
【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#20
あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?
今回もこの企画に乗っかってみようかね。
企画ページ本体はこっち。
前回のはコレ。
圭子と真人が記憶をたどる物語。
で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w
今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。
次の日
次の日の朝。
俺はERから出て、脳神経外科の待合室に案内された。
外的損傷は左腕の骨折だけだったから、自分で歩いて移動する。
念の為父さんも休みを取って付き添ってくれていた。
「痛むか?」
「まあ、骨折だからね。朝イチで痛み止めを処方してもらってる」
たぶんこの後、熱も出るだろうって言うんで、数週間分のとんぷくを処方してもらう事になっている。
問題はこの記憶の方だ。
昨日の圭子の話でだいたいの事情は「理解」はしたが、「思い出して」はいない。
断片的な映像がチラチラと浮かぶことだけだ。
「田中真人さん」
待合室で待っていると呼び出しがきた。
診察室に入ると白衣のいかにも医者でございと言った風体の初老の男性が座っていた。
「こちらへ」
促されるままに席に座る。
そこで問診や、昨日の検査結果を知らされる。
父さんの予想通り「一時的な記憶の混乱」ってやつになるらしい。
要するに脳神経外科ではやれることはないって話だ。
どちらかと言うと精神科の領域になってくるらしい。
ぶっちゃけ、会ったこともない精神科の医者と話すより、俺は圭子と話したいと思った。
とりあえず、左腕の治療は継続して行う必要があるのでしばらくはこの病院に通うことにはなるけれど、脳神経外科はこれでおしまいってことみたいだ。
精神科については、この病院にもあるけれど、治療するとすると長丁場になるから、最寄りの精神科への紹介状を書くかと言われたけれど、丁重にお断りした。
「家族とパートナーとでなんとかなると思います」
それで俺と父さんは診察室を後にした。
病院ロビーにて
診察室を出て父さんが言ってきた。
「ホントに大丈夫か?」
「昨日、圭子に会ったんでしょ?」
「ん?ああ」
「なら、大丈夫だって思わない?」
「そうか……。そうかもな」
父さんは少しうれしそうに言う。
「母さんも見てることだろうしな」
俺と会うこともなく命を落とした母さん。
正直、感情は動かないけれど、父さんの愛したヒトだってのは疑いようがない。
そして、父さんが母さんは俺を見守っていると言っている。
なら、たぶんそうなんだろう。
「真人!」
病院の入口から息を切らせながら圭子が向かってくるのが見える。
「よかったすれ違うところだった」
「あれ?学校は?」
我ながら間の抜けた質問をする。
「まだ手続き中。その手続きにもたついてこっちに来るのが遅れちゃった」
「俺は真人を駅まで送るよ。そんで俺は先に帰ってるよ。
圭子さんはV-MAXで来たんだろう?」
「はい」
「じゃあ駅で真人と落ち合って話をしてやってくれるかい?」
「はい」
「もし、ここに君がバスで来たとしても、残念ながら我が家の愛車はほとんどツーシーターでね。真人乗っけたら定員いっぱいなんんだよ」
「車はなんです?」
「パンダトレノだよ」
「86?!み、見せてください!」
※一応トレノは4人定員だけれど、後部座席は乗れたもんじゃない
にわかに圭子のテンションがあがる。
あの車、なんかすごいもんなのか?
駐車場でひとしきり父さんと圭子が盛り上がりまくっていた。
俺にはさっぱりわかんない単語が飛び交う。
わー本物だ!とか、フジツボマフラーになってるだとかなんとか。
父さんの車好きは知ってたけれど、圭子はそっちも好きなんだなぁ。
なんとなくそんなことを思って眺めていた。
駅にて
「じゃあ、駅の改札で待ってるよ」
圭子はそう言ってV-MAXで去っていった。
「今どき、1200cc乗りこなす女子高生ってのがいるんだなぁ」
「なんか、学校の校則の隙間をぬってあれで登校してるらしい」
「マジか。頭いいな」
父さんは、相当圭子のことが気に入ったらしい。
車褒められたのがそんなに嬉しいんだな。
そのまま俺は父さんに車で最寄り駅まで送ってもらった。
「たぶんだけれど、お前に一番必要なのはあの娘との会話だと思う」
「うん」
「しっかり話してこい」
「わかった」
それだけを話して、父さんは車で家に帰った。
改札の方に向かうと、もう圭子はそこに居た。
「待たせちゃったかな?」
「ううん」
何か頭に引っかかるものを感じる。
俺はこんなことを前にも話していたような感覚。
「体きついと思うから、そこに入ってお茶しよう」
「わかった」
そうして俺たちはファストフードに入って行った。
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参考にした話
地味に趣味的な会話を盛り込んでみたら長くなっちまった。
ってか、オリジナルの86だとエンジンボロボロでリストアかけないとダメだろうから、けっこう銭突っ込んでるな。健一さんよ。