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ドバイの商業物件市場を分析&解説

今回は、ドバイの商業用物件の市場について解説します。ドバイの不動産投資では、ほとんどが居住用ですが、オフィスや店舗などの商業用物件の市場規模も拡大しています。日本語で詳しい解説が少ない分野です。

この記事はこんな人に向いています
✅ ファンドとしてドバイ投資を考えている
✅ 長期的な投資を考えている
✅ ドバイ市場を詳しく理解したい


商業物件とレジデンスの市場シェア

レジデンス物件と商業物件の各年の市場シェア

ドバイの不動産市場は、居住用物件が主流です。上グラフは、居住用と商業用が占める市場シェアを表しています。

左側のグラフは、年間の取引額において、商業用と居住用のそれぞれの割合を示しています。
右側のグラフは、取引総額を表しています。

2018年、2020年、2023年のグラフを見ると、2023年は商業用不動産の取引が占める市場規模が大きくなっていることがわかります。

ドバイでは、人口増加に伴い、居住用物件の開発が盛んですが、それに伴いオフィスなどの商業物件の需要が高まってきていると考えられます。

市場の推移

商業物件の市場価格推移

ドバイの商業物件の価格は、直近6年間で上昇トレンドにあります。2019年に底値となり、2020年以降は急成長しています。

このデータセットの商業物件には、オフィス、ショップ、ショールーム、ジムなどが含まれています。

成約物件の中央価格の推移

下のグラフは、Sqftあたりの価格の推移です。コロナ禍である2020年に単価として底値となり、2023年には 1.6倍以上に値上がりしています。

Sqftあたりの中央価格の推移


オフィス物件の価格推移

以下は、オフィスに絞ったデータです。商業物件全体のグラフと比べて、オフィスの値動きは異なっています。2018年から下落トレンドで、底値が2021年、2022年、2023年に急上昇しています。

オフィス物件の中央値の推移

面積あたりの価格は下グラフです。2018年から2020年にかけて、△20%に落ち込んでいます。そこから、2023年には1.48倍に上昇しています。

オフィス物件のSqftあたりの価格推移

オフィス物件の取引件数は下のグラフです。

オフィス物件の取引件数

中央値と取引件数を見ると、2020年のコロナ禍で価格、取引件数が共に落ち込んでますが、2022年、2023年に取引件数が回復しています。

2022年と2023年を見ると、2023年の面積あたりの価格は、約20%上昇したが、取引件数は同水準でした。

オフィスの取引高が上がっているにも関わらず、取引件数が増えていないことから考えられることとして、

  • オフィスの供給が足りていない

  • オフィスの価格が、市場の成長に引っ張られた

という2点が考えられます。

ドバイの人口増、法人数の増加を考慮すると、単純に不動産市場や賃料上昇に引っ張られただけでなく、オフィスの需要が高まったにも関わらず、供給が追いついていないことが予測できます。

価格レンジのシェア

次に、商業物件の成約取引における価格レンジごとのシェアをみます。
下の円グラフは、取引件数のシェアです。(土地も含む)

商業物件の取引件数の価格帯のシェア

価格セグメントは、下記の通りです。

  • ~500k: 2000万円

  • 501k~1M : ~4000万円

  • 1M~2M: ~8000万円

  • 2M~3M : 1.2億円

  • 3M~5M : 2億円

  • 5M~10M : 4億円

  • 10M超 : 4億円超

価格レンジでみると、そこまで偏ったシェアがあるセグメントがありません。強いて言えば、4億円を超える取引が22%ほどあります。これには土地も含まれているためだと考えられます。

市場としては、どの価格帯も需要があると言えます。2023年の市場の概観について、CBREのレポートをもとに解説していきます。

2023年の商業物件の市況

CBREのレポートによると、

ドバイのオフィス賃料は、国際的に競争力があります。2023年第3四半期時点で、ドバイのプライムオフィスの平均賃料は、Sqftあたり年間68.7USDです。これに対し、ロンドンは90.1USD、ロンドンウエストエンドは170.4USD、シンガポールは106.7USDとなっています。

プライム及びグレードAのオフィス賃料は、2019年と比べて、2023年は約2倍に増加しています

現在のドバイの商業物件の課題としては、下記が挙げられます。

長期的な供給問題

現在のところ、インスティテューショナルグレードの資産の占有率は92.4%と高いものの、供給が週ごとに減少しており、2024年以降に深刻な供給不足に直面する可能性が高いです。今後3年間で市場に投入されるオフィス供給は約140万平方フィートに過ぎず、既に予約が入っているスペースもあり、需要を満たすには不十分です。

特に、グレードAオフィススペースの不足

現在、ドバイ市場では質の高いグレードAオフィススペースが著しく不足しており、短期から中期にかけて改善の兆しが見えません。このような状況は約10年前にも見られましたが、過去12〜24ヶ月の吸収速度は前例のないレベルであり、地域および多国籍のテナントが対応に苦慮しています。

そのため、オーナーが非常に強気になり、リース内の柔軟性やインセンティブを大幅に削減しています。テナントは適切なデューデリジェンスを行う時間もないままに、スペースを急速に押さえています。

市場のダイナミズム

テナントはこのダイナミックな市場で利用可能な機会を最大限に活用するために、非常に機敏である必要があります。供給不足と賃料の上昇にもかかわらず、ドバイのオフィス市場は引き続き活発であると予測されます。



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