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【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#10

あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?

今回もこの企画に乗っかってみようかね。

企画ページ本体はこっち。

前回のはコレ。
真人が圭子と初めてのデートを始める物語。

で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w

今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。


競技かるた

「真人は競技かるたってどんなものか見たことある?」
圭子はそう俺に問いかけた。
「いや、かるたなんてガキのころにやったイメージしか無い。
 それが……競技だって?」
「そう。競技。
 その競技パンフレットをわたしてそのおじさんは立ち去っていったんだ。
 私たちのタバコを取り上げて吸殻入れにつっこんでね」

そして、圭子は壁にある振り子時計を眺めながら言った。

「確かに、あれは私の知らない世界だった」
「そうだろうな」
「そう。私より明らかに年下の女の子や男の子が競い合ってた。
 その場の空気をその子達の気迫が作り上げていたんだよ?
 かるたなんて、子どもの遊び。
 そう思ってた私にはその空気が信じられなかった」
「俺は見たことがないから、なんとも言えないけれど、そうなんだな」
「そうなんだよ。ホントに一言も喋ることが出来ないくらいの気迫。
 そして何よりその目が私を釘付けにしたんだ」

俺は想像した。
横にいる圭子が他人の魂に気圧される姿を。
あの勇敢な圭子が気圧される姿を。
ああ、俺の目は間違ってなかった。
ヒトの魂を感じることが出来るヒトを俺は好きになったんだ。

「そうしてかるたを見ていたらね。馬鹿らしくなっちゃったんだ。
 暴力って手段で勝負するってことがさ」
「そうだったんだなぁ」
俺は素直に感想を言った。

「それでも、チームはその時まで圭子の魂だったんだろ?」
圭子は少し考えるような表情を浮かべていた。
「それはそうだと思う。学校なんてくだらない。
 あそこで死んだような目をしながら生きていくなんて耐えられなかった」

「だから学校へ行かなくなった。そういうことか」
「うん」
圭子は短く言った。

「死ぬために生きるなんて、おかしいと思った」
まったく、なんて言葉を使うんだ。
その時の俺はそう思った。
俺はなんのために生きているんだろうって。
もしかしたら、圭子はもう分かっているのかもしれない。

「それでね、そのおじさん。トシさんっていうんだけれど、
 その会場で私を見つけるなり、よってきて言うのよ。
 『どうだい?競う姿ってのは』って。
 その時まで私はトシさんに誰かと争っているなんて話をしていなかった。
 でも『競う姿』って言葉は結構くるものがあったんだ。争うじゃなくて」

圭子は物憂げな表情を浮かべて話していた。
正直俺はそのトシさんってのに嫉妬していたと思う。
もうちょっと言うなら、俺がコンビニ前でたむろしている圭子たちに声をかけられたかって考える。
たぶん声をかけてない。
自分が情けないやつだ。そう確信してしまう時ほど辛いことはない。
俺はまだまだガキなんだ。
そう思う辛さ。
あんたにもわかるだろう?

「で、トシさんが『この辺にも競技かるたをやっている学校がある。
 自分の学校でも良い。興味を持てたなら試しにやって見る。
 そういうのも良いんじゃないか?』ってさ」
「それで田梨木高校に?」
俺は精一杯の自制心を効かせてそう言った。
「そう。で、その手続を済ませたときにあの子からメッセージが入った。
 『たすけて』って。
 そしてそこに真人がいて、今日私は真人に恋をした」

ホント、俺の心を読んでるんじゃないか?と思った。

「そうだったんだな……」

「チームはなし崩し的に解散。後継の『頭』も私は指名しなかった。
 きっとみんなこの先に何があるのかなんて思いつけなかったんだと思う」

手元のコーヒーを見つめながら圭子が言った。

「あの子たちにも私と真人のような出会いがあったらいいな……」

俺は反射的に言った。

「なら俺たちがまず幸せにならないとな」

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時系列わかりにくいけれど、イメージ的には圭子の転校する前のイメージっす。

参考にした話

#すっぱいチェリーたち
#歌えないオッサンのバラッド

圭子の元レディースと言う設定と、かるたが異様に強い部分をつなげてみたんすが、あってる?
ってか、剣道はどう結び付けりゃ良いんだろう?
教えてトシさん。※the他人任せ

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