏でもビジネスモデルについて発信中なので、こちらもご覧ください。