自分にとって大切なことって言われても分からない人へ
自分にとって大切なことは何だろうと考えてもすぐは分からない人は多いのではないでしょうか。
それは大切なことや本音を押し殺しながら生活していることが関係しているかもしれません。精神科医として心理学的な点から解説してみたいと思います。
親や学校、会社、コミュニティにおいて、安心感がなく、常に相手の顔色を伺って、相手の意向や期待に沿って動いていると人間は段々と自分の気持ちを押し殺すのが癖になって、自分が何が好きなのか、大切なのか、本音が分からなくなっていきます。
どこからこのスタイルが始まったのかは人それぞれです。
子供のときに「絵描きになりたい」と言ったときに、親から「そんなお金にならないことはやめておきなさい」と言われたことかもしれませんし、友達に好きなキャラクターを伝えたときに、「そんなダサいのが好きなんだ。変なやつ」とバカにされた時かもしれません。
それよりもっと根本的に幼少期に、好きなお父さんやお母さんに触れたときに怪訝な顔をされた体験が自分をださない始まりになっている人もいます。
日本は不思議な社会です。生徒の自主性を尊重すると言いながら、ブラック校則で子供を縛り、社員のクリエティブな発想を期待すると言いながら、いざ提案すると「くだらない」と一蹴されます。
友達は多いほうが良い、大学は出ておいたほうが良い、会社は大企業で、フルタイムが良い。
ダイバーシティという言葉で多様性のある社会を目指すと言いながら、現状は型にハマることに特化した社会と言えます。
こんな社会で自分にとって大切なものを持ち続けるのは容易では有りません。こんな認めてくれない社会だからこそ、自分で自分を認めることが大切です。誰かにバカにされて侮辱されて汚されてしまったと感じるかもしれませんが、ちゃんと心のなかにはあって、汚れてもいません。
日本でカウンセリングというと怪しいイメージもつきまといますが、本来は、周りからの余計な不純物で見えなくなった自分が大切にしているものを発掘するお手伝いをするものです。自分が好きなものは好きでいいんだと思えるようになるのをサポートするものです。もし、これを読んでいる人がこの様な悩みを抱えていたら、精神科医や、臨床心理士や公認心理師の元を訪ねてみてください。
そこまでは勇気が出ない人に一番かんたんな自分の大切なものを見つける方法をお伝えします。
それはやっていて苦しいかどうかです。本当に自分にあっているもの、本音に近いものは大変でも苦しくありません。苦しい時は、何かがずれていて修正が必要だと心と体が教えてくれています。どこがずれているんだろう、本当は自分はどうしたいのだろうと、自分の本音と現実とのギャップを探ってみてください。