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【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#9

あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?

今回もこの企画に乗っかってみようかね。

企画ページ本体はこっち。

前回のはコレ。
真人が圭子と初めてのデートを始める物語。

で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w

今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。


圭子と俺

「なあ、俺とつきあってくれないか?」
俺の口から唐突に出た言葉。
圭子はビックリした顔をしている。
っていうか、自分が一番ビックリだ。

会って3回目でヒトを好きになることなんてあるもんなんだな。

「いいよ」
圭子は即答した。

「随分、あっさり答えるんだな」
「嫌い?」
「いや、もっと好きになった」

場所は和の庭園とバラ園の境目。
和の額縁に薔薇の絵画が飾られているみたいな場所だった。

ちょっとこの場所のことは忘れられないかもしれないな。

そして、その場所で、俺たちは最初の口づけをした。

ほんの刹那だったようにも思うし、永遠とも感じられる時だった。
口を離し、お互いの瞳を見つめ合う。

キレイだな。
素直にそう思った。

どちらともなく、手をつなぐ。
そのまま俺たちは日本庭園とバラ園を歩き回った。
その時のことはよく覚えていない。

ただ、圭子が隣りにいる。
それだけが俺にとってのその時間の意味だった。

喫茶店にて

植物園を出た後、俺たちはいろんなことを話しながら街を歩いた。

好きな映画。
好きな俳優。
バイクのこと。
音楽のこと。

二人ともサスペンス系の映像が好きだし、もう亡くなってしまったけれど小林稔侍さんが好きだし、バイクについては圭子の独壇場だった。
でも音楽はふたりとも嵐が大好きだった。

「やっぱり、私たち気が合いそうだね」
圭子が言う。
「俺もそう思う」
俺も素直にそういう。
不思議と緊張はしていなかった。
まるで、そこに圭子がいるのが当たり前のように感じたんだ。

ふと街を見ると喫茶店らしきところが目に入る。
「何か食べたいものある?」
俺が聞く。
「軽いものでいいかな」
圭子が答える。

そして俺たちは喫茶店に入った。

なんつーか、昭和を通り越して大正浪漫的な内装の店だった。
「なんかすげぇな」
「うん、私、振り子時計とか、初めて本物を見たかも」
「俺も。普段コンビニとかファーストフードしか昼間は食べてないし」
「私も」

二人で微笑み合う。
俺たちはカウンターに座って、メニューを見る。
……ちと高いな。
最初のデートだ。俺がおごるってのが常道だよな。
そんな事を考えていると圭子が言った。
「割り勘だからね!」
うお!心を読まれた。

「へい。で、何にする?」
俺はサンドイッチかなぁとか考えていると
「私はサンドイッチかな」
なんて圭子が言ってくる。
ここまで来ると何かを感じちまうわけだ。
運命ってやつを。

手を上げてサンドイッチ2つとブラックコーヒーを2つ頼む。

そして、俺は気になっていたことを口にする。

「前に圭子が言ってた過去ってなんだい?」
「……」
しばらくの沈黙の後に圭子が口を開く。
「私さ。ちょっと前までチーム組んで街をバイクで走ってたんだ。
 で、チーム同士でいざこざがあったりして、結構腕力でチームを
 まとめたりしてたんだよ」

「レディースってやつ?」
俺はマンガでしか知らない言葉を口にする。

「そうなるかな。
 で、そのチームでコンビニ前でたむろってたときに、ある人に声を
 かけられたんだ」

真剣な顔になっていく圭子。

「タバコはお肌によくないぜって。
 見た目は普通のおじさんだった。」

「その頃は切れやすかったのと、チームの皆へのメンツみたいなのが
 あったからさ。ちょっと突っかかっちゃたんだよね。
 そしたら飄々ひょうひょうとこう言うわけよ。
 『オッサンをボコしても君の評判が下がっちまうだけだぜ?』
 ってさ」

圭子はちょっと微笑みながら話していた。

俺は思わず口を開いた。
「そのヒトのこと、好きだったんだな」
「な、なんで?」
「その顔して話されたら誰だってわかるさ」

圭子は若干顔を赤らめながらこう続けた。
「そしてさ。そのおじさんは何かのパンフレットを出してこういうわけよ。
 『そんなに戦うのが好きならこういう戦いも見てみても
  良いんじゃないか?』
 ってさ。
 で、渡されたのが何だと思う?」

俺には想像もつかない。
やっぱ大人の懐ってやつを理解するには経験が必要なのかもしれない。
「なんだろう?」
「競技かるたのパンフレットだったんだ」
「競技かるた???」
「私も同じ顔してそのおじさんに問い返したよ。
 そしたら『見てみな。きっと今とは違う光景を見れるから』って
 言うのよ」

俺は俺の知らない世界を生きてきた圭子の話に吸い込まれていった。

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時系列わかりにくいけれど、イメージ的には圭子の転校する前のイメージっす。

参考にした話

#すっぱいチェリーたち
#歌えないオッサンのバラッド

ちなみに、イメージした喫茶店はここ。

しかし、ホント。
俺、恋愛物を書くのが苦手だ。
後半のほうがまだ書きやすかったw

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