
【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#12
あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?
今回もこの企画に乗っかってみようかね。
企画ページ本体はこっち。
前回のはコレ。
真人が圭子のことを考える物語。
で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w
今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。
約束
父さんが風呂に向かってから、自分のベッドの上で一人で考える。
「会いたい」
圭子からそんな事言われたことあったっけ。
ああ、最初の公園の約束がそうだったか。
なんだろうな。
変な胸騒ぎがする。
一緒に行った公園。
一緒に行ったショッピングモール。
一緒に行った映画館。
一緒に歩いた町並み。
どれもがいつもと違う場所のように感じたことが頭を駆け巡る。
そして、それらの光景が失われることが頭をよぎる。
あれを失うのか?
耐えられるのか?俺は。
圭子の笑顔。
圭子の怒った顔。
圭子のしょげた顔。
圭子の香り。
圭子のぬくもり。
立ち直れるのか。俺は。
もんもんと答えのない疑問に立ち向かう。
「ああ、もう!」
俺はキッチンに向かい、父さんのI.W.ハーパーを拝借して喉に流し込む。
焼けるような喉の感覚と引き換えに、しばらくして眠気を手に入れた。
薄れゆく意識の中で、俺は圭子の笑顔を思い出していた。
次の日
次の日の朝。
起きてみると当たり前のように父さんは起きていた。
「おはよう」
俺は寝ぼけ目で挨拶する。
「おはよう」
いつもどおりのねこまんま+味噌汁をかっこんでいる父さん。
なんかすごいな。
何があっても日常はいつもどおりに流れていく。
なにがすごいのかって聞かれても言葉に出来ないんだけれどね。
父さんが出勤した後、俺も学校に向かう。
向かっている間に考えをまとめないと。
そうじゃないと卒論なんて手がつかない。
俺は圭子と一緒にいたいのか?
いたい。
俺は圭子の幸せが何かを分かっているのか?
分かっていない。
仮に圭子の幸せは俺の隣では実現出来ないとしたら、俺はどうするのか?
……
ここで思考が止まってしまう。
圭子に夢を諦めてくれと言うのか。
それは絶対にあり得ない。
なら圭子の夢を応援して俺が圭子が隣にいない人生を歩むのか。
これも想像ができない。
結局は結論の出ないまま研究室にたどり着いてしまう。
まだ、誰も来ていない研究室の俺のパソコンの前に座って、俺の日常を始める。
でも全然集中できない。
「ちーす」
同じ研究室の斎藤が顔を出す。
「どうよ。締切間に合いそう?」
「まあなんとかするさ」
「ふーん」
そう言って斎藤は俺のモニタを覗き込む。
「そうは見えねぇなぁ」
斎藤は俺から見て頭がいい奴だ。
俺の進捗がどうかをモニタを見た時点で理解したんだろう。
「まあ、何を悩んでるかわからんけれど、相談には乗るからな」
「……感謝するよ」
結局その日の作業を終えて、自分の論文を読み返してみる。
論理展開が無茶苦茶だ。
ダメだ、頭を冷やして明日書き直さなきゃ。
待ち合わせ
俺たちの待ち合わせはいつも俺の家の最寄り駅の改札前だった。
田梨木高校とは違う駅だし、学校のヒトに会うことも少ないし、圭子にとっても都合がいいんだろうと思ってそうしたんだ。
卒論はどうせこれ以上は手がつかないからって思って、16時位に切り上げて待ち合わせ場所に向かう。
待ち合わせ場所に行くと、いつもどおり圭子が先に来ている。
なんつーか、ホント真面目だよな。
俺だって、10分前に着いてるのに。
「今日はV-MAXは?」
「そこの駐車場に停めてきた」
圭子はどうも校則の隙間を突いてバイク通学しているらしい。
頭の良いことだよな。
「圭子から呼び出しってなんか珍しいよな」
「いけない?」
「いや、嬉しい」
素直にそう話す。
さっきまでの不安は、圭子の顔を見た瞬間に吹き飛んだみたいだ。
「少し走ってみる?」
「……そうだな、それも良いかもしれない」
そう言って、俺たちは駐車場に向かった。
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ちなみに、200万円を親から子どもに渡すと贈与税がかかるので、ご注意。
※確定申告が必要なやつ
参考にした話
さて、次回。
疾走りの高揚感の向こう側で何かが起きる!
乞うご期待!