タチヨミ「コーヒーを飲みながら」㉓
「コーヒーを飲みながら」第1巻 第4章《4次元》
起きたらすぐにティーポットに1杯分の水をやかんに入れて火にかける。ティーポットにろ過器を乗せてコーヒー豆を入れておく。まもなく湯が沸いてからコーヒー豆に細く湯を注ぎドリップする。きつね色のトーストにたっぷりマーガリンを塗り、コーヒーと一緒に食べる。
朝、コーヒーを飲み始めたときは頭がすっきりすることを感じていたが、最近はカップの中の褐色の湖面を漂う霧のような湯気を見つめて夜の余韻に浸っている。
コーヒーは夜の色。
真夜中の静けさを持っている。
日のあるうちは 鳩の羽音や犬の足音、ドアの開閉の音、車の音
飛行機の音、虫の足音まで様々な音が空気に混じっているはず
夜は、特に冬の夜はそんな音がうんと少ないので夜の音が聞こえる
それは夜空を吹く風の音か 地面の息遣いか
静寂の夜とざわめきの日常の間で私はコーヒーを飲む
夢から現実へ、思いから活動へ身を移す前に
「コーヒーを飲みながら」第1巻 第4章《4次元》より一部抜粋。本では行替えはしていません。ノート用に行替えしてアレンジしてみました。
2021年8月に自費出版いたしました。コチラから購入できるようになっています。よろしければ、ご覧ください。
星原理沙
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