見出し画像

続・「言葉」が導くもの

先日このnoteで名言集めいた記事を掲げたのだが、その後もお客さまと話していて心を動かされる言葉をたくさんちょうだいし、「続・言葉が導くもの」を書くことにしました。今回は、漢字の意味するところ、なかなか深いです。

「糸へんに売ると書いて続く」


これは奈良でSaredoという糸ブランドを展開されているお客さまから聞いた言葉。お客さまは、奈良の地場産業である靴下用の糸を製造されている工場の跡取り。近年靴下の生産が中国などへと移り、出荷量が減少。そんな逆風の中でも、楽しみながら、新たな販路を求め、奮闘されている。

地場産業である靴下用糸生産を守りながら、新たにリサイクルコットン(糸を作る過程で出た落ち綿)を使ってカラフルな糸やアパレルを展開するブランドを立ち上げ、セレクトショップなど高感度なお店や地方のマルシェにも直接足を運んで、新たな販路を開拓されています。

昔から奈良の糸業界では、「糸へんに売ると書いて続く」と言われているそうで、形は変われど糸を売ることで道は続いていく、そんな心意気を感じた言葉でした。

「米へんに白と書いて粕(カス)」


これは釣り好きで、鳴門に50年通っていらっしゃる、元・病院理事長のお客様から聞いた言葉。米というのは、ビタミン、ミネラル、食物繊維など、人間が健康を保つために必要とされる栄養素をほとんど摂取できる“完全栄養食”。日本人は、米さえ食べていれば健康でいられると力説するお客さま。

お米の栄養素 白米と玄米

特に玄米には、体内の毒素を出す働きを持つフィチン酸という物質も含まれているそうなのだが、精米することで、他の栄養素と同様に失われてしまうものらしい。だから、「米が白くなることで粕(カス)」になるのだという。

巷では糖質制限などと言って、米を遠ざける風潮があるが、日本人はお米を食べるのが一番の健康。素食でお米中心の生活がなによりとおっしゃるお客様は、現在76歳。見た目は60代にしか見えないし、つい最近までラグビーをやられていたとのこと。今でも釣りや山登りをするために、日本中どこにでも出かけて行かれるらしい。これぞ先人の知恵、強い説得力がありました。

「自らに由ると書いて自由」


兵庫県でギャラリーをやっていた時のこと、毎年新年に企画展をやっていたのだが、ある年「問いと答え」という展覧会をおこなった。女子高生や芸術家、ミュージシャンや編集者など総勢10名の問いを展示し、その周りに来場者が答えを付箋に書いて貼っていくという、誰もが参加できるユニークな展覧会だった。

私も質問者として「自由って何ですか?」という質問を展示した。映画イージーライダーじゃないけれど、子供の頃から自由への憧れが強くて、本当に自由な世界は何処にあるのだろうと考え、バックパッカーでアジアを放浪したり、北海道で酪農をしたり、社会にでてからもフリーランスという働き方を選択。けれどどこにも自分の求める自由というものは無かった。そんな経験からみんなに聞いてみたいと思ったのだ。

展覧会も終盤を迎え、私の質問のまわりにも多くの付箋が貼られるようになった。
その中のある答えを見た瞬間、思いがけずバットで頭を殴られたような気がした。それが「自由とは自らに由るもの」という言葉。自由というのは、環境や他者との関わりの中にあるのではなく、自分の心の中にあるもの。たとえどんな状況でも、自分が自由だと思えれば、それが自由。自分を縛っているのは、自分なのだと。

不自由さを何かのせいにしているうちは、本当の自由など訪れないものなんですよね。宿を始めて、その意味が少しづつ理解できるようになってきた気がします。


いかがでしたでしょうか、「続・言葉が導くもの」。
名言って本当にいいものですね、それではさよなら、さよなら、さよなら(笑)。


画像クリックで詳細リンクへ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?