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映画レポ パラサイト 半地下の家族(ネタバレ&考察編)

金曜ロードSHOW!で「パラサイト半地下の家族」がやっており、とても面白かったのですが、意外と周りに観ていない人が多く、「怖そうだから」「暗い映画でしょ」という誤解があったので「違う!超絶エンタメ映画です!」という思いで、今さらですがノートします。

パラサイト 半地下の家族 監督ポン・ジュノ
韓国映画 2019年5月公開 日本公開は同12月
アカデミー賞4冠 作品賞 監督賞 脚本賞 
                                 国際長編映画賞

エンタメ度 ☆☆☆☆☆
ホラー度  ☆☆☆
謎解き度  ☆☆☆☆☆

コチラは、映画を観た後用のネタバレ編です。
まだ観て無い人はコチラ[推しキャラ編]

映画、面白かったですね!観た後、色々引っ掛かった事を、ネット検索した人も多いのでは無いでしょうか?私もその1人です。

私の個人的に印象に残った物事やシーンを、紹介&考察します。

格差の見せ方 コレは冒頭からとても、わかりやすく何度も登場します。
リアルな"高低差"や"線"での分断 土地の上下、階段の上と下。窓の中と外。また、画面を分断する家具や窓の線も階層の分断を表現しています。意識して観ると本当に細かく表現されています。
大雨が降って、半地下の家が洪水により水で溢れて家をおいだされ、明日もどうなるか分からない。そんな時も、高台のセレブの家では雨が降った事で空気が澄んでいて「ガーデンパーティがしたいわ」と奥様が言う。殺意が湧く気持ちが分かります。セレブ一家には全く悪気も関係も無いんですけどね。何度も繰り返し表現される格差。現実の韓国でも、はっきりと格差を感じていて、お互いに分断されていると言うメッセージを感じます。

◇写し絵としての家族 この映画の仮タイトルは"デカルコマニー"(写し絵)だったそうです。そう思うと、"ポンコツなヨンギョと無計画なギテク"、"インディアンになりたいダソンとミニョクになりたいギウ"、"アッパークラスに一番近いギジョンとアッパークラスが嫌いなダヘ"、"IT社長のドンイクとメダリストのチュンスク"。二つの家族が写し絵の様に呼応しているように見えます。
"ギテクとチュンスク"、"地下の男と桃アレルギーの元家政婦"にも写し絵を感じます。

◇石が象徴するものは? ギウが洪水の中、大切な物として避難所に持ち込む石。ミニョクに貰った山水景石。洪水の時、水の中で浮いてるんですね。。うーん。これ本物??
学歴、裕福さ、幸福のメタファーとして出て来ますが、コレが"偽物"だとしたら、偽物として寄生に成功した家族、正に現状を表しています。

◇セレブの奥さんが庭で居眠りしてるシーン
この時、奥様はドラッグを嗜んでいるんだと思います(仮説)。旦那さんと上手くいってるようで、そうでもない。絶対君主としての旦那様との立場の差。若くて美しくトロフィーワイフの扱いを受け、お金には不自由しなくて欲しいものは何でも買える。でも満たされない。変な英語を使うのは、知性へのコンプレックスかな。明るくて素直で可愛いけど、何か違和感が有るんですよね。
劇中で、奥様はあまり子供に触れ無い
コレ、本人も愛が足りてないんですね。自分に無いから与えられない。犬はドックフードの管理もバッチリなのに。ぬいぐるみの様に犬を抱いて、母親なのに大人になりきれない。子供は寂しくて不安定になって身近な大人に依存する。悪循環。

◇"匂い"に敏感な子供 ギウが最初に来た時から、ネイティブアメリカンの矢で攻撃するダソン、パラサイトされる事を危惧してるんですね。
雨なのに外にテント(アメリカ製)を張って過ごすのは、室内に蔓延している匂いが嫌なんでしょうね。一方奥様は匂いに気が付かない。旦那様に言われて初めて意識するんですね。

多層構造 この映画の大きなサプライズ、地下の男。最初は、セレブ家族と半地下家族の2段階構造かと思うのですが、実は更に地下に男がいる多層構造。借金取りから逃げており、地下を出られない、世間的には生きていると認識されていない、底辺の世界。セレブ家族の旦那様をリスペクトしている。。旦那様は気付きもしないですが。
実は旦那様も階層ピラミッドのトップでは無く"世界"視点から見れば、階層の中。アメリカに憧れアメリカの物を無条件で信頼している。そのアメリカはインディアンを追い出して建国している。複雑な多重構造になっているんですね。

何でギジョンが死ぬことに? それはギジョンは半地下家族の中でも一番セレブ家族に近い存在だからです。お風呂に入ってる時にギウが"しっくりくる"と言っていますね。タバコを吸っているせいか、半地下の匂いを感じさせず、セレブの家でダソンといる時、入って来る母親に「ノックをして下さい」とセレブ側に立って境界線を引く。パーティの中、ケーキを持ってセレブの中に違和感なくいる、ギジョンが殺されてしまうのは偶然では無いのです。階層を上がろうとする物を、その下の者が引きずり落とす。なかなか階層を超えられない、韓国の分断された格差社会の象徴なんですね。

散りばめられた国際問題 ギジョンが初めてセレブの家を訪ねるシーン。"ジェシカ"としてインターホンを押す前に覚えた事をリズムに乗って繰り返すシーン、印象的ですね。あれは、ジェシカソングとして韓国では話題になったそうですが、韓国が竹島(韓国名:独島)の領有権を主張する曲 ”独島は我らが領土” の替え歌なんですね。ホットな国際問題を映画にぶち込む。ポンジュノ。。何してくれてるんだ。。そもそも、半地下自体が北朝鮮からの攻撃に備えて作られた防空壕。。北朝鮮アナウンサーの真似をする元家政婦。もう、笑って良いのか分からなくなります。

他にも、ダイニングの椅子の数が増えるとか、ダヘは整形しているとか、入院したギウの笑い方は"ジョーカー"の笑いとか。あ、入院している時に来た警察官が、必要以上にポンコツに表現されているのも問題提起なのかな。と思ってみたり。仕掛けがふんだんにされていて、キリが有りません。

結局、誰が悪いのか?と考えると、答えは出ないのですが、超絶エンタメ映画として、とても面白かったので、皆さんも是非考察しながら観てください!

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