【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#5
あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?
今回もこの企画に乗っかってみようかね。
企画ページ本体はこっち。
前回のはコレ。
真人日常の中に、圭子への思いが見せた「誰か」の幻の物語だ。
で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w
今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。
公園にて
口約束とは言え、約束は約束だ。
俺は卒論の整理を途中で切り上げて、田梨木高校前の公園へと向かった。
さて、あの女子高校生は無事に家にたどり着けたんだろうか。
そして、あの女は何を話したんだろう。
とめどない思考が俺の中を駆け巡る。
そういえば、ふたりとも名前を聞かなかったな。
まあ、継続的に付き合っていくわけでもないだろうし、別にいいだろう。
そんなことをブツブツ考えながら移動しているうちに、5分前に公園についた。
いつもそうなんだよな。
誰かと約束すると、微妙に早い時間に到着する様に行動しちまう。
5分程度じゃなんかイレギュラーが起きたときに対応出来る時間じゃないんだけれどさ。
公園につくと、意外にもあの女はもうついていた。
今日はスキニーなデニムにラフなシャツとカーディガンで若干ガーリーな感じがした。
「よう、結構真面目に時間を守るタイプなんだな」
「相手を待たせるのが嫌いなだけだよ。私もさっき着いたばかりさ」
とりあえず公園のベンチに二人して腰を落とす。
眼の前にある鉄棒を見て、鉄棒なんて何年やってないだろう?とか関係ないことをぼやっと思う。
「昨日は悪かったね。巻き込んじゃって」
「……巻き込む?ああ。形的にはそうなるのか。
気にすることはないよ。逆にきっかけをくれてありがとう」
そう返すと、女は少し驚いたような表情を浮かべた。
「あんたも、相当なお人好しだね。トシさんみたいだ」
「トシさんって?」
「あんたと同じ様なお人好しさ。
老若男女問わずに余計なお世話をして回ってるおじさん」
おれは「へぇ」とだけ返したが、なにかモヤモヤしている自分に気づく。
「無事、あの女子高生は家に送り届けられたのかい?」
「もちろん。ただ、バイクの後ろできゃあきゃあ騒いでたけれどね」
「なんでよ?」
「久しぶりに私の後ろに乗ったんで、スピード感が怖かったらしい」
「なるほど」
そう言ってなんだかその光景が目に浮かぶような気がした。
ん?久しぶりってことはあの女子高生と面識があったのか?
「今日はバイクじゃないんだ?」
「なんでそう思う?」
「バイク乗るのにそのカーディガンじゃあ寒すぎるだろ」
「へぇ。あんたもバイクに乗るの?」
「いや、乗らないよ。でも、バイクに乗っているヒトって、割と風を避ける
服を着ているってイメージだから。
今日は違うのかなってね」
そこでふと思う。
「バイクじゃないなら飲めるだろ?居酒屋にでもいって話さないか?」
「ああ、私お酒はダメなんだ」
「そうか、下戸なんだ」
「いいや、まだ飲める年齢じゃないからね」
なに!?
未成年だ?
てっきりタメ年くらいだと思ってた。
俺の驚いた顔を見て女は続ける。
「来年は飲める様になるけれどさ」
ってことは19か。
最近は飲めるようになる年齢と成人年齢が違うからややこしいよな。
「まあ、じゃあそこのファーストフードにでも行くか」
そう言って腰を上げる。
女も俺に続いた。
ファーストフードにて
二人でファーストフードに入って、ふたりともコーヒーだけ頼む。
ふぅんブラックで飲むタイプなんだ。
俺はコレでもかって位ミルクポーションを入れて飲むタイプだったけれど、研究室に入ってからはなんだか面倒になってブラックメインになったんだよな。
明るい場所で女を見る。
なかなかの美人だ。
この美人が男どもに割って入ろうとしたってわけか。
「なんであんな裏路地で起きていることが分かったんだい?」
俺はなんとなく質問した。
「ん?ああ、あの子は私の知り合いでね。
メッセージが送られてきたんだよ。『たすけて』って。
もともとつるんで遊んだりしてたからGPSの共有はしてたから、
駆けつけたらあんたがいた。そんな感じさ」
「へぇ。全然タイプが違うように見えたから、そう思わなかった。
ってことは学生なんだ?」
「まあ、そうだね。理由があって今はちょっと通えてないけれど、
来週からそこの田梨木高校に通うよ」
思わずコーヒーを吹き出しそうになった。
高校生なの?
この雰囲気で?
まあ19って言われれば年相応とギリ言えなくもないけれど。
ん?でも19?
「19で高校生?」
「だから言ったじゃん。理由があってって」
「なるほど。そりゃそうだ」
そして女はまじまじと俺を見る。
「真人は大学生って言ってたっけ」
「俺は来年からサラリーマンだけどね」
そう言ってから思い出した。
「なあ、名前聞いてなかったな」
「ん?ああそうか。私は圭子だよ」
あれ?俺なんで名前なんて聞いてるんだ?
さっきまで、もう会うこともないから名前なんてどうでもいいと思ってなかったか?
で俺は、普段の俺では考えられないようなことを口にした。
「次、いつ会える?」
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時系列わかりにくいけれど、イメージ的には圭子の転校する前のイメージっす。
参考にした話
やべぇ。恋愛ものの話を書くのってこんなに難しいんだ。