不思議の国のアリス
「不思議の国のアリス」といえば、ルイス・キャロルの傑作児童文学。知らない人はいないだろう。ちなみに僕は、これを英語で読もうと思って洋書で手に入れたはいいものの、意外と難しくて途中で挫折した経験がある。
もう一度挑戦しようとは思わない。
僕の話はともかくとして、この作品はこれまで何度か映画化されているが、ディズニーしか知らない人も多いはず。
実は、「不思議の国のアリス」の映画化作品の最古のものはサイレント映画で、1903年に作られたイギリス映画 "Alice in Wonderland" だ。
120年前のアリスの実写映画・・・第一次世界大戦が1914年からだから、それよりも前である。そこまで詳しくはないが、映画というメディアの黎明期が1890年ごろなので、この "Alice in Wonderland" は映画の歴史の中でも最初期のものということになる。
時間にすると10分にも満たない作品だが、貴重なのではないかと思う。
YouTubeでも観れるので、動画を貼っておこう。ピアノの音楽が付けられているけれど、元々がサイレント映画だから、音声をオフにすると雰囲気が出る・・・気がする。
アリスが小さくなるシーンやチェシャ猫のシーンなど、どうやって作ったんだろう?僕らが現代の目で見て「合成でしょ」と言うのは簡単だけど、もう一度言うが、この映画は120年前のものだ。それを考えると、当時こういう映像が作れたのかという驚きがあって面白い。
1903年といえば、チャールズ・チャップリン(1889年生まれ)は14才。ロンドンでの貧乏暮らしの中、舞台で役者として腕を磨いている頃か。
彼がこの映画を観た可能性は低いが、もし観たのなら、アリスは将来の喜劇王に多少なりとも影響を与えたかもしれない。
さて、少し話を変えて、ここであえてベタなことを言おう。
これは、考えるまでもなく当たり前のことなのだが、このフィルムに写っている人たちは皆、もうこの世にはいないのである。そう思いながら観ていると、なんとなく変な感じというか、なんともいえない気持ちになる。
大昔の映像を見るときによくそう感じるのは、動いているところを見ると、"最近の人" のように感じるからだろう。
逆に、歴史上の人物としてしか知らない有名人を映像で見たときも、違う意味で変な感じがするけど。ピカソとかダリとか。
ダリなんか普通にテレビのトーク番組に出てたりするし。Youtubeに動画あるので探してみるといい。美術の本や教科書でしか見たことのない人が実際に動いて喋ってるのを見るのは、最初は強烈な違和感がある。
閑話休題、話をアリスに戻そう。
知っている人も多いと思うが、「不思議の国のアリス」は、作者であるルイス・キャロルが知人の娘に聞かせるために作った物語が元になっている。
この娘の名前がアリス・リデル(Alice Liddell)といって、原作の主人公アリスのモデルになったと言われているのだが、Wikipedia 情報によると、彼女は1852年生まれで亡くなったのは1934年・・・つまり、映画公開時は存命だったわけだ。
自分をモデルにした女の子が主人公の映画を、彼女は観たのだろうか。
観たとすると、どう思ったのだろう。
想像が膨らむ。
最後に。
映画では、たまに「2大キャラクター夢の共演」的な作品が出てくる。
エイリアンVSプレデター
フレディVSジェイソン
ルパン三世VS名探偵コナン
など
児童文学を代表する2大スターといえば、「不思議の国のアリス」のアリスと「赤毛のアン」のアンだろう。
アリスとアン・・・この魅力的な少女2人が共演する映画を作ったら、面白そうだ。
誰か、作ってくれ。