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【学びを遊戯王へ】認知特性〜「さっきテキスト読みましたよね?」と言われて悩むあなたへ〜【神経心理学】


◼️はじめに

皆様、noteをご覧に来ていただき誠にありがとうございます。
日々の学びの中から遊戯王に繋がるロジカルを提供できたらと筆をとっています。雑学本を読みくらいの軽い気持ちで読んでいただきたく存じます。
その上で、悩んでいる誰かの何かの一助となれれば幸いです。

◼️言語優位の世界観

日常の中で、「部活で大会に優勝しようとする」「仕事で新たなプロジェクトに参加する」など、何かを成す場合において、「実行しようとしていることや考えていることを言語化しろ」という要求が監督・指揮者から言われた経験はないでしょうか。
遊戯王の競技シーンでも、デッキを構築する際に「○○の採用理由は?」「この場合の対応プランは?」という会話がよく飛び交います。
その言語化を行なう必要があると認識し、実施しているも多いと思いますが、そもそもその行為自体を苦手と感じる人もいます。

幼少期の母国語習得は思考をするためであり、思考を補助するために言語化するというのは至極自然な行為と言えます。
そのため、思考を補助ための言語化を"あえてしない"というのは、他者から見たときに「意思疎通を図る行為を怠っている」と思われてしまってもおかしくはありません。

しかし、世界には言語とは別のものを用いて思考をする人がいます。「そんなのはごく一部の人だけでは?」と思う人が多いと思いますが、意外とそうでもないと言うのが今回の話しです。

言語優位の世界観はたまたま歴史が紡がれる中で今現時点でそうなっているだけかもしれません。例えば「結論から先に書いて詳細はその後に」と言う、論文を書いたことがある人なら一度は通る道も、「1970年代にベトナム戦争からアメリカへ帰還した若者が大学に流れ込み、大量のエッセイを短時間で採点する必要があったため」のようです。この背景を知るまでは私も結論が先に来た方がアカデミックであると認識しておりました。
"そう言うものだ"と思わせるは一世代分の時間さえあれば常識というものを変えれてしまうわけです。

参考:『「論理的思考」の文化的基盤4つの思考表現スタイル』画像にリンクあり

◼️"文字を読む"という意味

そもそも文字を読むと言うことは「文字として認識し、読み、どう言う意味で使われており、指し示す本質を理解する」という一連の流れを示しています。

普段過ごしている世界には情報が溢れかえっています。そんな多種多様な情報からわざわざ情報を欠落させ、言語化を試みています。「百聞は一見に如かず」ということわざがある様に、言葉はある一面を切り取って記号化しただけのものとしてとらえることができます。
その欠落した言葉という情報から、受け手は元の情報を謂わば解読を強いられているわけです。

解読をする、つまり元の情報に戻すためには、元の情報の認識あるいはそれに繋がる情報が欠かせません。穴を埋めるための情報は時に感情であったり、常識であったり、経験であったり空気であるわけです。心理学ではこのことをスキーマと呼ぶので以下そう記します。

参考:『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』画像にリンクあり

◼️『カードのテキストを読む』ということ

カードのテキストには色々な情報が含まれています。デュエル中にそれを読むという行為は、コストは何か、制約はないのか、など細かい点を確認する行為も含まれますが、そもそも初めて見るカードの場合もあります。相手に勝つために思考をしている最中に別の新しいことを念頭に置きつつ思考を再開するある種異様な状況を平気で行なうわけです。
これを聞いただけでも割りと高度なことを瞬時に行なっていることが伺えますが、さらに認識を広げる必要がある事項として「文字を読むのは負荷がかかる」と言う点です。

「文字の認識障害(ディスレクシア)」という障害があります。文字そのものを認識するのが難しい方です。「言葉は情報を欠落させている」と述べましたが、テキストには新しい情報が付与されています。それがフォントです。

フォントは文字の見た目を司っています。デザインの中には読みやすいものもあれば読みづらいものもあります。例えば明朝体の様に先端があるフォントに対し、潜在的に怖いと認識する人もいます。また他にも、各お札のフォントデザインの違いはユニバーサルデザインを意識しているようで、知らず知らずのうちに文字にも情報量が詰まっているということです。

世の中には少しでも読みやすいフォントを作成する人たちもいます。この取り組みによりフォントを変えただけで今まで読むことができなかった本を読むことができるようになった人もいるようです。
※興味がある方はExcelのフォントでUDデジタル教科書体を使用してみてください。

たかがフォントという言うのは少々危ういことを知っていただいた上で遊戯王カードのテキストを見てみましょう。

非常にいいテキストですね。何をどうすればいいか一目でわかります。
遊戯王のテキストにもスキーマが仕込まれています。「1ターンに1度しか使用できない」とありますが、これはそのターン中に発動が無効になったとしても再度使用することができないということを際しています。また、有効素材やリンク素材として"墓地"に送られないと発動ができなかったり、回復した後に特殊召喚をするかしないかを選択できることを"特殊召喚できる"で表現しています。度々コンマイ語として揶揄されることはありますが、プレイヤー同士のスキーマとして成立しているのであればそれは特に不自然な話しではありません。

遊戯王のテキストの感想では「効果が複数あった方がより多彩により多様にプレイできるため、文字が小さくてもいっぱい書いてある方がいい」という人もいれば、「シンプルで短い方が制約も少なく分かり易く強い」という人もいます。もしかしたらこれは、スキーマを前提とした認知負荷から来る固有の差異が発生させている可能性はあります。

この負荷を軽減させる取り組みとして、マスターデュエルはデジタルなのでフォントを変更できる機能があれば誰かの助けになるのではないでしょうか。

参考:『奇跡のフォント』画像にリンクあり

◼️認知特性

ここまでで人が言語を理解しするにはスキーマが重要である認識を持っていただけたかと存じますが、情報はインプットだけではなく、アウトプット場合もあり、その方法は言語を媒介にするだけではありません。
無意識のうちに苦手とするイン・アウトプットの方法を選んでいると学習効率も低くなり、スキーマの獲得も遅くなるのはご理解いただけるかと存じます。

冒頭で言語優位の世界観を示しましたが、文字を中心に思考をする人がいれば、Googleの画像検索やInstagramのショート動画を見るような感覚で情報を処理する思考する人がいたり、実際に存在するものに集中せず抽象的なイメージで思考をする人がいます。
「"エジプト文明"と言った時にイメージするものは?」と聞かれた際、読者の方は何をイメージするでしょうか。
太いゴシック調の文字が金色塗られた"エジプト文明"という文字でしょうか。広大な砂漠にピラミッドやスフィンクスがある画像や映像でしょうか。エジプトの不思議な音楽が脳内再生されたでしょうか。はたまたアテムの顔と共浮かび上がるかつてカードを遊んだ友人の顔でしょうか。

見る・聞く・読むといったインプットと、それを理解・整理・記憶する処理、さらにそれらをもとに書いたり話したり表現するまでの、一連の方法は人によって異なる偏りがあります。これを、認知特性と言います。

以下は認知特性の紹介していますが、先ほどの"エジプト文明"の下りはいわば念能力診断でいうところの水身式です。文字をイメージしたなら言語優位、映像は視覚優位、音楽は聴覚優位、過去の心象風景は特殊系(紹介にはありません)といった具合です。
詳しく知りたい方は「本田真美 認知特性」で検索をかけてもらえればお試しで診断ができます。ちなみに私はファンタジーでした。念能力診断っぽくてちょっと楽しいので気軽にやってみるといいです。

【認知特性の優位とタイプ】

視覚優位:目で見た情報を処理するのが得意なタイプ
言語優位:読んだ情報を処理するのが得意なタイプ
聴覚優位:耳で聞いた情報を処理するのが得意なタイプ

大きな3つの傾向をそれぞれ2つずつ、以下のような6タイプに分かれます。

  • 視覚優位:カメラタイプ
    写真のように、2次元で捉え思考するタイプ。目で見たものを写真や絵のように記憶するのが得意。

  • 視覚優位:3Dタイプ
    空間や時間軸を使って考えるタイプ。目で見たものを空間的、立体的に記憶するのが得意。

  • 言語優位:ファンタジータイプ
    読んだり聞いたりした内容を映像化して思考するタイプ。文章を読んで情景を想像しそれを記憶するのが得意。

  • 言語優位:辞書タイプ
    読んだ文字や文章をそのまま言葉で思考するタイプ。文章を図式化・抽象化して整理し記憶し思考するのが得意。

  • 聴覚優位:ラジオタイプ
    文字や文章を「音」として耳から入れ情報処理するタイプ。聞いた音声とそこに含まれる情報をそのまま覚えるのが得意。

  • 聴覚優位:サウンドタイプ
    音色や音階といった音楽的イメージを理解・処理できるタイプ。聞いた情報や音をその音のまま認知するのが得意。

◼️「さっきテキスト読みましたよね?」と言われて悩むあなたへ

テキストを読むことに悩んでいた方も解決の糸口として、取っ掛かりはつかめたと思います。そして、これまでのことを踏まえたとしても、結局自分自身でトレーニングをして対策を取るしかありません。努力が足りないとかではなく方向性に誤りがあっただけのことです。

事前にできることとして、テキストを読んでも頭に入らない人が、同じようにテキストを読んで覚えるのは難しいと思います。先述した認知特性は、イン・アウトプットの易さに個人差があり、それは短所ではなく、優位性です。優位なものを自覚し、優位な分野で情報を取り入れることが重要です。

悩んでいる方は言語優位ではないと思うので、まずは動画を検索することをお勧めします。
単純に展開を動画で見て覚えることができれば視覚優位と言えるでしょう。動画がなかなかなければ実際にカードを使って自分の手で動かしてみて視認するのが良いかと存じます。
また、世の中にはしっかり効果まで音読してくれている人もいるので、その人の解説が分かり易い場合は聴覚優位と認識し、わかりづらいテキストや長いテキストがあった場合は、遊戯王データベースを開いて読み上げ機能を用いるのが良いでしょう。
※読み上げ機能一部の環境では標準で搭載されていますが、ない方はGoogle chromeのストアから読み上げ系の拡張機能をダウンロードしてください

他にも、自分の優位を理解してくれる人に、解説してもらうなども一つの手だと思います。
とは言え、解説してくれる人が別の優位者である可能性は十分あります。おそらくその人の言っていることを認識するのは難しいでしょう。しかし、認知特性は0-100で決まるわけではなく、グラデーション(言語20、視覚65、聴覚45の様に)で存在しているため、より聞きやすい解説者を探して色々な人にどんどん聞いてまわるのも手です。

対戦中に吸収が必要な場合は、視覚優位者なら実際にカードがどう動くかを物理的に動かして(対戦相手に迷惑にならない程度の所作で)映像でとらえるのがよいでしょう。
また、聴覚優位者は自分で音読してしまえばいいと思います(対戦相手に迷惑にならない程度に)。先述の通り、私はファンタジー(言語優位者)のようですが、おそらく聴覚優位よりだと思います。なので、テキストをしばし音読して、相手に会話を振りつつインプットの幅を広めたり、コミュニケーションの取っ掛かりにすることはしばしあります。

◼️最後に

対戦している相手がテキストを何度も読み直すのを許容してあげましょう。とか、付与されている効果に気づかない場合に教えてあげましょう。とか、効果をすべて音読してあげましょうとは言いません。
目の前にいるのは敵であるのは変わりありませんので、すべてを丁寧にしてあげる必要はないと思います。ただ「さっきテキスト読みましたよね?」というような心のない一言が本noteにより減ることを願います。

少しでも本noteがお役に立てていたら幸いです。
他にもいろいろnoteを書いておりますので、よろしければ覗いていただければ幸いです。いいねフォローをしていただけますと私が楽しくnoteを書けますのでぜひよろしくお願いいたします。
それではまたの機会に。


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