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2拠点生活のススメ|第181回|職業的なりすまし

商業映像を作る仕事をしていると、当たり前だが毎回お題が変わる。

昨日まで難しい薬の話をしていたかと思うと、今日はアマミホシゾラフグの話をしていたりする。作るのは同じ映像というものだけれど、望むと望まないに関わらず、その中身は多岐にわたるし、脈略無く次々と変わる。

よくもまあ30年近くも、その都度分かっているような顔をしながら、いろんな仕事をこなして来られたもんだ。もちろん、分かろうと最大限努力もしてきたが。

いわば、「職業的なりすまし」の人生だったとも言える(笑)。


この仕事を始めた頃は、映像というのはまだ特別なモノで、ほんの少しの作る人と、大多数の見る人という構図だった。ディレクターという仕事を人に説明しても、たいてい良く分からないと一蹴されていた気がする。

当時映像は、お金も時間も手間(人手)も掛かるモノという認識があったせいか、予算も時間もしっかりあったし、それこそスタッフも大勢いて、ああでもないこうでもないと試行錯誤して作っていたような気がする。

それがいつのまにか、小さなカメラとパソコンで誰でもが映像を作れるようになって、youtubeで再生回数を集める素人が、映像プロダクションの社員よりよっぽど稼ぐといった時代になっていた。

これ好き、これ嫌いと、一瞬でスワイプされてしまう時代に、プロとか、アマチュアとか言ってる意味があるんだろうか。

注文に応えられるのがプロ? お金を稼いだらプロ? 名刺を持っていればプロ?

案外、「職業的なりすまし」ができることこそ、プロの証なのかも(笑)

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