新型コロナ1__1_

新型コロナ:負けない世界のために

12月に発生、3月にコロナショックの世界

12月に中国で発生したCOVID19、新型コロナウイルス。1月にはまだ、感染は中国、韓国、日本など、まだ限られた地域にだけ流行していると、世界は見ていたかもしれない。3月13日日経平均株価は一時1800円安になり、約30年ぶりの低下を認めた。3月10日には日経平均株価は20,000円だったが、3月13日には一時17,000円となった。世界同時株安、世界にコロナショックが広がった。

相次ぐ各国の非常事態宣言。突然、恐れ始めた世界

1月20日の感染者数は、世界で282人。中国278人、その他4人。                 3月14日の感染者数は、世界で142,320人。中国81,021人、その他61,299人。

3月11日にWHOのテドロス事務局長が"COVID19のパンデミック(世界的な大流行)である"と、ようやく認める発表をした。この発表を皮切りに、3月15日までに世界の11カ国で非常事態宣言が国民に向けて発動された。スペイン、チェコなど、ヨーロッパの国などでは食料品店やガソリンスタンドなどを除く、レストランなどの店は休店することなどを命じられている。

 現在、感染者数は、ヨーロッパなど中国以外の国で急増している。

2月20日以降、中国以外の国で、急増し始めた感染者

以下のグラフを見て欲しい。青い線が世界のCOVID19の感染者数である。赤い線が、中国以外の国の感染者数である。まず、青い線を見て欲しい。世界の患者数は、1月後半に増え、2月に入って膨らむように急増している。この膨らみは、患者数が激しく急増した可能性と、検査する数が増えたことも理由にあるかもしれないが、しかし、中国で起こった感染者数の爆発的増加が数字でこのように認められている。中国の感染者数は、青線から赤線を引いたもの、つまり、このグラフでいうなら、青い線と赤い線の間の空間が中国の感染者数である。では、赤い線の方を見て欲しい。2月前半までは、ほとんど中国以外の国の感染者数はいなかった。しかし、なだらかに2月20日から感染者数が増加し始めている。そして、3月に入って急増していることがわかり、赤い線と青い線が、平行に動いていることがわかる。3月に入ってから3月13日までは、中国以外の感染者数の増加が、世界全体の感染者数の増加を押し上げている状態である。

画像1

ヨーロッパやアメリカでの感染者の増加が目立つ

現在、ヨーロッパの感染者数が、特に急増している。グラフは、以下のWHOのデータを見て欲しい。(Figure 2. Epidemic curve of confirmed COVID-19 cases reported outside of China (n=61 518), by date of report and WHO region through 14 March 2020)

感染者数の急増は、入国制限の難しさや、医療へのかかりやすさが原因の一つになっているかもしれない。中国への関係から入国制限の設定が困難な国ある中、ヨーロッパではシェンゲン協定によってヨーロッパ内を自由に移動できる背景がある。各国の入国制限の難しさが感染予防を難しくしたかもしれない。また、医療への受診のしやすさが低いという点もあるかもしれない。国にもよるがイギリスやヨーロッパの国の一部では医療システムとして、地域ごとに開業医の指定があり、自由にクリニックを選べないため、気軽に医療機関をかかれない状況も見られる。公立病院は無料でも、私立病院は個人的に民間の保険に入っていなければ医療費が高額になる場合もある。アメリカはさらに医療費が高額である。こういった医療保険のシステムが、国によって死亡率を高めることにもつながる。アメリカやヨーロッパの国でも、医療の質が多いところが多い。しかし、システムとして、”高い”、”アクセスが悪い”という点が、感染者数を増やし、死亡率を高めてしまうことにつながるのだ。

いつもなら、日本の医療の問題点で聞かれる話題といえば、「医療費が高い」「3分診療」というものがほとんどだ。しかし、コロナ感染で世界と比較して見えてきた日本の医療システムは、本当は、”安い”、”アクセスが良い”、”医療の質が良い”、なのである。

もしも感染国全土の入国制限を2月中にしていたら

中国の一部の地域からの入国制限をした国もあった。または、中国からの飛行機の直行便の休止をした国もあった。

その中で、2月中に、中国からの入国制限をした国もある。

中国全域からの入国制限(*2週間以内の渡航者の入国制限)を開始した国2月1日 オーストラリア、2月3日 アメリカ、 シンガポール2月5日、 ベトナム2月7日、 台湾 2月22日、 モンゴル 2月25日、 イラク 2月26日

ヨーロッパは、直行便の入国禁止をした国はあるが、シェンゲン協定があるため、自国以外のヨーロッパの国から入国してくる感染者を制限するすべはない。シェンゲン協定のあるヨーロッパの国どうしでは国境検査なしで国境を越えることを許可しているからである。

もしも感染国、つまり今回は中国ということになるが、感染国全土からの入国制限が2月中にできたなら、このような世界的流行を防げたか、少なくとも現在よりは感染を減らせたのではないだろうか。

コロナ”ショック”は、”人の心が作る”もの

3月11日にWHOがパンデミックを宣言した。遅すぎた宣言とも言われる。感染が広がっている国々では、すでに真剣に感染予防に取り組んでいる。しかし、まだ、感染を身近に感じていない国の人々にとっては、「パンデミック宣言は未知の感染への恐怖」の発端ともなったのではないだろうか。

「カナダ首相夫人が感染した」「トランプ大統領が感染者と接触していた」「トムハンクス夫妻が感染した」「ヨーロッパのサッカーリーグ選手が感染していた」

このような話題が世界のニュースで飛び交うと、コロナウイルス についてこれまで情報が少なかった国の人々は、急激にパニックに陥りやすいのではないだろうか。感染から3月までの4ヶ月間、すでにウイルスと戦ってきた国の人々よりも、アメリカやヨーロッパなどこれから感染が広がる国々の陥っている現在の不安感は、大きいのではないだろうか。2ヶ月前から中国や日本で見られていたスーパーでの無意味な”トイレットペーパー”の行列は、今はアメリカやヨーロッパで同じように問題になっている。

感染国で起こったパニック、2週間後の欧米での精神的パニックを防げた可能性

しかし、中国や韓国、日本などで起こった感染状況や、パニック買いの状況を、世界に発信し、世界的に深刻に受け止めてもらえていれば、どうだっただろうか。アジアの感染国などで見られた人々の精神的なパニックが、約2−3週間後に欧米で起きた精神的なパニックを防げたのではないだろうか?

経済的コロナショックに見舞われた世界

新型コロナ感染症は、2%ほどの致死率である。基礎疾患がある人や高齢者以外は、感染しても治る病気である。治れば、感染して、基本的には免疫もつけていると考えられる。だからこそ、感染を予防し、病気になっても、通常の風邪の対処をしっかりすることである。水分、食事、睡眠である。

つまり、トイレットペーパーや食物の少なさは関係がない。落ち着けばわかることである。

世界に生かせ

世界経済を語ることは私にはできないが、少なくとも、経済的に悪くなるからという雰囲気で、全て自粛、ネガティブに行動することは、できれば避けたいものだ。恐慌にならないよう、できることなら仕事を極力続けられることが、人にとって、国にとって、世界にとって大切であろう。でも、感染予防の観点から、人口密度の高くなる環境が避けるべきであるから、できる仕事もあれば、できない仕事が出てくるのも事実だ。

今の時点では、日本はもはや、仕事を泣く泣く自粛しなければならない時点になってしまった。だからこそ、世界の国が入国制限を感染予防の観点から、2月中に行っていれば、今の世界恐慌の雰囲気はもう少し違ったものになったかも、しれない。今は国境を占めて、せめて国内での仕事は続けて、数ヶ月様子を見ましょう!という雰囲気が、2月の時点で作れたらよかったかもしれない。つまり、この経験を、まだ感染の広がっていない、アフリカなどの国々にも真剣に伝えたい。入国禁止をしていない国もまだ多い。強国に遠慮している国も多いだろう。そして、この経験を、次の将来の世界の感染症流行の時に、ぜひ生かしたいと思うのである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?