絶賛上映中の「大名倒産」をaudibleで聞いてみた。 控え目に言って、最高である。😍 人情に目頭が熱くなり、心意気に胸が熱くなり、その上、お腹が捩れる程笑い... 「計画倒産」を目論むご隠居様vsお家再建に奮闘する若殿様。 到底返せそうに無い多額の借金から逃げ切ろうとする世代vs逃れられないと腹を括って向き合う世代。 それは現代の私達の状況に酷似していて、全くもって他人事でない感じがする。この絶対絶命の状況をどう打破するのか..... 小説なので八百万の神が大活躍
こんなに楽しい本だったのか!😳と早く読まなかった事を後悔したぐらい面白かった。 この本、言うなれば「夢を叶えるための地球の歩き方」😁 モーリタニアの砂漠で、かつてファーブルに憧れた若者が、バッタの専門家になって世界を救うべく奮闘する自伝エッセイ。 出だしから旱魃で研究対象のバッタが発生しないという極上の不幸に見舞われ、文化の違いに翻弄され、成果が出ないまま期限切れで無職になり.... ポスドクの悲哀てんこ盛り、3段のお重にギュウギュウ詰めって感じなのに、その全てを笑い
頁の間から血の匂いが立ち昇って来るような、残酷で暴力的な世界観。 苦手なジャンルだけど、直木賞と山本周五郎賞W受賞作品と聞いて読んでみた。 アステカの荒ぶる神テスカトリポカ。 古代より人々は生贄の心臓と左腕を神に捧げる。 時は流れて現代、家族と仲間を皆殺しにされたメキシコの麻薬密売組織のボスがインドネシアに逃れ、そこで医学界を追われた日本の心臓外科医と出会った事から、物語は動き始める。 黄金の三角地帯で製造される最高級のヘロイン通称No4、それが麻薬売買における黄金なら
「サロメ」って聖書に端を発してたのか....😳 オスカー・ワイルドの作品である事や、自分を拒んだ預言者ヨハネの首を欲しがる王女の物語....ということは知っていたけれど、未だ読んだことのない「サロメ」。 これはそのサロメを巡るオスカー・ワイルドと、挿絵を描いた若き天才画家オーブリー・ビアズリーと、オーブリーの姉メイベルの物語。 読んでいる間中、鳥肌が立つような本だった。 理性が共感を拒む異端の愛、暗く激しく燃えて互いを破滅させる全く建設的じゃない愛。 あの時代、ただで
断捨離の本を何冊も持っているけれど物が捨てられない。 そのうちの一つが便箋や封筒や絵葉書。中学の頃から貯め続け、今や引き出しギュウギュウに持っている。 昔はよく手紙を書いた。喋るよりも書く方が得意な内気な女の子だったから、では断じてなく、やたら門限が厳しく、電話も3分までという家庭環境でそれしか伝達手段が無かったから。 まだまだ話し足りない時、悩みを聞いてかける言葉が見つかずtime upとなった時「この案件は一旦家に持ち帰り、続きは書面にてお伝えします」てな事がよくあった
この本を読んでしまったら、もう以前と同じようには世界を見られない。 この本を読んでしまったら、もうお城は石垣しか目に入らない。 「八本目の槍」が良かったので、続けて今村翔吾さんの作品を....。 戦国時代、決して破れない石垣を作る事で戦を無くそうとした一人の石工がいました。名を、穴太衆飛田組の若き塞王、匡介。 それとは逆にどんな城も落とす凄まじい威力の大砲を作り、双方にそれを持たせる事で戦を封じられると考えた鉄砲職人もいました。 名を、国友衆の次期頭目、彦九郎。 まさに
これは、賤ヶ岳の七本槍と呼ばれた小姓組七人(加藤清正(虎之介)、福島正則(一松)、加藤嘉明(孫六)、平野長泰(権平)、脇坂安治(甚内)、糟屋武則(助右衛門) 、片桐且元(助作)の物語。 そして彼らから見た八本目の槍「石田三成(佐吉)の物語。 七人七様の目線からホログラムのように浮かび上がる石田三成の深さと優しさ、その頭脳、その生きざま、その想いに圧倒されます。 物語の舞台は、彼らが秀吉公の小姓組として出逢い、青春を共に過ごし、やがて関ヶ原の合戦で袂を分かち、その後豊臣が
この人の小説は本当に登場人物が魅力的だ。 「残念ながら、クロシバ。君は今日から商品ではなく友人に格下げになった」 と、売れ残った柴犬に言うペットショップの店長さんがいい。 半月前に買ったダックスフントを気に入らないから引き取ってと電話して来た客に 「あなたこそ息を引き取って」 と言いそうになる琴美ちゃんもいい。 読むうちにどんどん登場人物を好きになるから、読み終わった時、あまりの辛さと悲しさに放心状態になった。こんなのってない。小説だという事を忘れてその不条理さに胸が詰ま
小心者のくせに楽観主義だ。 小心者だから、楽観主義なのかも。 失敗を想像するのはとても怖いから、現実で失敗だらけなのと裏腹に、妄想の中の私はいつも大成功している🤣 だからこの本は衝撃的だった。 こんな考え方もあるのか😳 中でも楠木さんの失敗した時の対処法が気に入った。 失敗した時は、車に戻り、コーヒーを一口、タバコを一服。 「そうは問屋がおろさないよなぁ....」 としみじみ呟く。カッコ悪くて、でもカッコいい自分に酔う。それをやりたくて失敗を楽しみにしている節さえある。🤣 (
昔々、一人の女の子が鴨川沿いをてくてく歩きながら呟いた。 「非凡でありたいなぁ。」 前を歩いていた男の子がゆっくりと振り返った。 「そういう事を言う時点で、平凡だと思うよ。本当に非凡な人は寧ろ『平凡でありたい』って言うんじゃないかな。」 彼女は黙った。そして、再び歩き出した彼の背中を蹴り飛ばしたい衝動と闘った。 この本では、イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツという3人の天才の愛読書が紹介されている。 寝る間もないほど業務に忙殺されているであろう3人の凄まじい読書
昔、高校の生物の授業で「基質特異性」という言葉を習った。 ある酵素とその対象は、お互い複雑な凸凹構造を持っていて、鍵が鍵穴にピタリとハマる特定の相手としか化学反応を起こさないのだという。 興味深かったのは、 「たまに間違えてしまう。」 という教師の言葉だった。 「凸凹構造が似ていると、たまに間違えた相手とくっついてしまう事が有るのです。実際にはピタッと合わないのに。」 「その場合どうなるんですか?間違いに気づいて離れるんですか?」 「いいえ、離れることは出来ないんです。なん
つい最近、沢木耕太郎さんのインタビュー番組を見た。 歳を取ってなおダンディでかっこいい方だ。 この本のモデルになったカシアス内藤さんも出演されていて、思わず本棚から単行本を引っ張り出した。 遠い昔、大学生になったばかりの頃出会った本。😊 ボクシングになんか全く興味なかったのに、擦り切れるほど読んだ本。 きっかけは一人の同級生だった。 その日、突然の雨に振られ、駅に向かって走っていた私は、誰かが追いかけて来る気配に振り返った。 「あ、K。」 正直苦手なタイプだった。長身でち
傷ついた事がある人は優しい。 誰もが肌感覚で知っている事だ。 だけど、その傷があまりにも大きいと、私達は傷にばかり目をやってしまう。そしてその痛々しさを直視したくなくて、その人を排除する....。 2020年の本屋大賞作品。 5月には広瀬すずちゃんと松坂桃李君主演で映画化もされたらしい。 19歳で9歳の女の子を誘拐し2ヶ月共に暮らした(と世間は思っている)青年と少女の物語。 ひりつくような絶望と、月の光よりも淡い希望が交錯し、溶けて混ざり合う不思議な文章。 一応ハッピーエ