【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中健一編#24
あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい？
今回もこの企画に乗っかってみようかね。
企画ページ本体はこっち。
前回のはコレ。
前回は文化祭の後に息子の真人を行きつけのスナック葵に連れ出すやつね。
で俺の持ちキャラはこいつ。
CV：大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判ｗ
今回のは息子と友人の交流の物語だ。
葵での交流
席についてママに注文する。
「ママ、じゃあI.W.ハーパーダブルロックで2つと、お得意のサンドウィッチ、それと鮭茶漬けくれる？」
「メチャクチャなオーダーだな。田中さん」
タカが突っ込んでくる。
「真人は俺と違ってピクルス平気だからなぁ。
店のイチオシにしといたほうが良いかと思って」
そんなやり取りをいつも通りのアルカイックスマイルで「はい」と答えるママ。
ママがドリンク作り始める。
「真人くん……だっけ？私は垣野って言うの。ここではガッキーって呼ばれるけどね。真人くんもそう呼んで」
「……わかりましたガッキーさん」
そう真人が答えるとすかさず
「『さん』は無しで」
とガッキーが言う。
なんとなくノリを理解した真人は
「押忍。ガッキー」
「よろしい」
なんて会話が続いた。
「俺は高田正吉、タカって呼んでくれ。俺もさんは無しな」
「はい、タカ」
「大変よろしい」
ニカって表現がぴったりな笑顔で答えるタカ。
「タカって正吉って名前だったんだな」
「田中さんは自分のフルネーム話したりしねーじゃんかよ！」
「聞きもしねぇくせに」
そんな軽口を叩いていたら真人が口を挟む。
「父さんだけ『さん』付けで呼ばれてるんだ」
そう言われてみればそうだ。
「なるほど、さてはオマイら俺のことをオッサン扱いしてるな？」
「オッサンじゃん」
「オッサンよね」
「オッサンだわね」
最後のはママ。
I.W.ハーパーを2つ持ってきながら言う。
「くぅぅいじめだ。にゃろーそのうちに精神的にいじめ返してやる」
「おお怖い」
ガッキーが大げさにおどけて見せる。
なんとなくおかしくなって俺とタカとガッキーは大笑いする。
真人はその様子を微笑みながら眺めていた。
演劇を語る
「ああ、今日はおすすめの演劇も楽しませてもらったよ」
「でしょ？あのシナリオ最初は結構ボリュームガッツリあって時間にはまんないと思ってガッツリ添削したんだから」
「おお、あの赤入れはガッキーのだったんか」
「？なんで赤入れのこと知ってんの？」
「いやね、たまたまファストフードで隣の席になった少女がセリフでウンウンうなってたからさ、声をかけたんだよ。頑張ってんなって」
タカが口を挟む。
「ホント、誰にでも声かけるんだな。田中さんは」
俺はそう言われて苦笑いを浮かべる。
まあ、褒められたクセじゃないわな。
「まあ、そうなんだけどさ。
で、少女がシナリオノートを渡してきて、『感想を聞かせろ』って
言ってきてさ。
なんとなくヴィランのオオカミのキャラが弱いから親衛隊にオオカミの
子どもを殺させろって言ったんだよね」
「ああ、だから私の添削のときと話がガラッと変わったのね」
ガッキーが納得の表情を浮かべる。
「まさか、あんなにキャラの色を既存作品からぶっこんでくるとは思ってなかったけれどね」
真人が口を挟んでくる。
「ガッキーは国語かなんかの先生なの？」
「そうよ。古典がメインかな」
「へぇ。才女なんだ」
柄にもなくガッキーが照れる。
「才女なんてもぉ。真人くんお上手」
見たことない感じで体をくねくねしてるガッキー。
すげぇな真人。ひとたらしの才能があるんだな。
「え？何？ガッキーの高校の文化祭に田中さんが行ったの？
子どもが通ってるわけでもないのに？」
タカが聞いてくる。
「なんか変な成り行きでそこの高校の少年たちのバンドが出るっていう
学祭のパンフレットをもらっちゃってさ。
成り行きで行くことになっちまった」
「はあ、あんたは探偵にはなれねぇな。顔が売れ過ぎだ」
「なるわけねぇだろ」
そこでまたみんなで笑った。
今度は真人も笑っていた。
「はい、おまちどう」
そう言いながらママがサンドウィッチと鮭茶漬けを持ってくる。
それを置きながらママが言う。
「いつもお父さんから真人くんのこと聞いてるのよ。
就職して初任給が出たら、お父さんと一緒にまた来てね」
鳩が豆鉄砲を食らった顔ってのはああいうのを言うんだろうな。
真人がきょとんとした表情を浮かべた後、急に真顔になった。
「はい。伺います」
と答えた。
「あー、また田中さん泣いてる」
ガッキーが囃し立てる。
「う、うるせぇやい」
そんな風にその日の夜が更けて行った。
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