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【臨床検査技師】盲信は信者を生む

なんだか物騒なタイトルですが、まあ聞いてください。

これは技師会のある集まりに参加していたときのこと。

ある技師さんが「○○さんってほんとすごいんですよ!」と、その方の知識量の多さを褒めちぎってました。

僕もその人は知っていて、ベテランだし、たしかに知識量が半端ない。きっとインプットするのが得意で、アウトプットも定期的に行っているからか、知識の定着がはかられている……と思っています。


これ自体は本当に素晴らしい。なにかわからないことがあれば、その方を頼ろうとすら思える知識量です。


しかし、個人的には「その人がすごい!」とはまったく思わなくて。というより、そうした観点をもたないようにしています。


なぜかというと、「知識量はすごいけど、その他のスキルはふつう以下」だと思っているから。


これは僕が中規模病院の検査室責任者をやっているから思うことなのかもしれませんが、知識「だけ」豊富な人って、正直そこまで評価しきれません。もちろん、信用はしています。じゃあなぜ評価しきれないかというと、その知識が現場へ還元されているかと言われれば、決してそうではないからです。


現実問題をいいますと、知識というのは、手技やノンテクニカルスキルがあってはじめて、現場への還元ができます。周りと連携をとろうとしなかったり、検査手技のレベルが低い人は「検査室への貢献」という意味では厳しいものがあります。それに今は、知識だけならもはやAIに聞けばいいだけってこともたくさんあるので。でも、AIには人間関係を円滑にしてくれたり、目の前の検体を処理してくれることはできません。やっぱり、「人間だから」という優位性がそこにはあります。


知識だけあってもダメ、ということは逆も然りです。知識とスキルは両輪関係であって、うまくバランスをとらないと前に進めません。片方が回らないと、とんでもない方向に進んでいきます。これはイメージすればかんたんにわかることですが、意外とこの視点を欠いている人が多い印象なんですよね。


だから、ある一面を見ただけで「すごい!」みたいな感想になってしまうんです。知識があっても、スキルがなければ現場では活かせないのに。


客観視はなにごとにおいても重要です。妄信的になっては大切なことを見落とします。妄信は必ず裏切りを生みます。勝手に期待して、勝手に失望するんです。


話は戻りますが、、、

冒頭の知識量は膨大な方、とにかく現場の作業が遅いんです。それでいてミスも多い。それらを「知識量の多さ」という武器でなんとかカモフラージュしている感じ。全体的なスピードも聞くところによると、どう考えても新人さんのほうが早い。性格なのかもしれませんが。加えてコミュ力も……という感じなので、個人的には「すごい技師」とはまったく思わないんですよね。知識は豊富で、その努力は尊敬はしますが。


きっと、このベテラン技師さんを敬愛し崇めている若手技師さんは、こうした面が見えていないもしくは、それが問題だとは思っていないのでしょう。それって妄信的だからそう思うのであって、客観的に数値化したり、貢献度観点でみたら「んん?あれあれ?」ってなるはず。


組織にとってはこうした視点の欠落が、信者を生み、派閥を生むので百害あって一利なしなんです。これは断言します。いろんな検査室でこれがあるから、マネジメントが進まない……というのも見聞きしますし。それに、検査技師としてだけではなく職業人として視野が狭いのはかなりアブナイ。


単焦点でみると、「他人を尊敬できる」というその精神はとても素晴らしいことなので、全否定はしませんし、むしろ称賛できます。ただ、客観視、俯瞰した目線というのは、どんな場面でも大事にしてほしいなぁと思います。


それができる技師が集まれば、その検査室は最強です。個々の技師のスキルや能力、知識量が平凡だとしても、総合力は高いはずです。患者さんにとっては個々の評価より、すべては「結果」だと思います。個々の技師がその時点ではわからないことが多くても、他人に聞いたり、手伝ってもらうことで結果的にクオリティの高い検査ができれば患者さんにとっては問題ないんです。


キャリア育成や総合力強化という観点では、もちろん個の力も重視したいのは本音です。ですが、あくまで臨床検査室はチームなので、総合的な観点も大事にしてほしいなと思います。


ということで、「盲信は信者を生む」でした。妄信はいけない、ゼッタイ。

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だぴてぃ@noteプロクリエイター
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