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ドバイ法人で節税できる!? 日本人が必ず知っておきたい国際税務の基本

今回は、税金の話です。ドバイ法人を設立すれば節税できると考えている人や「ドバイの銀行口座で受け取れば日本にバレない」とアドバイスしているドバイの不動産業者の日本人がいるようです。このようなアドバイスに従って、5年後に何か問題があったとしても、アドバイスをした日本人不動産エージェントは何も責任をとってくれないでしょう。正しい知識、判断ができるよう、勉強していきましょう。


1. 日本は全世界所得課税

1-1. 全世界所得課税とは

日本の税法では、日本の「税務上の居住者」については、国内源泉所得(日本国内で稼いだ所得)だけでなく、海外源泉所得(海外で稼いだ所得)も含めた「全世界所得」に対して課税を行う「全世界所得課税方式」を採用しています。
つまり、もしあなたが日本の税務上の居住者である限り、海外の口座に振り込まれる売上や配当、利息、仮想通貨の利益などもすべて日本の確定申告で申告しなければなりません。

1-2. ドバイで法人を設立しても日本に居住していれば課税対象に

「ドバイは法人税が(ほぼ)かからないから、日本の税金を回避できる」と思い込んでいる方も多いようです。しかし、日本に居住している(税務上の居住者である)場合は、ドバイ法人からの配当や役員報酬、あるいは海外で得たビジネスの利益も日本において課税される可能性が高いです。
法人そのものがドバイで優遇税制を受けていたとしても、最終的にその法人のオーナーや役員が日本に居住し、そこで所得を得ていれば、みなし課税として、その所得は日本で課税対象となり得ます。

2. 税務上の居住者と戸籍上の居住者の違い

2-1. 税務上の居住者とは

日本の税法上、「居住者」とは以下のいずれかに該当する個人とされています。

  1. 国内に住所を有する個人
    「住所」とは、生活の本拠地を指します。単に住民票があるかどうかだけではなく、家族が住んでいる場所や生活の実態、仕事の拠点なども考慮されます。

  2. 現在まで引き続き1年以上居所(継続して居住する場所)を有する個人
    これに該当する場合も、税務上の居住者とみなされます。

戸籍上は日本にあっても、実際に海外に長期間滞在していて日本に住所がない人は「税務上の非居住者」となる可能性があるため、戸籍と税務上のステータスは必ずしも一致しない点に注意が必要です。

2-2. 戸籍上の居住者とは

日本国籍を持ち、日本の戸籍がどこかに存在すること自体は、税務上の居住者判定には直接関係しません。日本人であっても長期間海外に住み、日本に住所も居所もなければ税務上の非居住者となり得るのです。
このように、「戸籍が日本にあるから日本で税金がかかる」「戸籍がないから課税されない」という単純な図式ではないことをしっかり認識しておきましょう。

3. 日本の非居住者要件

3-1. 非居住者とは

前述の「居住者」に該当しない個人が「非居住者」となります。具体的には、日本に生活の拠点をもたず、1年以上継続して日本以外の国・地域に居所を持っている場合などが該当します。

3-2. 非居住者の場合の課税

非居住者については、日本国内源泉所得のみに課税されます。つまり、海外で得た所得については、日本で課税されないことになります。
ただし、「非居住者になればすべて日本の税金を免除できる」わけではありません。 日本国内から得られる所得は当然課税対象ですし、日本国内での活動や資産に関する所得があれば、それは非居住者であっても申告・納税義務が生じます。

3-3. 簡単ではない「非居住者」判定

「半年以上海外に住めば非居住者になれる」という話を聞くことがありますが、正確にはそうとも限りません。

  • 海外滞在日数が長くても、日本に家族がいる、家がある、業務の主たる拠点があるなど、事実上の生活の本拠が日本にある場合は居住者扱いになるケースもあります。

  • 長期で海外に滞在していても、意図が観光や短期就労で、最終的に日本に戻る予定が明確であれば、税務当局から居住者と認定される可能性も否定できません。

「自分は非居住者だから海外収入は申告しなくてもいい」と思い込まず、専門家に確認することが大切です。

4. ドバイ法人の売上はどっちで課税になるか

4-1. 法人の所在地(ドバイ)と個人の居住地(日本)は別物

「ドバイ法人を作ったから、日本での課税を逃れられる」という単純な図式は間違いです。法人がどこで登記されているかと、法人から利益を得る個人の居住地がどこかという問題は別々に扱われます。

  • 法人レベル: ドバイ法人はドバイの法律に従い、現地の税制に則って課税関係が生じます。

  • 個人レベル: そのドバイ法人から役員報酬や配当を受け取っている個人が日本の居住者であれば、その個人には日本の所得税・住民税がかかる可能性があります。

4-2. 経済的実態に注目される

さらに、税務当局は書面上の体裁だけではなく、ビジネスの実態を重視します。

  • ドバイ法人が本当にドバイで事業を行い、管理・経営を現地で完結させているのか

  • 実際には日本で業務指示や営業活動を行い、ドバイ法人は郵便受けや名目上のオフィスしかないのではないか

このような「実質支配地」が日本と判断されると、「恒久的施設(PE)」課税や、場合によっては法人全体の所得が日本で課税対象とみなされる可能性もあります。

4-3. タックスヘイブン対策税制(CFCルール)の存在

日本には、いわゆるタックスヘイブン(低課税国)に設立された自分が支配する法人に利益をため込んだ場合、一定の要件を満たすと、その法人の所得を「受取配当などではなく、個人所得として合算」して課税する「タックスヘイブン対策税制(CFCルール)」があります。
ドバイを含むアラブ首長国連邦(UAE)では、以前は法人税がなかったエリアもありますが、近年は法人税導入の動きがあり、税制が変化しつつあります。いずれにしても、「税金が安い国に法人をつくっただけでは日本の課税から自由になれない」という点は押さえておくべきです。

5. 必ず知っておくべきポイント

5-1. CRS(共通報告基準)による情報交換

国際的な脱税防止のため、各国の金融機関は個人や法人の口座情報を自国の税務当局に報告し、さらに各国間で情報を交換する仕組み(CRS: Common Reporting Standard)が整備されています。
たとえドバイの銀行口座を開いても、CRSの適用範囲であれば日本の国税当局に情報が共有される可能性があります。「海外口座なら日本にバレない」はもはや過去の常識です。

5-2. 安易に「節税目的」だけで法人設立しない

冒頭で登場したような日本人の不動産エージェントの言葉を鵜呑みにしたり、「とにかく税金を減らしたい」という一心で海外法人を設立すると、管理コストや顧問料、オフィスなどの実質的な経費がかかるだけでなく、日本の税務リスク(CFCルール、PE認定リスク)も上昇します。海外法人を活用する場合、ビジネス上の合理性や実態があるのかを厳しく検討しましょう。

5-3. 「非居住者」認定はハードルが高い

日本を完全に離れて海外で生活し、日本に生活の拠点を置かないようにしなければ、税務上の非居住者にはなりづらいのが実情です。単なる海外出張や長期旅行では非居住者扱いにはならず、日本に家族や自宅が残っていれば、日本の居住者として課税される可能性は高くなります。

そして、こうすれば必ず大丈夫という明確な基準がないことがこの判断をより難しくさせています。


まとめ

  • 日本の税務上の居住者は、全世界所得に課税される。 ドバイ法人を利用しても、日本居住者である限り海外所得を申告する義務がある。

  • 戸籍と税務上の居住者判定は別。 長期間海外に住まなければ非居住者にならないうえ、日本での生活実態があれば居住者とみなされる。

  • ドバイ法人の売上が免税になるわけではない。 経営実態や所得の帰属先によっては日本で課税される。

  • CFCルールやCRSなどの国際的な取り決めが存在。 単純に海外で法人をつくれば日本の税金が回避できる時代ではない。

  • 最終的には専門家に相談し、長期的な視野で判断する。 短期的な節税のために安易な設立を行うと、後から大きなリスクやコストが発生する可能性がある。

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