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DXにおいてITは手段?目的?

こんにちは。
税理士法人上坂会計 DXメンターチームの笹岡です。

先日、とあるブログを読んでいたところ、DXについて以下のようなことが書かれておりました。

DXにおいて、「ビジネスの目的」や「製品のあり方」は二の次。
ソフトウェアやハードウェア等のITシステムについて理解を深めた上で、ITシステムを前提にビジネスプロセスを根本から作り直すことの方が優先される。

これを読んで、個人的には面白い問いだな、と思いました。

つまり、DXにおいて「ビジネス(=業務目標)」が優先されるのか、「ITシステム」が優先されるのか、についての話です。

皆さんが、どちらが優先されると思いますか?

先ほどご紹介した文章は、恐らくITサイドの意見だと思うのですが、逆のビジネスサイド(=経営層、業務担当者など)の意見は、恐らく逆になると思います。恐らく、以下のように考えている人が多いと思います。

ITはあくまで業務目標を達成するための手段
IT化を目的にするのは本末転倒

ここで分かるのが、ITサイドとビジネスサイドで、DXに対する認識がズレている、ということです。DXは、ITサイドとビジネスサイドが協力して推進していくことが重要なので、この認識のズレは結構致命的であるように感じます。

弊社は会計事務所であるため、私自身会計事務所の職員として会計業務を行っているビジネスサイドの人間なのですが、一方で社内外のDX推進を業務として行っているITサイドの人間でもあります。

そういう立場の人間としては、ITサイドの言い分もビジネスサイドの言い分も、言わんとするところは分かります。

ITシステムをただの手段であると言い切ってしまうと、それはただのデジタル化であって、DXとは言えません。DXにおいては、ITシステムを前提にビジネスを作り上げることが求められます。そのため、ビジネス変革の理想像、ゴールを設定した後で、どういうITシステムを活用するかを考えるのではなく、ゴール設定の時点でITシステムを想定しておく必要があります。
その意味では、冒頭で紹介した言い分も正しいと言えます。

ただ、ビジネスサイドとITサイド、どちらが主でどちらが従であるかと問われたら、間違いなくビジネスが主であると思います。

なぜならば、企業が業務を行う理由は、顧客に製品サービスを通して価値を提供することにあり、その価値を創出し、顧客に提供する活動こそがビジネスであり、それを考えるのがビジネスサイドであるためです。

ITシステムそのものは、顧客への提供価値ではありません。
ITシステムによって、企業が提供する価値を高めたり、より効率的に顧客へ届けることができるようになったりしますし、それが他社との差別化になることもありますが、価値そのものではありません。

企業が提供している製品サービス自体が、顧客にとって価値のないものであれば、それがどれだけ高い品質であったとしても、どれだけ早く手軽に提供されたとしても、顧客にとっては価値が無いことには変わりはありません。

ビジネスサイドで、顧客の欲しいものは何かを考え、そのニーズを満たすためにどのような価値を提供するべきかを考えることが主であり、対する従としてそれをITシステムを使ってどのように実現するかを考える、これがDXの正しい捉え方なのではないか。
私はそう考えております。

ただ、繰り返しになりますが、ゴール設定時点でITシステムの活用も組み込んで考えることを忘れてはいけません。顧客にどのような価値を提供するかを考える上で、デジタル技術を掛け合わせることで、新しい価値を創出できないか、または今提供している価値を高度化できないか、はたまた内部の業務プロセスを効率化できないか、といったことを思い巡らせながら、あるべき姿を描かなければ、DXにはなりません。

だからこそ、深い業務知識を持っており、かつITに関する知識も持ち合わせたDX人材を社内に作っていくことが、DX実現においては重要なのです。


今回の記事が、少しでも皆さんのDXの理解に役立てば幸いです。
弊社でも、企業のDX支援をお手伝いさせていただいております。DXについての相談を常時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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