「深い反省」というお言葉
あんたも終戦記念日の陛下のお言葉を見たかい?
この「深い反省」ってお言葉。
脊髄反射的に「ううむ?」って言いたくなっちまうお言葉だと思うんだよな。
誰が何を反省することで戦争がなくなるのかって話じゃんか。
ただ、このお言葉さ。
絶妙に日本語の特性を生かしたお言葉のような気もするんだよな。
主語と目的語があえて表現されていないんだよ。
今回はこの「深い反省」のお言葉を自分なりに解釈させていただく回だ。
陛下の御心を解釈させていただくなんてのは不敬の極みだとは思うんだけれどさ、陛下の臣民として正面からお言葉を捉えておいたほうが良いじゃんか。
誰が反省するべきなのか
陛下のお言葉の全文はこちらだ。
このお言葉を眺めてみると実に絶妙に反省をすべき主体者がぼかされている感じを受ける。
この「私たち皆」というものが指すものは何なのか。
それこそが反省をする主体者だってことだと思うんだよな。
普通に考えたら「日本国民」ってことになると思う。
ただ、それだとだよ。
先の大戦は日本国民だけが間違っていたって言うメッセージになっちまう。
陛下のお気持ちを想像するなんてのはおこがましいが、そういう意味じゃないと思うんだよな。
あの戦争が様々な悲劇をもたらしたのは間違いない。
でもその戦争という状況を作り上げたのは日本人という一つの国家の都合だけじゃないってのが実態だと思うんだよ。
日本を含む枢軸国と呼ばれた国々。
アメリカを含む連合国と呼ばれた国々。
そのいずれにも戦争の原因があったってのが実態だったと思うんだ。
じゃあ、「私たち皆」とは誰か?
世界中のヒト全てを指していると解釈するのが自然だと思うんだよな。
なんでって?
天皇陛下が担っている役割がそこにつながっているんだよ。
天皇陛下のご本務
天皇陛下にはいろんなやらなければならない事がある。
その中でも最も重要なことが「神々と地の神々、また「皇霊(ご歴代の天皇の神霊)」に「祈り」をささげられること」だ。
天皇という存在は「祈る」ことによって権威を担っていただいているってわけだ。
で、この神々。
いわゆる神道における八百万の神ってことになるわけだ。
神道における神々ってのは世界の森羅万象の全てに宿りし神聖なるものの総称だ。
つまり、天皇が祈るのは宇宙全体に宿っている神々ってことなんだよな。
そう考えると「私たち皆」が指し示しているものは誰か?
この宇宙全体に生きとし生けるもの全てって話になるんだよな。
もう、日本がどうとかそういう話じゃないんだよ。
生きとし生けるもの全ては反省しながら生きなさい。
そう天皇陛下のお言葉は表現なさっていただいているってわけだ。
何を反省するのか
さて、戦争ってものをなくすためには全宇宙の生きとし生けるものが何かを反省しないといけないらしい。
俺たち日本人が、俺たちアジア人が、俺たち地球人が、俺たち地球に生きるものが何を反省すれば良いのか。
究極的にはだ。「生まれてきてすみません」ってことにならないか?
生きている以上はなんかしらかの犠牲を伴わないと命を継続できない。
何か食べないと生きていけないし、ヒトに限定して考えたら国という他のヒトを搾取する共同体が無いと生きていくことが出来ない。
そうなんだよな。
俺たちヒトは何かしらかの命を吸い取ることでしか生きていられないんだよ。
そして、それはヒトに限らない。
生きとし生けるもの全てがなんかしらの命を吸い取って生きている。
その上で天皇陛下はお言葉として「深い反省の上に」人々の幸せを願うようにとを仰っている。
世界を司るあらゆる神々に祈りを捧げていただいた上でだ。
俺たちに反省する方法ってのがあるのか?
他者の命を喰らうことでしか生き残れない俺たちは、何をどう反省すれば良いんだ?
天皇陛下のお言葉を否定したいわけじゃない。
単純にお言葉を履行する方法が思いつかないんだ。
なあ、あんたはどう思う?
俺たちはどうすれば平和なんて理想を掴み取れるんだ?