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シン・ニホン

安宅和人さんの「シン・ニホン」読書会を有志で開催する。昨年2月に上梓されたもので、コロナショックの直前である。当然、本誌の内容はコロナ禍を想定した内容にはなっていない。むしろ、コロナによってこの書籍の重要性がクローズアップしたような気がする。

疲弊する地方経済

あれから1年余が経過し、我々は相変わらずコロナ禍中にある。デフレはインフレに転じるどころか、出口のみえない日々が続いている。政府の経済対策により、企業の倒産件数や失業率は今のところ増加は抑制されている。しかし、この状態が続けばいつかは企業も体力を失い倒産が相次ぐかもしれない。それに引きずられる形で失業率も上昇し、自殺者の数も増加するという負のスパイラルに突入する恐れがある。

地方自治体は目先の対応に追われ、アフターコロナへ向けた取り組みは当面先送りになっているような気がする。プライマリーバランス黒字化のもと、地方公務員の数も年々減らし、パートアルバイトでかろうじて機能していたところにコロナがやってきたからである。

想定外のパンデミックで行政の体制がいかに脆弱なものであるかということをいみじくも証明してしまった。

この先の国のカタチを考える

私たちはコロナ禍はそのうち収まり、またかつてのような平和な日常が戻ってくる、そんな淡い期待を抱いているのではないだろうか。しかし、この先は想定外を想定しなければならない時代が到来している。

我々は毎年パンデミックがやってくる、あるいはこれまで以上の災害も頻繁に起こる、そんな日常を前提に暮らしてゆかねばならなくなる。

また、長く続く経済の低成長に対する対応も考えてゆかねばならない。全ての産業はかつての成長期の幻想を捨て、ゼロベースで考えねばならない。

読書会が目指すもの

読書会は本誌を題材に、私たちの身近な生活、仕事、まちづくりなどこれまでの延長線上の考えを一旦リセットし、「シン・ニホン的世界観」から見直し、これまでの課題を別の視点から考えてゆく機会としたい。

また、ただの勉強会で終わるのではなく、「シン・ニホン読書会アンバサダー」活動を広く展開し、一人でも多くの方にこの考え方を広めてゆくこととしたい。

この活動は、「飛騨SDGs研究会」の分科会として位置づけ、継続的に活動を進めてゆくつもりだ。なぜなら、シン・ニホンは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)とSX(サスティナブル・トランスフォーメーション)の2軸でとらまえる世界観を前提としたものだからである。

この世界観を知らなくとも、私たちの日常は急速に変わってゆくはずである。しかし、既に変わりつつある世界を見据え、私たちはその先の未来に向けたビジョンを持つべきであろう。

今より少しはマシなこのまちになるために。

そして、未来を担う世代のひとたちに恥じぬ行動を。

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Osamu Arakawa
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