【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#6
あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?
今回もこの企画に乗っかってみようかね。
企画ページ本体はこっち。
前回のはコレ。
真人が徐々に圭子に惹かれていく物語だ。
で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w
今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。
言霊
「次、いつ会える?」
俺は特に考えることもなく、口からその言葉が出た。
放たれた言葉はもう俺の外にある。
俺の意思ではどうにもならない。
そんなことは分かっていたはずなんだけどな。
圭子はきょとんとして、そして言う。
「え、ナンパ?」
「そうか、そういうことになるのかもな」
まあ、素直にそう返してみた。
「まあ、すげえ曖昧な言い方だけれど、圭子に興味がある」
「どうして?」
俺は考えを整理してみようとした。
「まず俺も圭子も誰かが一方的な暴力でどうこうされるのは嫌いだ」
黙って圭子は頷く。
「そして、その嫌いなことに対して自分の犠牲をいとわない。
っていうか、そこに抵抗感を感じていない」
少し俯いて考え始める圭子。
「あと、ブラックコーヒーが好きだ。
ついでに美人だ」
「ついでなんだ」
圭子が微笑む。
「いいけど、真人。
あなたは私の過去を聞いても同じことが言える?」
真顔で圭子が俺に尋ねる。
俺は一瞬考えたふりをする。
ふりってのは完全に答えなんて決まっていたからだ。
「何があったか知らないけれど、俺は大丈夫な気がするよ」
「なぜ?」
「嫌いなものが一緒だからさ」
首を傾げて圭子が問う。
「どゆこと?」
「俺たちは弱者が力でねじ伏せられるってのが嫌いだ。
だから助けが必要だと思ったら体が動いちまう。
その一点を昨日の出来事で俺は確信した。
まあ、今日会ってみるまで、言葉で考えることなんて
出来ちゃいなかったけどさ」
少し考えている圭子。
「なら、自分の友だちじゃなくても、私は動いていたはずだってこと?」
「違うかい?
俺は違わないと思う。
なんでそう思ったのかはわからない。
でも違わないと思う」
俺の言葉を聞いて圭子が顔を上げる。
「今度の土曜日。午前10時ここで」
「わかった」
そうやって、圭子は去っていった。
ドルチェ&ガッバーナのライトブルーの香りを残して。
残された俺
残された俺はコーヒーを見つめながら考える。
なんであんなにスラスラと言葉が出てきたんだろう。
もう一度、圭子と会いたいと思うあまりの必死さだったんだろうか。
なんか違う。
本当に自然に言葉が出てきたんだ。
まるで、生まれてきたときからその言葉が俺の中に録音されていたように。
「運命……か」
日々データに埋もれながら生活している俺からそんな言葉が出てくるとは思ってもみなかった。
でもそうとしか表現する言葉を俺はその時は思いつけなかったんだ。
不思議と振られるとかの恐怖心は無かった。
いや、圭子が交際を断らないと思ったわけじゃない。
断るならそれはそれで圭子らしいと俺は納得していたと思うんだ。
まあ、そもそも告白ってやつをしているわけでもないしな。
っていうか、俺自身、まだ圭子のことを「好きだ」と言えるほど彼女のことを知っているわけじゃないしね。
「さて、帰るか」
誰に言うとでもなく呟く。
今日は父さんが夕飯当番だけれど、どうせすっかり忘れちまって仕事に忙殺されているか飲み屋で飲んだくれてるんだろう。
俺は自宅近くのコンビニで冷凍食品を買って家路についた。
------------
時系列わかりにくいけれど、イメージ的には圭子の転校する前のイメージっす。
参考にした話
勢いで書いてみているけれど、あってんのかな。これ。