緊縮財政が必要だという意見との議論
あんたも矢野財務次官の月刊誌への寄稿のニュースを眺めているかい?
明らかに貨幣観の歪みのようなものを感じる話だよな。
「タイタニック号が氷山に向かって突進しているようなものだ」
出典:上記記事
この表現を使うことでどのような状態を目指しているんだろう?
この氷山っていうものが何を指しているんだろう?
今回はこの発言にまつわるいろんなヒトの動きについて整理しておこうって回だ。
ちっと、直近の日本の経済に関わる話だと思うからつきあってくれよな。
コロナ渦における経済
まず大前提として、現状のコロナ渦において政府の「依頼」によって経済活動が抑制されているって事実がある。
コロナの感染拡大というヒトが直接コントロール出来ることが非常に限られる状況において、政府主導でヒトの活動を抑止するしかなかったってのは事実だと思うんだよ。
日本以外でも、ロックダウンを含めて非常に強い活動抑制が敷かれたため、通常の方法では経済がダメになることは火を見るより明らかだった。
それが故に、各国ではロックダウンという「命令」に対する対価として政府支出をメチャクチャに増やしたわけだ。
アメリカなんて合計600兆円規模だっけか?
それに対して、日本はと言えば数十兆円規模でしか政府支出を増やしていない。
ぶっちゃけ、株価については異次元の金融緩和の効果によって一時期3万円を回復するって快挙を成し遂げている。
ところが、給与水準は横ばいか下がる傾向のままだ。
明らかに実体経済が株価とは連動していないってことを見て取れる話なわけだよな。
それもそのはず。
金融緩和によってお金が回ってくるのはあくまで日本銀行当座預金口座を持っている政府や銀行でしかないからだ。
一般企業にお金が降って湧いてくるわけじゃない。
まあ、そりゃそうだ。
仕事をしていないのにお金を企業に渡したら、資本主義経済における企業の存在意義を揺るがしかねないからね。
企業にお金を渡すためには「仕事」が必要ってことは揺るがしようもない事実ってわけだ。
需要を作り出せる存在としての政府
で、実際問題。
このデフレの中でお金を投資出来るってのはどういう存在なのか?
民間企業は「儲かる」って思うから投資をするわけで、デフレという状況ではその「儲かる」算段がつかない。
で、当然その投資が出来るのは通貨発行権を持っている政府だけってわけだ。
ところが、矢野財務次官はこう言っている。
「国庫には、無尽蔵にお金があるかのような話ばかりが聞こえてくる」
出典:上記記事
事実上、通貨発行権があるんだからインフレのことを考えなければ無尽蔵にお金はある。
ただし、当然インフレを適正にコントロールする必要があるから、その範疇でやっていく必要がある。
その前提で考えれば、欧米に比べれば全く比較にならないとは言え、2020年度予算では今までとは比べ物にならない政府支出の増加が行われた。
でも結果としてインフレは起きていない。
ってかデフレのまんまだ。
そのことを踏まえて、岸田内閣は政府支出を増やすという方向性で動いている。
なので、高市早苗さんも怒りを表明したようだ。
ただ、この表現はちっとどうだろうって思ってしまう。
「失礼」なことが問題なんじゃない。
あくまで貨幣に対する認識を財務次官が誤った発信をしたって事実がまずいんだよね。
財務省自体が自国通貨建て国債のデフォルトはありえないって公式見解を出している。
その上で、氷山に向かうタイタニックだってドラマティックな表現で今の状況を表現しているって二枚舌が問題なんだ。
松野官房長官も「火消し」に走っているらしい。
現実問題、今の状況で政府支出を絞るとか、明らかに日本という国を滅亡に向かわせる行為だ。
必要なのは政府支出をコントロールしながら、経済成長を着実に監視していくという仕組だと思う。
その上で、矢野財務次官の個人攻撃のように「失礼」だとか「個人の見解」だとかって表現で議論を止めるような発言は結構問題だと思うんだよね。
真正面からこの議論を交わす姿。
それが今の日本に求められていることなんじゃないかな?
なあ、あんたはどう思う?
俺たちは感情を脇においておいて、きっちりこの課題に向き合うことが出来ると思うかい?