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サロメ 原田マハ

「サロメ」って聖書に端を発してたのか....😳

オスカー・ワイルドの作品である事や、自分を拒んだ預言者ヨハネの首を欲しがる王女の物語....ということは知っていたけれど、未だ読んだことのない「サロメ」。

これはそのサロメを巡るオスカー・ワイルドと、挿絵を描いた若き天才画家オーブリー・ビアズリーと、オーブリーの姉メイベルの物語。

読んでいる間中、鳥肌が立つような本だった。
理性が共感を拒む異端の愛、暗く激しく燃えて互いを破滅させる全く建設的じゃない愛。

あの時代、ただでさえ聖者殺しの「サロメ」はタブーで、だから、この後男色がバレたオスカーワイルドが牢獄行きになったのも無理はないと思う。
同時に人々がこぞって買い求め、読まずにいられなかったのも分かる気がする。
読むほどに自分も堕ちていくような狂おしい読後感。

オリジナルの「サロメ」とも通底する
「殺してでも、相手が欲しいか?」
の問いは、正直私には分からない。
そこまで人を好きになれたら幸せだろうな....とうっすら考えるぐらい。

でも、その狂気を芸術に昇華させている登場人物達と原田マハさんが凄かった。
流石MoMA(ニューヨーク近代美術館)の元キュレーター。
圧巻の知識に裏付けされたドラマは全部本当にあったことなんじゃないかと思えてしまって.....。その場所に行って彼らが見た景色を見たくなる。

舞台はロンドンとパリ。
4年前、この本を読んでから行ったら、きっと全ての景色は全く違って見えたんだろうな....。

日常から完全に離れてみたい方、絵画好き、神話好き、倒錯した愛が好きな方におすすめ。

#原田マハ
#サロメ
#読書感想

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