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引っ越し前の準備

ツイッターでもご報告しましたが、2022年の1月末日に日本を発ちニューヨークにやってきました。

DVプログラムに応募したのが2019年秋、
当選が分かったのが2020年初夏、
ビザが取れたのが2021年夏、
そしてその秋に永住権を獲得し、
2022年1月末に移住

ということで応募から移住まで実に2年以上かかっていますが、これでもスムーズなほうじゃないかと思います。我が家は今のところ夫と私の夫婦2人だけでまだ子供もおらず、たまたま2人とも大学時代を米国で過ごしていたということもあり、抵抗は少なかったと思います。
当選が分かってから皆さん何となく心の準備や「いつ頃引っ越そうか?」などと考え始め、1、2年はソワソワして過ごすことになるかと思います。仕事や学校を探したり日本国内の資産の扱いを検討したりといった長期的な準備もこの間にしていることと思いますが、今回は私が出国前2か月程度の間に行った最終準備について記録していきたいと思います。

我が家の引っ越し計画

まずその前に、我々夫婦がどのような流れで引っ越しを進めていくことにしたかをお話しておきます。
2021年の秋に移民ビザを持ってグアムに短期渡航して正式に永住権を得たところで「さていつアメリカに引っ越そうか」という話になりました。面倒だったので再入国許可等の申請は検討しておらず、1年以内には何とかして引っ越さないとな、ということは分かっていました。
私は大学を出てから一貫して(転職の多い)サラリーマンなのですが、夫はフリーランスの仕事をしており、2022年5月までは既に日本・アジアでの各種仕事が決まっていました。なのでその時点では「今受けている仕事が5月に終わるから、そのタイミングで一緒に引っ越すのがいいかな」くらいに考えておりました。
その時に働いていた会社が米国企業だったので「アメリカに異動させてもらおうっと」くらいに気軽に考えていたのですが、それが無理ということが分かり、就活を始めました。(詳しい経緯は以前の記事をご参照下さい。)
米国内での仕事探しは時間がかかるだろうとの見込みから、当初5月か6月あたりの開始をめどに早めに就活を始めたつもりでいました。ところが前職の採用サイトを覗いてみると、私が日本で就いていたのと同じ職種をちょうどニューヨークで募集していたため応募してみました。これが2021年の11月、永住権を取って1、2週間後です。いま思うと気が早過ぎたのですが、それまで拝見した在米邦人の就活体験記では皆さん時間をかけ苦労されていたので「早く動かねば」と焦っていたのです。
私はこの会社の元社員だったので話はあっさり決まり、11月の終わりには内定が出てしまいました。しかし「じゃ開始は5月でよろしく!」とは流石に言えません。コロナの不安や越境を伴うことを理由に、2月上旬の始業にしてもらうのが精一杯でした。
そんなわけで夫は5月まで横浜に残り、私が単身ニューヨークに乗り込むことになりました。家賃は横浜とニューヨークの両方でかかるし、相棒なしで数か月過ごすのは寂しく不本意でしたが、駐在でもない我々に贅沢を言う余裕はありません。
ただこれは悪いことばかりでもなくて、単身赴任中に米国での生活基盤を整えておき、その間に日本の荷物の片付けをするという「緩衝期間」を設けられるというメリットもあります。わざわざ寒い時期に2人で渡米してあれこれ苦労するよりも、1人で行けば被害総量は半分で済むわけだ、と前向きに捉えることにしました。

渡航前の準備

日本を出る前にはいろいろな手続きを済ませておかなければなりません。
こういったお金、役所の手続きといったことはとても苦手なので参りましたが、一通り終えることができてほっとしています。

1. 海外転出届(区役所)

いわゆる住民票を抜く、という手続きです。住民票がある限りは住民税や年金を払い続けなければなりません。もちろん住民票を日本に置いておくことのメリットも何かとあるのでしょうが)、我々のような庶民にはコストに見合ったメリットが期待できません。地元横浜と縁が切れてしまうようで寂しかったですが、転出手続きをすることにしました。転出手続きをすると個人番号カードも転出日以降は使えなくなります。

転出をすることにはなりましたが、住民税の支払い義務からすぐ解放されるわけではありません。なぜかというと、今年(2022年6月以降)支払う住民税は去年の所得に対してかけられているからです。2021年の1月から12月までの所得に対して後払いとして請求される税金は、たとえ国外転居しても払わなければなりません
既に住民税の支払いを口座振替設定にしている方は特段の手続きは必要ないかもしれませんが、会社員の場合は会社の給与から天引きにされていることが多いので、このタイミングで口座振替登録をすることになります。代替の手段として、振り込み用紙を国内の代理人あてに送ってもらい、その人に建て替えてもらう(もしくはお金をあらかじめ渡しておき支払いをしてもらう)ということも可能です。
ちなみに上記は横浜市中区で手続きした際の話ですので、別の自治体では手続きが異なる可能性もあります。ご自身の自治体でご確認下さい。

2. 銀行の非居住者設定

これも銀行によって必要な手続きや扱いが異なるかもしれませんので参考程度にご覧下さい。以下は三菱UFJ銀行での話です。
UFJのサイトではぱっと見わかりづらいのですが、既に銀行口座を持っている人が海外に引っ越す場合は非居住者登録をすることができます。料金は特にかかりませんが、日本国内当ての送金(おそらくWire Transferにあたるもの。振込は対象外のようです)をする際は国外送金手数料が課せられる点に注意です。
非居住者登録をしておかないと何が問題かというと、モバイルアプリ上のワンタイムパスワードが使えなくなってしまうことです。転居後も何かと日本の銀行口座を使って振り込みをしなければならないケースがありますが、海外にいるとワンタイムパスワードが機能しないようにアプリに制限がかけられているらしいのです。
非居住者登録をすると、数日後に郵送でワンタイムパスワードカードなるものが送られてきます。電卓のような見た目をしたトークン発行端末です。出国までにこのカードを有効化しておくと、米国転居後でもオンラインバンキングで振り込みができるようになります。このように最低でも数日時間がかかる手続きですので、早めに銀行窓口へ行かれることをおすすめします。

ここで私がやらかしたことを皆さんへの教訓としてお伝えしておきます。
銀行口座の非居住者登録を完了した後に上記の住民税の振替口座登録をしようとすると面倒なことになります。
通常であれば区役所の窓口の通信端末と銀行のキャッシュカードを使ってその場で口座登録が完了しますが、非居住者登録をした口座だとこれができないため、銀行窓口に出向いていって紙の登録用紙を渡さなければなりません。ですので、住民税の口座振替登録をしようと思う方は銀行の非居住者登録を行う前に済ませておくのがおすすめです。

3. 生命保険の住所変更届

銀行と同じく、こちらも念のため海外転出届をしておきました。これもおそらく保険会社によって流れが異なると思いますので、担当の営業さんに連絡して海外転出する旨を伝え、必要な手続きについて早めに教えてもらうのがいいかと思います。
なお、医療保険は残すかどうか迷いましたが(私の保険では海外診療・治療も保障対象だった)、米国内の会社の福利厚生で健康保険があることやそこでかなりの金額が保証されることを鑑み、この機会に解約してしまいました。なので現時点では生命保険(死亡)のみが残っています。これも会社の福利厚生に含まれてはいますが、アメリカの会社なんていつクビになるか分かりませんし、夫や日本に残す家族のことを考えるとやはり残しておきたいなと思いました。

4. 仮住まいの手配

人や地域によっては、日本にいるうちにネットで賃貸契約をする場合もあるでしょう。
今回私は行き先がニューヨークだったため、実際に物件を見ずに決めるのはリスクが高すぎました。家賃が馬鹿高いのは言うまでもないですが、ニューヨークには古い建物が多く、綺麗に加工された写真では到底分からないような欠点(床のゆがみ、雨漏りの跡、日当たり等)があったりします。写真やバーチャル内見だけだと細かいところまでは確認できないですし、匂いも分かりません。部屋だけではなく周囲の環境どんな通りに建っているのか、どんな建物なのか等、現地に赴いて自分の目で見ておくべきことだと思いました。ある程度の雰囲気はGoogleストリートビューでも見ることができますが、実際に行ってみると全然雰囲気が違うことが多々ありますので、やはり自分の目で実物を確認するのが安心です。
そのために最初の1か月をホテル・Airbnbで過ごし、その間に家を探すことにしました。
Airbnbはキャンセル不可のものが多かったため、渡航前検査で陽性だった場合のリスクを考えて最初の数泊だけキャンセル可のホテルを予約し、その後の1か月は手頃なAirbnbを予約しました。
内見や賃貸申込みをするのはもちろん渡航後なのですが、日本にいる間に賃貸検索サイト(主にStreeteasy.com)で家賃相場の目星をつけ、インターネットで安全性の高そうな地域を見極めました。そして「この辺りで家を探そう」というだいたいのあたりをつけ、滞在先もその地域で探しました。

5. COVIDウイルスの渡航前検査

米国行きの航空機への搭乗にはCOVID-19検査の陰性結果が必要です。巷には高価な検査があふれていますが、Twitterでニューようこさんが詳しく紹介して下さっていますので、それを参考にして今回は最安の木下グループにて検査をすることにしました。町医者や他の検査屋で一般的な価格が2万円前後なのに対し、木下は1,600円というにわかには信じ難い価格破壊を起こしています。もちろんPCRと抗原検査では使用する試薬や人件費、複雑さ、特異性がまったく異なりますので、単純な価格比較はできません。ただ今回は渡航に必要な検査結果が得られれば十分であり、木下グループの書類でも飛行機に乗れるのならそれで十分です。
私はみなとみらいのツタヤ2階にあるKINOシネマの検査所(というほどのものじゃないんですが)に行きました。1,600円だと思っていったのですが、どういうわけか「神奈川県民の方は無料になりました」という謎の告白をされ、結局1円も払わずに検査を済ませることができました。抗原検査キットですので、結果はその場で目視確認できます。しばらくするとメールにPDF形式の検査結果が送られてきます。パスポート番号や生年月日といった必須情報が記載されていないので、自分でPDFに追記して完成です。面倒だったのでiPhoneのアノテーション機能で済ませました。使い方がわからないという方は別途ご説明いたしますのでお気軽にご連絡下さい。

6. 荷造り

これは人によって差が出るところでしょう。一番簡単なのは今あるものを手放して現地で再調達することですが、当然コストがかかりますし資源も無駄になります。私は洋服類、最低限の食器など、可能な限り日本から持参するようにしました。荷物の中身はこんな感じです:

105リットルと65リットルのスーツケース
衣服・靴(冬の北東部のため防寒着とブーツは必須)、パジャマや下着類、ハンカチ、マスク、少量の食器、ハンガー、ヨガマット、化粧品、衛生用品、コンタクトレンズ、少量の文房具 等

手荷物のリュックサック:
コンピュータ類、カメラ類、AirPods、充電器、歯ブラシ、重要書類、現金、替えのマスク

渡米後2週間経ってからの感想

なんかもっといろいろと準備に奔走した気がするのですが、書き出してみると大したことなかったですね。
荷物は飛行機に乗せて持って来られる分だけでしたのでそんなに多くはないと思いますが、今のところ不便はしていません。ただ、日本から持ってくればよかったなと後悔しているものが1つだけあります。馬鹿馬鹿しいかもしれませんが、バスタオルとフェイスタオルです。Airbnbでももちろん用意してくれているのでそれはそれで有難いことですが、アメリカのタオルって分厚くてなんか使い勝手悪いんですよね…。庶民の私は無印良品の薄手タオルに慣れていたので、どうもしっくり来ません。大したことじゃないのですが、何となくストレスになり、1、2枚でも持ってくればよかったなと後悔しております。

ここに書いた以外でも「おいおい、これ忘れてるよ!」という準備事項や手続き、持ち物があればご指摘いただけると幸いです。
いつも無駄に長い記事になってしまいますが、最後までお読みいただきありがとうございました。次回の記事では渡米直後の2週間で行ったことについて書く予定です。

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