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泣ける話グランプリ

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みなさん、泣きたいときありませんか? このマガジンは泣ける話グランプリの応募作品をまとめさせて頂いております。
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記事一覧

泣ける話グランプリ

つらいとき、悲しいとき、あなたに共感という名の癒しを与えてくれる多くの物語。

そんな物語を作ってみませんか?

noteに星の数ほどいらっしゃる小説家のみなさん。
あなたの才能で誰かを救ってみませんか?

心揺さぶられる話でもいい。ただ、堕ち行く様を描くのでもいい。

あなたの心の叫びをここに!

結果発表カヨと娘の終戦記念日 38

ゾンビと朝食を 46

金庫をプレゼント 47

こびりつい

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カヨと娘の終戦記念日

 カヨには8歳になる娘がいた。
 経済的にギリギリの生活を続けているカヨは娘を学校に通わせていない。
 昼は物流倉庫のパートに勤しみ、夜は娘の先生を務めた。国語、算数、体育と、高校までに学んだ知識と知恵を娘に与えた。最初こそ不安を感じたものの、娘が元気な笑顔をみせながら教えを聞くのをみると、そんな不安はなくなっていった。

 世間は終わりかけの戦争に夢中になっていた。
 誰も敗戦を望んではいなかっ

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ねえ、おばあちゃん

ねえ、おばあちゃん。

小さなときは、みんなで一緒に旅行に行ったよね?

伊豆の大室山に行ったとき、覚えてる?

まだ小さかった僕はあのお椀のような山を見て、すごくはしゃいでいたっけ。

おばあちゃんは、僕が車道に飛び出さないように手をつないでいてくれたよね。

それで、いざリフトで山登りっていうときになって、初めてリフトを見た僕は、なんだかとても怖くなって泣き出してしまったっけ。

その時も、お

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会いたい

りさ姉
ちっともゆめにでてこない、元気ですか。沙耶だよ。
もう、ご両親のところにいるのかな。天国でも輝いてるんだろうな。

あたしは22のとき、りさ姉と知り合った。
ちっさなスナックだけどそこそこはやってて、りさ姉は神々しいくらいきれいで話しかけるのが恥ずかしかったよ。ちんちくりんなあたしを可愛がってくれたね。

あたしは看護婦もやってたから、たまにしか会えなかったけど、二人で大好きな服の話とかし

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【短編小説】1K

※ダルさんが「泣ける話グランプリ」というものを開催しています。ぜひともこちらのページもご覧ください。

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1K

「そうだ、カレーを作ろう」

 電話を切ってからしばらくぼんやりと座っていた

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離島にて

離島にて

 旅に出ると、半分は何かを待っている。
飛行機、電車、あるいは船を。
大衆食堂でランチのできるのを。
重い荷物を抱えてホテルのチェックイン時間を。
時間の限られた旅の中で、それらは忌むべき無駄だろうか。
待つ時間も旅として楽しむべきだろうか。

 四月と言うには強すぎる太陽を浴びて。
僕は瀬戸内海の離島を目指してフェリーに乗っていた。
行きも帰りも日に三本しかない船便に、どうにかこうにか滑り込んだ

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