子ども向けの歌が伝えるもの
あんたにはふとした日常の瞬間に頭の中に浮かぶメロディーってやつがあるかい?
直近で気に入っている楽曲も普通に浮かんでくるもんだけれども、全く因果関係がないところで浮かんでくるガキンチョの頃に聞いた曲が浮かぶこともある。
本当になんでこの曲なんだってのがわからない曲が頭の中にこだまするんだよね。
今回は、そう言う自分でも因果関係がわからないようなタイミングで浮かんでくる曲について考えてみる回だ。
なんだろうな?
ソウルソングってやつなのか?
ちっと付き合って触れてみてくれよな。
朝の散歩をしているときに浮かぶ曲
朝方にほんの10分くらいだけ散歩をするのが日課なんだけれども、そのタイミングでワリカシ高確率で頭の中に思い浮かぶ曲があるんだ。
キャンディキャンディのオープニング曲なんだよね。
「そばかす~なんて~き~に~しないわ~」ってあれだ。
いや、ぶっちゃけどういう話かって覚えてないし、なんなら見た記憶も無い。
ただ、この曲だけはなんかすげぇ覚えてるんだよ。なんだろうね。
アニメは1976年から放映されてたんだな。
なら年齢的に見てたとしても記憶がないのも無理はない。
なんでこの曲なんだろうな?
鏡の向こうの自分
なんとなくだけれども「笑わないと生きていけない」ってことを俺に植え付けた曲なのかもしれない。
「わらって~わらって~わらって、キャンディ~」ってあれだ。
オッサンに成り果ててしまった俺が改めてこの歌詞を考えると、結構エグい。
だってよ、この「わらって」って鏡の向こうにいる自分に語りかける姿。
似てないか?
進撃の巨人のエレンに。
キャンディは「わらって」と鏡の向こうの自分に語りかけた。
エレンは「戦え」と鏡の向こうの自分に語りかけた。
そして、自分は鏡の向こうの自分に何を語りかけているのか?
鏡に映る自分は今にも死にかけているようなゾンビみたいな表情で俺に語りかける。
「逃げてるんじゃないよ」
「ここまでか?」
「もう、お前が伝える必要のあるものは、もうないのか?」
鏡の向こうの俺はどうにも俺に優しくない。
世界が孤独で包まれていることを伝える曲
もう一つ、朝の散歩をしているときに浮かぶ曲がある。
アンパンマンのマーチだ。
この曲さ、実に切ない歌詞なんだよな。
「愛と勇気だけが友だちさ」
そうこの曲では歌っている。
あのアンパンマンがだぞ?
食パンマンもカレーパンマンもメロンパンナちゃんもジャムおじさんも。
あれだけ多くの仲間に囲まれているアンパンマン。
それでも。
それでもだ。
「愛と勇気だけが友だち」なんだ。
そうなんだよ。
あの仲間たちは目的を共にする「仲間」であっても「友だち」じゃないんだ。
アンパンマンにとっては、世界のみんなの幸せを願いながら戦う。
その目的に賛同する仲間たちが集っている。
逆に言えば、世界が平和になった瞬間にアンパンマンは誰かとともにいる理由がなくなるってことだ。
つまり、アンパンマンが孤独にならずに済むのはバイキンマンがいるからだってことだ。
これってよ?
敵がいることで、初めてヒトは孤独から開放されるって言うものすげぇ悲しい現実を表している様に思えないか?
もともと、このアンパンマンのマーチって特攻隊員のことを思って作った歌だって話も聞くんだよ。
ちっと、太平洋戦争で特攻隊員としてゼロ戦に乗り込む兵士を思い浮かべながら、このアンパンマンのマーチを聞いてみてくれよ。
マジで涙が止まらないと思うんだよ。
愛すべき家族。
守るべき故郷。
でも、守る行動をまさにしている自分の傍らには「友だち」はいない。
誰もいない。
そこにあるのは圧倒的な「自分」だ。
死にたくない。死にたくない。
そう言う命の叫びがあっただろう。
震える指先は操縦桿を揺らし続けただろう。
例えようもない孤独があっただろう。
だから彼らを慰める歌は紡ぐ。
「愛と勇気だけが友だちさ」と。
なあ、あんたはどう思う?
俺たちがガキンチョの頃に聞いていた歌には、俺たちに生きる意味を伝えていたと思うかい?
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