宇宙に響く「あーっ!アハハハハ!!!!(手を叩く)」 [Outer Wilds/感想]
面白すぎて快感の塊になっちゃった。
Outer Wilds、クリアしました。DLCはまたいずれ。
実は丁度2年前にSteamウィンタセールで買ってて、当時5時間程プレイしてた。そしてその後「俺宇宙ダメかもしれん…」と積んでしまった。
当時何がキツかったのか。それは、この世界が見た目以上にずっと孤独で、広大すぎたからだ。
子供の頃、「僕が死んだあとの世界はどのように続くのだろうか」とひたすら考えたことがある。死んだあととは、身内や子孫の話ではなく、この地球含め宇宙全体がどうなるのかという非常に広大な「後」の話だ。
考えれば考えるほど、なんだか真っ黒しか見えなくなってくる。隕石だとか超新星爆発だとか、そんな現実味の無いものでさえも、明日やってくるんじゃないか。
とにかく不安に駆られていた。思えば海も苦手だ。深く深く潜った先にある、暗い単色の世界も似たようなものだった。
じゃあ、なぜトラウマ持ちが宇宙に帰ってきたのか。コレです。
これをOuter Wildsの説明代わりにしたいくらい。します。
各務都心氏による、ゲームシナリオの解剖学。確か記憶が正しければ、昔VA-11 Hall-Aをクリアした後の余韻で三ツ矢サイダーを飲みながら(当時酒が飲めない年齢だった)記事を探していたらこのシリーズに出会った。
コレがまぁ面白くて。以来気が向いたときに解剖学を読んでいるが大体全部面白い。他にも最近クリストファー・ノーラン監督の映画など、SFに触れる機会が多かったのもある。
好奇心は猫をも殺す、しかしあの恐怖は殺せるのか?
解剖学をきっかけに、証明に向き合う時が来た。
もう一度エンジンを吹かし、Outer Wildsに出発した。
ビックリするほど動かしづらい
最初に言っておくと、Outer Wildsはコントローラー推奨である。
チュートリアルの小型探査機の操縦で大体わかる。キーボードマウスだとビックリするほど動かしづらいが、コントローラーなら割とやりやすい。
加えて、無重力特有の掴みどころのない動きがプレイヤーに苦痛を与える。ちゃんと"転がる"ことが大事。
因みに僕はキーボードマウスでゴリ押した。一人称視点はマウスじゃないとやってられない。
レッツゴー宇宙探検
〇〇に行け!とわざわざ指示されることはなく、欲望の赴くままに宇宙に飛び出せる。ただし割とすぐ死ねるし22分経っても死ぬ。
なんなら爆発寸前のBGMで結構焦る。
文字通り身体で覚えるしかないが、正直最初の3時間は結構難しいしもどかしかった。各惑星にご丁寧に「初めての方はコチラ!」なんて入口はない。
その辺にある情報を拾ってもイマイチぱっとしない。しばらくは線の無い点情報を拾い続けるが、実はこの時期が大事。
大丈夫、後で"返って"くるから。
あーっ動くな探査艇ェーッ
宇宙なので当然空気がない。つまりプレイヤーは有限リソースを使って探検することになる。もちろん補給先=探査艇はあるが、いつでも留まるとは限らない。
だって宇宙だからねぇ。
よくあるのが探査艇ロスト。惑星の気まぐれでお家はどこへやら、重力を引っぺがして、酸素と燃料とヘルスを宇宙空間に放り出される。用意されたイベントではなく、単にスペースラックとプレイヤーの不注意で起きるのが良いんだ。ここで生きてるって感じがある。
快感と、謎と、とびっきりの快感
(ネタバレ無しここまで)
情報がある程度揃ってくると、朧気ながら歴史が見えてくる。Nomai族がなぜコレをつくったのか。どうやって不可能を可能にしたのか。謎は多いが、それでも一歩ずつ理解できるようになる。
しかし、その一歩が明らかにおかしく進んでしまう時が来る。必ず。
Into the Breach、もしくは詰将棋ならば、駒のパターンを何気なく試している内に「アレ?…アレ!?」と解法を掴んだことにテンポ遅れて気づくことがあるだろう。
あの快感がOuter Wildsにある。しかも、とびっきり極上の快感が。
保証しよう。過程を積み重ねクリアしたプレイヤーは、例外なくOuter Wildsの"尊さ"に心を奪われる。
noteで[outer wilds]と検索してみてほしい。心を奪われ、どうしようもなくなったプレイヤーの声で溢れている。
それで、僕はどうなったかって?タイトル通りですよ。
以下ネタバレ注意。
答え合わせ
あの終盤ログは、灰の双子星の内部で先進的ワープコアを発見したものだ。
ホントは宇宙の眼の渦に入った後のログも良かったのだが、苦労した分が遅れに遅れて返ってきたのは間違いなくこのシーンだった。
灰の双子星の内部にどうやって入るか、これが一番難しかった。
この時点で探索できていない唯一の惑星がココであり、Nomai族最大のプロジェクトの深奥だ。確か以下の仮説を挙げていた。
量子の月同様、観測次第で行けるかどうかが変わる
場所をどこに絞る?いや作るのにそんな不安定な場所で大丈夫か?
各星から内部に直通でいける?でもどれも受信であって送信はない?
建設にあたりNomai族は各星から材料・機材を持ってきている
燃え盛る双子星の研究所のワープコアがキーのテレポート
結局理論のシミュレータでしかなかった
灰の双子星の北南極のエネルギー供給パイプに通路がある
超新星爆発に耐えうる外殻でスキマもないのに通路があるわけがない
燃え盛る双子星の研究所内に隠しワープ
ありそうでない~w
灰の双子星上のワープ塔のうち天井がない方
なぜ直列上=頭上に足場の星が来るわけでもないのに内部へ…?
できる~wズビュンッ
こうやってみると色々試してた。結局、無いと思ってた一番下の方法が正解だったという…。
中のワープコアを見た途端。
船の内部構造、眼の座標、アンコウの回避方法、Nomai族の悲願、先輩達ですら届かない地点、Solanumの旅の終わり、プレイヤーの旅の終わり、哀愁、希望、緊張…そして、好奇心が一気に身体を駆け巡った。
さらに、ワープコアを持って飛び立つと専用のBGMが流れるニクイ演出。タイトルはFinal Voyage(最後の旅)…𝑬𝒎𝒐...
ここに建てる気が知れない
ここから先は発見した時系列に沿って旅を振り返る。
突発的な探索で苦労した星は脆い空洞かな。南部観測所に探査艇で乗り込もうとして、あまりにも停める場所が無いもんだから無理やり木の上に滑らせて着陸(?)したら、足場がなくて落ちかけて…あの時はかなり焦った。
あと量子知識の塔。「塔がブラックホールに落ちてから内部に入る」と結論付くまでかなり時間かかった。「いや絶対マシな方法があるはずだ」って仮説を頑なに受け入れなかったからね…。
ブラックホールの鍛冶場もそう。何故天井に作るのか。重力足場に張り付けるまで結構苦労した。
他にも、Nomai族の住処を訪れたときのBGMがかなり良かった。哀愁漂う中、電子音が不規則に流れて不安を煽るという「絶滅」にふさわしい劇伴で大満足だった。
ともあれアンコウ滅ぶべし
闇のイバラにいるアンコウがデカイ。初めて見たとき素直にバック噴射したらご丁寧についてきやがった。燃え盛る双子星でアンコウの対処法のヒントを見てもすぐ思いつかなかったけど、スカウトに反応しない事から「これデモンズソウルの古い勇士じゃね?」とひらめいた。
目が見えないならば音探知、宇宙なら等速運動、じゃあ助走付けてダイブすれば…?
おおお~うっわキッショイ!ミサイル何で積んでねえんだこの船!?
この後Feldsparを発見してお世話になったのはまた別の話。
アンブーッシュッ!ゲッダーン!
量子の月は分からないうちに上陸してしまった。「月は何故か近づいてもすり抜ける」という謎があり、通過する前提でリトルスカウトをテキトーに投げていたら、偶然観測してしまいランディング。奇襲かな?
着いてから気付いたよね、「量子のかけらはさまよう月と同じ」って。結局この時は祭壇を見つけて中に入るのが精いっぱいだった。
ちなみに巨人の大海の量子試練は2年前プレイした時に唯一解いたものだったのですでに終わらせていた。スカウト駆使するの面白い。
どこいったのColeus君
灰の双子星内部の次に苦戦したのが、湖底の洞窟だ。指定された場所に行っても行き止まり。う~んこれどうするんだろう…
そこで、同時期に進めていた月の祭壇から、燃え盛る双子星に量子ギミックがあると考えた。行き止まり地点で回っているといつの間にか道が開けていて、暫くは突破したことに気づいていなかった。
しかし面白いよね。灯りを消してワープ出来るの。でもコレを祭壇で生かせると気づくのは当分後…
は?
僕が一番首を傾げたヒント。灰のやつはこれもあって難航した。
彼らの旅路の果ては
ここも結構印象的、というか、泣きそうになった。
終点で流れ出すCastaways(漂流者)の後半。Nomai族のログの多くが活発な議論の中、侵入者のダイアログはあまりにも寂しく、絶望的だった。
歪んだピアノが、何もできなかったPokeとPyeの悔恨のようで胸が締め付けられた。
Feldsparバッカじゃねえの!?
宇宙の眼って何だ?
→巨人の大海の中心にある軌道探査機を調べたい
→到達したFeldsparに教えを請おう
→絶縁体持ちクラゲ…?試食…?
まぁ食べるのは百歩譲っていいとしよう。緊急時ワンチャンあるし。
でもコレはないわ。絶縁体だからって生きているクラゲの内部に入るか…?やっぱりアンコウの死骸をキャンプにする奴はひと味違う。
対話がしたい
対話がしたい。したかった。
あれだけの叡智と技術を持ったNomai族と対面できたのに、僕らHearthian側は何も話せず、簡略化されたコミュニケーションしか出来なかった。
The Forgotten Cityと同様、情報を糧とするビデオゲームでは対話はとにかく垂涎物だ。もっと知恵がほしい、好奇心を満たしたい…せっかくのチャンスなだけに、この壁は悔しかった(ゲームの仕様に不満ではなく、ひとりのHearthianとして)。
ちなみに初めて祭壇突破した時の感動は凄かった。その試行錯誤が長かったせいで、Solanumとの会話が終わった途端にループに入ってしまった。悔しい。
怖いはずなのに
怖くないわけではなかった。ただ、好奇心が。好奇心があまりに肥大化してしまった。
"Travelers"
宇宙の眼に飛び込んでからは、ずっと口が開きっぱなしだった。
理解していたような気もするが、たぶんよく分かっていなかった。
カオスの中で、はっきりと理解したものがひとつだけある。
死にゆく宇宙の中で、仲間との最高の時間が今から始まるということ。
口笛、ドラム、バンジョー、フルート、ハーモニカ、そしてピアノ。キャンプファイヤーを囲んだ、最初で最後のセッション。始めるタイミングを一任され、口笛からタクトを振った。
寂しさもなく、別れの歌でもない。ただのセッションだけど、全員がこの思いを共有していた。
宇宙を救う方法は無く、ただ自然の一部でしかない。それでも良いということを。
Outer Wilds、素晴らしいゲームでした。