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非エンジニアにとってのプログラミングは「ラストワンマイル」を埋める

こんにちは。
税理士法人上坂会計 DXメンターチームの笹岡です。

IT会社以外の事業会社で、社内のDX担当に任命された人は、一度はこんなことを考えたことがあるのではないでしょうか。
「プログラミング、勉強しないと駄目なのかな?」

中小企業においては、元々は本業の業務をやっていた人が、兼任でDX担当となる場合が多いでしょう。元々そういうことを仕事にしていたわけではなく、そして社内に教えてくれる人もいないのに、プログラミングを覚えないといけないのだとしたら、相当なプレッシャーですね。

今回は、非エンジニアにとってプログラミングとは、というテーマで記事を書いてみたいと思います。

まず、私自身の話をさせていただきますと、私は新卒で会計事務所に入社しており、本業である会計業務に専ら携わってきました。そして入社から数年経ったときに、会計業務との兼任で社内のIT担当とさせていただくことになりました。元々ITには興味はあったのですが、大学時代にプログラミングなどのIT知識や技能を習っていたわけではなく、ほぼITに関する知識はゼロからのスタートです。
そんな私ですが、今では社内のDX推進だけでなく、社外の中小企業のお客様に対して、DX支援のお仕事をさせていただく機会もいただけております。その中でプログラミングをすることもあります。

このように、非エンジニアという立場からプログラミングを学んだ立場であるため、同じようにIT会社以外でプログラミングについて学ぶべきかどうか悩まれている方の参考になれば幸いです。

まず、DX担当になった場合に、プログラミングは覚えないといけないか、という疑問についての結論を述べさせていただきますと、必須ではないと思います。

なぜなら、大前提としてDXの目的が会社によって違うため、会社にとって必要な知識・技能が違うためです。
目指すべきDXの理想像において、ある程度大きな規模のシステムが必要で、コストの問題や、社内で相談しながら柔軟に開発を進めていきたい等の理由で、社外に外注することが適切ではなく、自社内で開発する必要がある場合には、プログラミングができる人間が社内といないといけないでしょう。しかし、そういう事情が無いのであれば、社内にプログラミングができる人材は必須ではありません。必要であれば、そのときに外注に出せば良いのです。

では、システムを自社開発しなければならない事情が無い限り、社内にプログラミングができる人間がいる意味は全く無いかというと、それもまた違うと思っております。
なぜなら、非IT会社においてプログラミングができる社員は、実現したい自動化や効率化の「ラストワンマイル」を埋める存在になりうるからです。

ラストワンマイルというのは、物流などの業界で使われる言葉で、拠点となる場所から最終目的地までの間にある距離のことです。

自分が外出するときのことを考えると分かりやすいです。
あなたは人気のお店に行きたいと考えました。電車を使ってそのお店の最寄り駅まで移動し、駅からそのお店まで徒歩で向かうとします。この時の、最寄駅からお店までがラストワンマイルです。
駅からお店までが徒歩数分で着くならそんなに大変ではありませんが、徒歩数十分かかってしまう場合は、お店に行くまで大変ですね。
なので、ラストワンマイルを埋めるために、どうすれば良いのかを考えなければなりません。

バスを使ってお店の近くまで行けるのであれば、バスがラストワンマイルを埋めてくれます。また、タクシーを使っても良いでしょう。お金をあまりかけたくないなら、レンタルバイクの方が良い方法かもしれません。
これらの手段があればラストワンマイルを埋めることは容易です。しかし、駅周辺にこれらの手段が準備されていなければ、ラストワンマイルは埋められず、数十分かけて徒歩で移動しなければなりません。
そんなの、想像するだけでゲンナリしますよね。

DXにおけるプログラミングも、これと同じことが言えるのではないでしょうか。
最近では、ローコード、ノーコードなどの非エンジニア向けのツールが色々登場してきております。これらは、プログラミングスキルを持たない人であっても、少し操作方法を勉強するだけで使える、とても便利なものではあります。ただ、プログラミングなしでシステムを構築できるようにシンプルに作られている分、機能も絞られていることがほとんどです。そうなると、自社において実現したいシステムが、ノーコード、ローコードツールだけでは実現できないことも、当然発生します。

作業の大部分はノーコード、ローコードツールで自動化出来るんだけど、この部分だけがどうしてもツールで対応できない、というラストワンマイルが残ってしまうのです。

では、その部分はどうするとよいのでしょうか?

ちょっとの手間で出来るのであれば、手作業で対応してもいいかもしれません。ただ、その部分だけは自動化されていないため、作業漏れや作業ミスが起こり得ますし、人手が入る分作業がスムーズに流れません。

また、その部分が滅茶苦茶時間がかかる作業だった場合は、手作業でやるというのは厳しいでしょう。せっかくローコード、ノーコードツールでシステムを作っても、ユーザーがシステムの恩恵をあまり感じられず、結局システムが使われなくなってDXに失敗する、というストーリーもあり得ます。

このDXのラストワンマイルを埋めることができるのが、プログラミングです。ローコード、ノーコードツールがカバーできない部分だけを、自分でプログラグを書いて対応できれば、全ての作業工程を自動化することができて、ユーザーにとって一番良い結果となります。

私のこれまでの経験の中でも、プログラミングによってラストワンマイルを埋められたケースはいくつもありました。
例えば、以下のようなことです。

  • 販売管理ソフトからデータ出力はRPA、それを経営者が見る経営資料に変換するのはプログラムで実行する

  • ネット上の情報を収集、解析するのはプログラム、それを別のアプリケーションに登録するのはRPAで実行する

このように、基本はRPAのようなローコード、ノーコードツールで自動化システムを構築し、それだけでは実現できない部分のみを自作プログラムで埋める、という分担をすれば、効率よくシステム開発ができます。
このような開発は、社外のIT会社に頼むよりも、社内業務のことをよく知る社内DX人材がやった方が、コストの面でも効果の面でも良いと思います。

以上のことから、非エンジニアであっても、プログラミングが出来る人間が少なくとも1名は会社にいた方が、取れる選択肢を増やすことができ、結果としてDXも実現しやすくなるのではないでしょうか。これは、私自身の実感としても、そう思います。

では、学ぶべきプログラミング言語は何が良いのでしょうか?
今回の記事では詳しい説明は割愛させていただきますが、特に理由やこだわりが無いのであれば、基本的にはPythonが良いと思います。
プログラミング言語の中では習得難易度が低いと言われておりますし、AI開発からアプリケーション構築、IoT、データ分析、作業自動化等の幅広い用途で使うことができる言語ですので、最初に学ぶプログラミング言語としては非常におすすめです。

また、ラストワンマイルを埋めるだけに必要なプログラミングであれば、正直そこまで学ぶことはそれほど多くありません。世にあるプログラミング関連の書籍を読むと、莫大な量の学習範囲を全て学ばないといけないのではないか、と錯覚するのですが、ラストワンマイルを埋めるためのプログラミングコードは、商用コードではありません。あくまで、社内で動かすシステムの足りない部分を補う目的で作成するものですので、そこまで大きなコードになりませんし、顧客に納品するコードではないため、そこまでバグやエラーに対して神経質にならなくとも、大きな問題にはならないことが多いでしょう。

基本的な文法だけ分かれば、あとは必要に応じてネットで調べたり、ChatGPTに自動生成させて修正したりすれば、簡単に必要なプログラムを作成することができます。
そう考えると、プログラミングを学ぶことについてのハードルは、実はそこまで高くないな、と感じませんか?

是非、皆さんも気軽にプログラミングを始めて、社内のDXに活かしていってください!


今回の記事が、少しでも皆さんのDXの理解に役立てば幸いです。
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