触れ合いの遮断は腸内細菌の多様性の危機
人とのリアルな交流が意図的に遮断された世界です。
ソーシャルディスタンス!近寄らないで!
マスクで防いで!手に触れたら手を洗って!
その代わりに、オンラインの交流は盛んで意識空間は全世界的に繋がっているものの、補えないのがリアルな触れ合いです。
触れ合いや交流は微生物の交換
本来自然に行われていた人との触れ合いは、スキンシップや食べ物を一緒に突っつく、しゃべることで唾液を知らず知らずに飛ばし合う(決して汚いわけではありません!)ことなどを通して、知らず知らずに微生物同士を交換し、微生物同士を触れ合わせていた訳です。
これが、実は健康にとって重要だったという訳です。
全国・全世界の健康ご長寿の共通点は多様性
全国の健康長寿村の調査や世界の全年齢の”超”健康な人たちを調査したところ、共通する腸内環境の特徴は、「腸内細菌の多様性」だったということがわかっています。
腸内細菌の種類は世界各国、地域地域の食事などによってバリエーションはありますが、腸内細菌が多様であるということは絶対的に変わらない。
最も普遍的な共通項は、微生物のダイバーシティ。
つまり、ありとあらゆる種類の雑多な細菌が協力し合いながら作るダイバーシティが重要だということです。
このダイバーシティを形成、維持するために重要なライフスタイルの1つが、人や動物との触れ合いなのです。
全国長寿村は住民同士の交流が盛ん
全国の健康長寿村に共通するライフスタイルの一つに、「住民同士の交流が盛ん」という要素があります。
特に今の都会暮らしでは、隣に住む人の顔も知らないほどに人と人との交流が失われますが、田舎のコミュニティは、住民同士、特に高齢者同士の繋がりが強く、交流が盛んで助け合う関係性が保たれていますよね。
都会であっても、一緒に食卓を囲んだり、隣り合って語り合ったり、欧米であれば、挨拶がわりに抱き合ったり、キスしたり、そんな触れ合いが日常にあることで、微生物を交換していた訳です。
チンパンジーの研究では、集団の中での交流は、腸内細菌の多様性を保つためにとても大切だということがわかっています。(※Science Advances 15 Jan 2016:Vol. 2, no. 1, e15009979
触れ合いの代わりにできること色々
しかし、今これをすると、世の中的にNGになってしまう訳です。
1種類の病原性を発揮するウイルスを防ぐために、あらゆる人と人との交流を遮断し、多様な微生物同士の交流も遮断されてしまっています。
じゃあ、そうじゃない方法で何ができるのか?というところ。
・森や海、微生物が元気な農薬のない畑や田んぼなどの環境で土壌菌と触れ合うこと。
・農作物や海産物を通して土壌菌や環境の微生物と触れ合うこと。
・ペットなど動物と触れ合うことで彼らに共生する多様な微生物と触れ合うこと。
移動が可能になれば、どんどんと自然の中で微生物にまみれたいところです。
野菜・海藻もりもりと伝統的な発酵食品
健康ご長寿村の調査では、これらの地域の伝統的な食生活の特徴として、とにかく野菜(根菜 類、豆類、きのこ類など)や海藻類をもりもり食べているそうです。
腸内の有用菌を育てるためのエサである「プレバイオティクス」食品であり、それ自体にも土壌菌や環境の共生菌が付着している食べ物です。
その土地土地の発酵食品も日常的に食べています。食物繊維で整えられた腸に、有用菌を送り届け、腸内環境を整えるもので「プロバイオティクス」食品と呼ばれます。
プロバイオティクスとプレバイオティクスを合わせてとることを「シンバイオティクス」と言い、健康ご長寿は、伝統食品を通して、これらを日常的に摂っているようです。
アンチからシンへ:共生する世界へ
シンは、Sym-,Syn-などシンパシー(共感)、シンフォニー、シンクロニシティなどのシンで、「共に」という意味。
その反対の、アンチ・バイオティクスは、抗生物質を意味する英語ですが、「争う」とか「戦う」とかの意味。
時代的に、もはや「アンチ」ではないということは、多くの人は肌感覚でわかっていますよね。
「シン」共に生きる世界。共に助け合う世界。人同士だけでなく、多様な微生物とも共生することで、ようやく生態系は循環し始めます。
誰か特別な人だけが活躍するのではなく、名もなき人たち、名もなき微生物たち、名もなき「雑草」と呼ばれてしまう植物たち、全員に役割があって、全員がつくるシン世界です。
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