厚型テレビのフリッピングボタン
改訂した回数『0.1』
子どものころに使っていたテレヴィは向かって左の側面にしかスピーカーがついていなかった。
前から音声が出ないのだ。
正面に座ろうとあまり聴こえないために
部屋の角に置き、音声を反射させていた。
映っている番組ともどもはなはだアレなこのテレヴィちゃんはリモコンにも輝かしい機能がついていた。
『ひとつまえに』ボタンだ。
押すと、ひとつまえに視ていた番組に戻るのだ。
ザッピングをし
ふと「あ、今さっきの番組をもう一回!」
というときに便利ですよ。おくさん。
『4』→『5』→『6』→『7』とチャンネルを変えたあとに押していくと、
『7』→『6』→『5 』→『4』と戻っていきます。
……。
…………。
………………。
……………………。
違う。
子どものころに風見が想像した『ひとつまえに』ボタンの機能は今記したとおりだ。
実際はこうだ。
『4』→『5』→『6』→『7』とチャンネルを変えたあとに押すと、
『6』に戻る。
もう一回押すと、
『7』に戻る。
もう一回押すと、
『6』に戻る。
もう一回押すと、
『7』に戻る。
……。
…………。
『5』に戻らないじゃん。
チャンネルを色に置き換えると解りやすい。
『🔴』→『🟡』→『🟢』→『🔵』とチャンネルを変えた。
画面には青色🔵が映っている。
『ひとつまえに』ボタンを押すと、
画面には緑色🟢が映った。
緑色🟢のひとつまえには何色が映っていたか。
青色🔵だ。
黄色🟡ではないのだ。
なんだこのボタン。
いらない。
なんだこのリモコン。
いらない。
なんだこのテレヴィ。
映っている番組よりも
このテレヴィを物理的に視ているほうが愉しいかもね。
おわり。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?