2拠点生活のススメ|第151回|同じ人間同士
最近、病院通いが続いている。といっても何か体調不良というわけでは無く、インプラント施術を控え、歯医者と皮膚科へ日替わりで通うという感じ。
今日は、アレルギーパッチテストの経過観察で、午前中から皮膚科へ。雨が降っていたせいか、比較的空いていて、ホッと一息。
背中と腕に貼っていた20個ほどの試料を剥がして、医師が記録用に写真を撮る。いくつかの試料にアレルギー反応が出ていた様子だが、たいしたことは無さそう。腕には、歯医者から持ち込んだ小さな樹脂の塊を2つ貼っていたのだが、2つの形状も色もよく似ているので、剥がした後、どちらがどちらか分からなくなった。
目の前で医師と看護婦さんが、こっちが2でこっちが3、いや違うな、こっちが3でこっちが2のはずと困った様子。なんとなく覚えていたので、こっちが2だと思いますと助け船を出すと、二人顔を見合わせて、そうやったねと安堵の表情を浮かべた。なんだか可笑しくて吹き出しそうになった。
夕方からは歯医者へ。上顎部のCTを撮りなおすということで、レントゲン室に案内されたのはいいが、今度はCTの位置決め調整を巡って、2人の看護師さんが戸惑いながら何やらコソコソと話を始めた。
聞こえないふりして黙っていたのだが、多分これでいいと思うとか、医療機器メーカーに確認の電話入れよかとか、先生は上顎部奥って言ってたよねとか、なかなか二人の話が終わらないので、大丈夫ですかと笑顔で切り出してみた。
すると年配の方の看護師さんの顔がみるみる赤らんで、照れくさそうに大丈夫だと思いますと、か細い声で返事をした。確かに先生は上顎部奥の写真を撮らせて欲しいとおっしゃってましたよと告げると、今度はそれには返事をせず、まあとりあえず一回撮ってみましょうといって、二人はレントゲン室を出て行った。
機械音が止まり、どう考えても終わったはずなのに、二人が帰ってこない。重い鉛のベストを着て、機械にアゴを乗せたまま、待つこと数分。何やらまだ二人話しながらレントゲン室に帰ってきた。
大丈夫でしたかと聞くと、多分大丈夫だと思いますと笑顔で返事が返ってきたのだが、本当に大丈夫だったんだろうか・・・。
作業に患者が口を出すのもどうかと思ったけど、自分に分かることはお話しした方がいいし、笑顔で接することで、変な緊張感も払拭できるもの。
皮膚科といい、歯医者といい、どちらも医療のプロなのだけれど、現場で働いている方々にも分からないことはあるし、不慣れな作業だって有る。プロならば完璧で正確無比が当たり前と思うのは勝手な妄想で、みんな感情を持った、同じひとりの人間なんですよね。
どういう訳だか分からないけど、とてもあたたかい気持ちになった。