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【医師解説】毛包幹細胞を使った毛包再生医療

最近毛包再生医療と毛包幹細胞を使った再生医療に関する進展がありました。

毛包再生医療の研究では、後頭部の毛包から取り出した結合組織性毛根鞘細胞を、壮年性脱毛症の患者の脱毛部位に注射することで、毛髪の量や太さが改善することが報告されています。これは難治性の脱毛症に対する治療法として期待されています。

一方で、毛包幹細胞を用いた再生医療の研究では、マウスの神経再生や脊髄損傷の治療においても有望な結果が出ています。
具体的には、毛包幹細胞を特定の神経部位に移植することで、末梢神経や中枢神経が再生し、運動機能の改善も見られています。

また、毛包幹細胞から心筋細胞を作る研究も進行中です。ラットの毛包幹細胞を心筋に変化させることで、心臓の筋肉細胞が増え、心臓の損傷部分の再生が促進される可能性が示唆されています。
この手法はiPS細胞など他の幹細胞よりも安全性が高く、末梢神経、脊髄、心臓の再生医療において臨床応用が期待されています。

総じて、毛包再生医療と毛包幹細胞を使った再生医療は、脱毛治療や神経再生、心臓の再生などにおいて新たな展望を開いている分野であり、今後の研究がますます期待されています。

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範

【参考文献】
1) Yamazaki A, Yashiro M, Mii S, et al: Isoproterenol di- rects hair follicle-associated pluripotent (HAP) stem cells to differentiate in vitro to cardiac muscle cells which can be induced to form beating heart-muscle tis- sue sheets, Cell Cycle. 2016:15:760-765.
2) Takaoka N, Yamane M, Obara K, et al: Hair-follicle- associated pluripotent (HAP) stem cells differentiate

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