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タチヨミ「コーヒーを飲みながら⑮ 第3章《青島》満ち潮 詩
満ち潮
アートセンターへ「ムーミン展」を見に行った時のこと。入ってすぐにムーミンの像が置いてあった。ムーミンの足元に貝殻が散らばっていることに気づいたとき私は、一瞬にして青島の渚に立っていた。
打ち寄せて崩れる波の音がした
砂に上がってからまた深い海へ、沖へと戻っていく波の音が耳の奥で響く
波が砂を掻くように、胸を搔き、沖へ持っていく
満潮が砂浜を海に変えていき
少し荒くなった波が打ち寄せるたびに 夜を運んでくる
夕日が空を灼いて沈んでいく
空と太陽は赤く燃え褐色のコーヒーになってグラスの中に落ちる
氷がからりとくずれたとき、露が一しずく
グラスを伝い落ちた
「コーヒーを飲みながら」第1巻 第3章《青島》満ち潮より一部抜粋。
本では行替えはしていません。ノート用に行替えしてアレンジしてみました。
2021年8月に自費出版いたしました。コチラから購入できるようになっています。よろしければ、ご覧ください。
星原理沙