賢い女
朝ドラと大河ドラマをみていると、今年のキーワードは「賢い女」だな、と思う。
寅子もまひろも、性格やタイプは違うが、二人とも知的で論理的で非常に聡明だ。
だが、どこか抜けているところがあるし、女性という理由だけでその並外れた知能を活かすのに苦労している点など、視聴者が応援したくなる要素もあって大成功なヒロイン像だと思う
夫と結婚して子供が生まれ、今の家に越してきて、近所にたくさんの友達ができた。
最初は子供を通じて仲良くする、いわゆるママ友だったが、子供が大きくなった今では大事な女友達だ。
彼女たちと知りあって驚いたのが、彼女たちがみんな驚くほど高学歴だったこと。
実は私が最も低い偏差値の大学出身になる。
みんな、関西や関東トップの私大、もしくは旧帝大出身など、もしかして私は今まで生きてきた中で、今が最も学歴の高い人たちに囲まれているかもしれない。
なぜか理系出身が多い。私が大学時代、理系の女性はすごく少なかったので珍しいと思う。
興味深いのが、私もそうだが彼女たちが全員専業主婦だということ。
なんとなく勿体ない気もするが、彼女たちは働く気は全くなさそうだ。
私の世代は、女性の学歴と職歴がまだ繋がらない時代だったのかもしれない。
ちなみに、旦那さんとは同じ大学で学生時代からのお付き合いというパターンが多い。
でも、高学歴で高年収な旦那さんをもつ人にはそれなりの悩みがある。
その一つが、強烈なお姑さんがいらっしゃること。
漫画でもよくあるパターンだよなと思うけど、実際にあると知ったときは驚いた。
でもそこは賢い友人。
お姑さんの言うことを見事、全て論破しちゃうのである。
彼女に悪気はない。
彼女は自分や子供の立場が悪くならないよう、お姑さんの言葉を全て聞いたうえで、自分が納得できること、できないことを分け、納得できないことはなぜできないのかをちゃんと説明している。
そもそも、日本の嫁と姑の関係って「それ、おかしくない?」っていうのが多いんだよね。今までの女性は「嫁という立場だから」というそれだけの理由でその理不尽さを呑み込んできた。
母をみて、子供時代「世の中って男に都合よすぎないか?」と首をかしげていた私には彼女の毅然とした態度は非常に爽快でもあるが、男性はまさに「ぐうの音もでない」状態に陥る。
一度、旦那さんから「言ってることは正しいんだけど、もう少しオブラートに包んで母に伝えてくれないか」と頼まれたそうだ。
彼女、即、却下しました。
「最初はオブラートに包んで言っていたの。でも、お義母さんが、それを全て自分の都合のいいように解釈してしまった結果が今なの。お義母さんのような方には解釈による誤解がないようはっきり伝えるのが、お互いのためだと思う」
そして、今までどのような解釈による誤解があったかを次々と例を出したそうだ。時系列順に丁寧に、そしてそれらが全てよい結果を生み出していないという結論をつけて。
例を挙げるのは大切だ。説得に一層強みが増す。
さて、ここまで読んだ方は、彼女をちょっと気の強そうな怖い女性を思い浮かべたんじゃないでしょうか。
実は彼女は、それはそれは「か弱い女性」に見える。
趣味は美味しいケーキを食べることだが、とにかく細い。そして肌が白い。
優しそうで柔らかそう。おとなしい雰囲気。いつもニコニコして表情豊か。しかも話術は巧み。
ときどき「天然かっ!」と言いたくなるようなボケをかまし、彼女は私が唯一ツッコミ役になれる貴重な友人になった。
なんか少年漫画に出てくるステレオタイプの女性だなというのが私の第一印象だったんだけど、話していると「この人、見た目に反してなかなか鋭い」と思ったおぼえがある。
先日、彼女に面白いことを言われた。
「私たちって、見た目と中身のギャップに男の人が戸惑うこと多くない?」
仲間にされてる!
いやいや、私は違うわよ。
しかも「凜ちゃんは天然さんだから」とまで言うではないですか。
いやいや、天然さんなのはあなたでしょ!?
否定すると「えっ?私が唯一ツッコミできるのが凜ちゃんなのよ」と、互いに自分をツッコミ役と認識していたことがわかった。
でも、夫にも言われたんだよね。
「凛子さんといい、会社の女性たちといい、どうして僕の周囲にいる頭のいい女性は天然ばっかりなんだろ。ヒ〇リーみたいなタイプがいない」
伏字にしましたが、ヒ〇リーはアメリカ初の女性大統領なるかと騒がれた女性です。
夫、会社でなんかあったんでしょうか。
さて、そんな私の面白い友人である彼女が興味深いことを言っていた。
「男の人は結婚するなら賢い女がいいって言うけれど、それはあくまで世間や社会に対してであって、自分の前だけでは馬鹿な女でいてほしいのかしら」
幸い、私の周囲にいる男性は私の最もいいところは「聡明なところ」と言ってくれるし、私の意見に耳を傾けてくれる人ばかりだけど、はて、世の男性はどうなのかしら。
もし彼女がいうのが本当ならば、まひろや寅子の時代からあまり変わってないってことかもしれない。