医療職で求められるリーダーシップのスタイル:ボトムアップxトップダウンxオーセンティックのメリットと実践方法
ボトムアップリーダーシップというスタイルがある。
これは方針や戦略をメンバー主導で決めていくもので、組織内の階層(役職や役割)に関係なく、アイデアや提案をどんどん取り入れていくスタイル。
このメリットは言うまでもなく、多角的なアイデアが出てくること、さまざまな視点から検討できること。
一方で、意思統一や意思決定、リーダーとのバランス、リーダーによるトップダウンな指揮が効きにくいことにある。
昨今では個人が重視されるこのスタイルが好まれるが、業種によっては限界が見えてくることもある。医療職では特にそう感じる。
スピード感を持って、正確な仕事をしていかないといけない現場では、ひとつ一つの判断に時間をかけている場合ではない。意思決定が遅れればそれだけ、患者さんの生命に関わるからだ。
時間があったとしても、決断にスピード感や思い切りがないと、メンバーは安心して取り組むことができない。これではせっかくいいメンバーが揃っていても、その力を発揮できないままになる。なんとも、もったいない。
なので、ボトムアップのいいところを活かしつつ、その弱点を補うスタイルはないのか?と5年くらい模索していた。まだ、これが正解という明確な答えはないが、一定の手応えを感じるスタイルが見つかってきた。
ボトムアップxトップダウンx〇〇
昨今では、カリスマ性を持った人間が少ないのと、持っていてもそのスタイルは受け入れられにくい。価値観が多様化しているので、自分のチームのリーダーがイカれたやつなのかどうかは、SNSを見ればなんとなく把握できるし、リーダーシップに関する世界の研究結果から割と正確にジャッジすることができる。
なのでボトムアップで、メンバーと一緒にチームを作っていくという作業は欠かせない。これでメンバーの不満を抑えつつ、やりがいも与えることができ、かつ、成果も右肩で上がっていく。
ただそれだけでは足りないのは先に書いた通り。そこでトップダウンのいいところを持ってくる。
ボトムアップで拾い上げた意見で、「論理的に決断」できる部分はリーダーがコンダクターとしてメンバーを指揮する(これは事前に「自分はこういうスタイルでやりたい」と宣言しておくとスムーズ)。
みんなで作り上げつつ、肝心な決断の部分はリーダーが負うことで、メンバーに責任を負わせない。
これでメンバーの心理的負担を軽減しつつ、より自由にアイデアを採用でき、決断に関しても同時並行でリーダーが行えるようになるので、スピード感もトッピングすることができる。
うまくこの2つを組み合わせるだけでも十分な気もするが、経験上、これでは淡白な感じもしている。うまくはいっているんだけど、何かが足りない、、、そんな感覚。
これを取り払えるスタイルを模索した結果、「オーセンティックリーダーシップ」というものを思い出した。
これはメンバーをどうこうするものではなく、リーダーが自分自身にベクトルを向けるスタイル。一般的には次の5つを備えているという。
1、自らの目的をしっかり理解している
2、しっかりした価値観に基づいて行動する
3、真心を込めてリードする
4、しっかりした人間関係を築く
5、しっかり自己を律する
「当たり前のことを、当たり前にやる」
取り入れた結果としては、こんな感触。真新しいことは一切言っていない。人間的に成熟すれば、自ずと身につくものだと思う。
超絶未熟人間な僕にとってはかなりハードルが高いものだと感じるが、「スタッフのことを考えて行動する」といった点だけでも確実にこなせれば、いざというときのトップダウンも使えるし、信頼してくれることによってボトムアップでのアイデア集約もできるようになってくる。
個人的には、現状でのリーダー像完成形が
ボトムアップ
x
トップダウン
x
オーセンティック
と考えている。
ひとまず向こう2年くらいはこのスタイルを極めていきたい。またそこで見えてくるものがあると思うから。