【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#8
あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?
今回もこの企画に乗っかってみようかね。
企画ページ本体はこっち。
前回のはコレ。
真人が圭子と初めてのデートを始める物語。
で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w
今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。
植物園まで
植物園までは電車を乗り継いでいく感じだった。
下調べしてたわけじゃないから、俺としてもどんなところかわからない。
とりあえず、電車の中で駅から降りた後の道だけ調べておく。
その様子を横から圭子が眺めてる。
う、やばい。
事前に調べときゃ良かった。
「なんかバラが有名なところらしいんだよ」
とかおためごかしに言ってみる。
「へぇ」
こころなしかニヤニヤした圭子が横にいる。
「な、なんだよ」
「べつにぃ~」
まあ嫌がっている感じじゃないしいいか。
そこでふと思う。
「なんで、俺の誘いに乗ってくれたんだ?」
どストレートに聞いてみる。
たぶん、圭子は回りくどいのは好きじゃない。
そんな風に感じてたからかもしれない。
「うーん。なんとなく」
なんだよ。自分は「回りくどいのは嫌い空気」を振りまいといて、俺を焦らすか。
「焦らすなよ」
圭子がニコっと笑う。
「ごめんごめん。たぶん真人と一緒だよ」
「どこが同じだと思ったんだ?」
「嫌いなものが一緒。
誰かが力でねじ伏せられるのが嫌いなのも一緒。
でも好きなものが一緒かはわからない。
だから今日来たんだよ」
「俺も、今日の植物園は初めてだから好きかどうか分かってないぞ」
「それでも同じものを見てどう感じるかは見れるでしょ?」
「なるほどなぁ」
なんとなく、圭子は俺と同じ感想を持つんじゃないかという期待感があった。
もちろん、あんだけデカいバイクを乗りこなすやつだ。
植物園なんて静謐な場所を好まないかもしれない。
でも話は好きみたいだな。
そこは気が合いそうだ。
植物園にて
電車が植物園の最寄り駅についた。
最寄り駅と言っても、植物園まで10分近く歩く感じだった。
降りた駅はなんというか普通の街なみ。
ファーストフードもあれば、雑居ビルみたいなものも建っている。
こんな町中に植物園があるのか。
駅前は結構そんな都市感覚だったけれど、ちょっと歩くと閑静な住宅街っぽくなってくる。
「へぇ。来たこと無い駅だったけれど、ちょっと駅を離れると雰囲気変わるところだね」
圭子が言う。
「俺も初めてきたんだけれど、やっぱ町ごとに色合いってのがあるんだな」
そんな俺を微笑みながら圭子が見ている。
だから、その表情やめろって。
まともに顔を見れなくなっちまうじゃんか。
植物園、というか昔の皇族が作った庭園ってことらしいんだけれど、入場券を買って俺たちはそこに入った。
「うわぁ……」
それが圭子の第一声だった。
古い洋館。
広がるバラ園。
そしてその向こうに広がる日本庭園。
それがまず目に飛び込んでくる。
よく知らなかったんだけれど、バラって季節ごとに咲く種類が違うんだな。
なんと言っていいかわからないけれど、美というものに対する執念みたいなものを感じる。
バラ園のシンメトリックな美しさと日本庭園のアシンメトリックな美しさを共存させるとか、誰が考えたんだこれ。
「気に入った?」
俺は戯れに聞いてみる。
「うん」
どシンプルな答えが返ってくる。
元々話すために来たはずだったんだけれど、俺たちはバラと日本庭園とお互いの表情を見て、あまり言葉を交わすことは無かった。
必要ないだろ?
好きなものが一緒だって実感できたんだから。
だから、植物園を巡りながら俺の口から自然に言葉が漏れた。
「なあ、俺とつきあってくれないか?」
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時系列わかりにくいけれど、イメージ的には圭子の転校する前のイメージっす。
参考にした話
ちなみに、モデルにした場所はここ。
季節ごとに表情を帰る庭園の風景は一見の価値ありっすよ。
駒込駅が最寄り駅なので、東京に来たときはご堪能あれ。
※隣駅の巣鴨の六義園も捨てがたいけれど