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ナトリウム/Na:私は悪者じゃないですよ
原子番号11の元素。
ラテン語のnatron(天然ソーダ、炭酸ナトリウム)に由来する。
英語名Sodiumは、ラテン語のsodanum「頭痛を癒すもの」が語源であり、薬として利用されている硫酸ナトリウムの効能によるとされている。
ナトリウムといえば、とにかく塩である。
塩化ナトリウムNaClは、最も身近な調味料で有りながら、近年健康を害するとして疎まれているが、「塩=悪者」という考えは間違っている。
人は、海から生まれ陸に上がった生命の歴史を全て体のシステムに保存している。
陸に上がった生命は、体液として海を保持している。
人の血液を舐めてみると、鉄の味に加えてしょっぱさを感じるはずだ。
血液中に最多のミネラルは、ナトリウムNaとクロールClなのだ。
生命にとって、水は生きるのに欠かせないが、ナトリウムが無いと、人は体の海である体液を維持できない。
体のナトリウムが不足することは、生命の根源である海を失うことになり、最悪、死に至ることもある。
ナトリウムの役割
ナトリウムは、体内でカリウムと共同で働くので、ブラザーイオンと呼ばれている。
約50%は細胞外液中に、40%は骨格に存在し、細胞内にはわずかに存在する。
生命に必須の水分や細胞の維持に欠かせない。
体内の水分バランスの維持
細胞外液の浸透圧を維持
酸・塩基平衡
筋肉の収縮
神経の情報伝達
栄養素の吸収・輸送
血圧を調節
胆汁、膵液、腸液などの材料
ナトリウムの欠乏
ナトリウムは通常の食生活であれば欠乏することはない。
特に夏場の多量の発汗では、欠乏し、疲労感、血液濃縮、食欲不振を起こす。
夏場の過度な塩分制限は避ける必要があり、熱中症対策としては、水分だけでなく適度な塩分の摂取は必要になる。
ナトリウムが不足すると細胞を保つことができないので、重症では、けいれんや昏睡を引き起こして、死に至ることもある。
ナトリウムの弊害
ナトリウムは、悪ではない!
むしろ、生命の維持に不可欠なミネラルだ。
問題なのは、ナトリウムは、カリウムと共に働くのに、日本で主に使われている精製塩は、いわゆる塩化ナトリウムで、カリウム、マグネシウムやカルシウムなどのその他のミネラルを一切取り除いてしまっていること。
カリウムを一緒に摂取すれば、尿と共にナトリウムは排泄されるが、単独でとってしまうと排泄されずに体内に保持され、血圧上昇やむくみの原因になってしまう。
ちなみに、ナトリウム自体が、動脈硬化を起こす本体ではない。
ナトリウムは、血液のボリュームを増やすことで血圧を上げるが、動脈硬化を起こす本体は、酸化した油や過剰な糖、ストレス、腸内環境の悪化、体内に入った歯周病菌などによる体内の炎症により血管が傷つくことにある。
むしろ根本的にはこれらを何とかすべき。
ナトリウムを含む食材
塩、しょうゆ、みそなどの塩分のある調味料に多く含まれている。
それ以外にもうま味調味料=グルタミン酸ナトリウムにも含まれている。
ナトリウム自体の欠乏は、食品からは起こりにくい。