サントリー「社長のおごり自販機」のビジネスモデル図解とその仕組み
今回は、サントリーが法人向けサービスとして展開している「社長のおごり自販機」のビジネスモデルを図解したいと思います。
社長のおごり自販機は、社員が2名で一緒に飲料を飲むという行為を通じて、社内コミュニケーションを活性化させるサービスであり、飲料代として企業側がサービス料金を支払うという仕組みになっています。
まずはサービスをご存知ない方もいるかもしれないので、こちらの紹介動画から。
公式サイトはこちらになります。
そしてビジネスモデルを図解したものがこちら。
なお、ここではシステム思考の「ループ図」を使ってビジネスモデルを解説していきます。以下のリンクでは「ループ図」および、「ビジネスモデル」について詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
ここからは「社長のおごり自販機」のビジネスモデルの、
ターゲットを法人に絞りこむ
提供価値は社内交流の活性化
収益モデルがB2B2EからB2Bに変化
という3つのポイントを解説します。
戦略その1:ターゲットを法人に絞りこむ
社長のおごり自販機では、ターゲットを法人顧客に絞り込んでいます。
もちろん法人顧客にも、商業施設や屋内レジャー施設、観光地など様々なカテゴリが存在しています。社長のおごり自販機では、特にオフィス内や工場内に設置する自動販売機に照準を合わせているのが特徴です。
ちなみに、近年はコンビニやドラッグストアに客を奪われてしまい、路上や駐車場脇に置かれている自販機は減少傾向にあります。そのため、屋内に設置する自動販売機の競争が激化しています。
自販機オペレーターのビジネスモデル図解については、以下の記事を参照ください。
戦略その2:提供価値は社内交流の活性化
社長のおごり自販機では、飲料を売るのではなく「社内コミュニケーションの活性化」に値段を付けて売っているのが面白いところ。
社長のおごり自販機は、従業員は無料で飲料がもらえますが(つまり、社長のおごり)、二人同時に自販機を操作しなければいけません。しかも10秒以内に!
このような仕組みで、従業員が声を掛け合い、そこにコミュニケーションを生み出します。
コミュニケーションが生まれれば、それが社長(経営者)に対する価値提供になり、顧客が対価を支払う動機となります。
戦略その3:収益モデルがB2B2EからB2Bに変化
社長のおごり自販機では、お金の流れも通常の自販機とはちょっと違います。
前述の従業員のコミュニケーションが生まれたことに対して、どのように対価が支払われるのでしょうか?
通常のオフィス内設置の自販機は、
サントリーが企業に自販機を設置する(Business to Business)
企業が設置した自販機に従業員がお金を払う(Business to Employee)
ということで「B2B2E」の収益モデルとなります。
しかし社長のおごり自販機は、
企業がサントリーに対価を支払う(Business to Business)
という「B2B」の収益モデル。より直接的な収益モデルに変化しています。
企業は、社内コミュニケーションが生まれれば、飲料2本分の料金を支払います。
それにしても、コミュニケーション1回が飲料2本分の値段というのは、高すぎず安すぎず絶妙ですね。しかも飲料の現物も提供されるわけですから、必ず元は取れます。
社長のおごり自販機のビジネスモデルまとめ
改めて、社長のおごり自販機のビジネスモデルを俯瞰してみましょう。
自販機を使って「社内コミュニケーションに課金する」という仕組みは面白いですよね。さらに、通常の管理オペレーションには一切手を加えないというのも、このビジネスモデルの美しさです。
なお、このnote記事の詳細版はブログで公開しています。ブログ版の記事では、この「社長のおごり自販機」を開発した、サントリーの森さんのインタビューを交えながら解説しています。気になる方はぜひ下記リンクよりご覧になってください。
𝕏でもビジネスモデルについて発信中なので、こちらもご覧ください。