
【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#36
あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?
今回もこの企画に乗っかってみようかね。
企画ページ本体はこっち。
前回のはコレ。
真人が家族を意識する物語。
で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w
今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。
俺が何者か
次の日。いつも通りに学校に向かう。
卒論も上がってるから特に用事はないんだけれど、それでもものを考えるのにはいい場所なんだ。
いつものように研究室に行き、自分の端末を立ち上げる。
もう、俺は使うことはないけれど、バッチが作り上げてくれている昨日のデータを眺める。
卒論の理論と整合性の出ているデータが並んでいる。
俺って何やってんだろう。
ってか、俺はこれから何をやるんだろう?
もっと言えば、圭子をどうやって幸せにできるんだろう?
そんなことをもんもんと考える。
そんなことをしているうちに斎藤が研究室に来た。
「うい~す」
相変わらず、肩の力を抜いたような感じ。その上で頭が良いからたちが悪い。なんか、自分が情けなくなってくる。
ふと、俺の好きな物語のセリフを斎藤に投げかけてみる。
「なあ、斎藤」
「うん?」
「人生が一つの物語だとして」
「な、なんだぁ?」
見事なまでに物語の通りにセリフが進む。
「いや、自分は悪役なのかな。正義の味方なのかな」
「ううん、そうだなぁ」
斎藤は少し考える。
「そんなわかりやすい区分けは無いんじゃないか。俺たちは守り守られ、攻めて攻められている。そういうことじゃないか?」
斎藤はホント頭の回転が早い。
「そうだな……。そうなんだろうな」
俺はそう答えることしか出来なかった。
「どうしたん?」
斎藤が聞いてくる。
「相手のご両親に結婚の挨拶してきた」
「なにおう?!」
そうか、斎藤に話してなかったか。
「で、今度は俺の父さんに挨拶ってなるわけよ」
「お、おう」
さすがの斎藤も動揺してる。
「改めて考えてさ、俺ってどんなやつなんだろうって思ったわけ」
「そういうことか」
妙に納得したように斎藤が言う。
「お前は『いい奴』だよ」
夕方
約束通り、駅前にいつものように10分前に行くと圭子はもういた。
ホント、ヒトを待たせるのが嫌いなんだな。
「おまたせ」
「私も今、来たところだよ」
いつもの会話。
たぶんだけれど、俺の選択は間違ってなかった。
そう思った。
いつものようにファーストフードに入る。
「土曜日にうちに来るじゃん」
単刀直入に言う。
「行くよ」
まっすぐためらいのない眼差しが返ってくる。
「父さんが反対することは無いと思うんだけれど、実務的なところがあるからさ。ライフスタイルみたいなことを聞かれるかもしれないんだ」
「なんか、親子って感じだね」
やっぱそうなのか。まあ、父子家庭だしな。
「俺の家は父子家庭でさ、俺を産んでくれた母さんは相当難産だったらしくってさ。俺を産んでそのまま亡くなってしまったらしいんだ」
少しおどろく圭子。
「そうだったんだ……」
「だから、圭子は父さんと話すことになる。頑固まではいかないけれど、キッチリ考えられているのかってのを気にしていると思う」
「そうかぁ」
圭子は少し考える。
「考えてないなぁ」
あっけらかんとそう言う。
うん?考えてない?
それで結婚OKしたの?
「え?結婚OKなんだよね」
「そうだよ」
ちょっと混乱する。
考えてないで結婚ってOKするもんなの?
「なんで……」
「好きだから」
即答する圭子。
「それ以上の理由って必要?」
------------
参考にした話
田中家に行く前の事前打ち合わせみたいなのを書こうとしたけれど、圭子の性格から理屈を並び立てるってのが違うと思ってこうなった。
以下待て次号!