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硫黄/S:火を司る青い魔力

原子番号16の元素。
英語名sulfurは、古代サンスクリット語でsulvere(火の元)に起源するラテン語sulphuriumに由来する。

火の山である火山の火口には、硫黄が豊富で、独特の臭いを放ち、火山の熱で暖められた温泉にも含まれる。

錬金術とラピスラズリ

火薬の原料にもなり、「火」と関連するのが硫黄なのだ。
この世界の原理原則を基に金を生み出そうとする錬金術師たちは、火つまり男性性=陽の要素を持つ「硫黄」と、水つまり女性性=陰の要素を持つ「水銀」という正反対の性質を持つ陰陽二つの元素と、それをつなぐ役割である「塩=塩化ナトリウム」を万物を作る三位一体の根源的要素と考えていた。


中世の錬金術において「賢者の石」として神聖視されたラピスラズリの青色は、硫黄によるものである。
フェルメールの名作『真珠の耳飾りの少女』は、硫黄がなければ、あれほどの青い魔力を持っていなかったかも知れない。

人体にとっての硫黄は、あまりイメージがないかも知れないが、必須栄養素の一つでああり、美容のミネラルとされる。
肌や髪、爪などの維持に欠かせない。

硫黄Sulfur

硫黄は、全く知られていないが、「美容ミネラル」とも呼ばれ、コラーゲンの生成により肌のハリや透明感に必要なだけでなく、デトックスにも不可欠な上に、遺伝子を含めて体のあらゆる働きに不可欠なミネラルだ。
食品中には単独では存在せず、たんぱく質やアミノ酸の構成要素として体内に入ってくる。
特に、メチオニン、システイン、シスチンなどの生体に必須のアミノ酸や、軟骨成分であるコンドロイチン硫酸や解毒に関わるタウリンなどの構成成分として存在している。


硫黄の役割

硫黄を含む栄養素は、生体の様々な機能に関係している。

髪の毛・爪・軟骨などを作る
糖質・脂質の代謝
有害なミネラルをデトックスする
化学物質や毒素を代謝する
遺伝子のスイッチをON/OFFにする
神経伝達物質を合成する
(ドーパミン、セロトニン、エピネフリン)
ホルモンを合成する (エストロゲン)
免疫細胞を生産する(T細胞、NK細胞)
DNAとRNAを合成する 
エネルギーを合成する
(CoQ10、カルニチン、ATP)
神経細胞の保護


硫黄の欠乏

硫黄の欠乏は、皮膚症状として目に見えやすい。
有害ミネラルのデトックスに不可欠なので、排泄のために消費が多くなると欠乏しやすい。

硫黄を含むアミノ酸は、動物性タンパクに多く含まれているので、ベジタリアンでは不足しがち。

皮膚の湿疹、肌荒れ、しみ、しわ
爪の異常
抜け毛や腰の低下
関節症や関節痛
肝機能低下
動脈硬化
免疫力低下
疲労・倦怠感

など、体の機能低下に伴う様々な症状が起きる。


硫黄の弊害

硫黄は食物から摂取している限り過剰症はないが、硫黄を含むアミノ酸であるメチオニンを含むサプリメントの誤用で大量に摂取した場合に過剰症が起きるリスクがある。
通常の使い方では起きることはない。

動脈硬化
:血中のホモシステイン濃度を上昇させることによる
悪心、嘔吐、めまい、嗜眠、低血圧、興奮
血中葉酸濃度低下
白血球増加
尿中へのカルシウム排泄促進 


硫黄を含む食材

硫黄を含む含硫アミノ酸として動物性の食品に多く含まれている。
牛肉・ラム肉・卵・乳製品、魚介類に豊富。

また、植物の抗酸化成分であるファイトケミカルとして、硫黄化合物として、主にブロッコリーなどアブラナ科の野菜に含まれる。タマネギやニンニクなどの独特な強い刺激臭や、大根などの辛味成分になる、アリシンやアリイン、アホエン、イソチオシアナートなど。
ブロッコリー、キャベツなどアブラナ科の野菜
玉ねぎ・にんにく・大根など香味・薬味になる野菜
大豆類

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