VULFPECK /// Live at Madison Square Garden 全MC日本語訳
KINZTOのDr.ファンクシッテルーだ。今回は「どこよりも詳しいVulfpeckまとめ」マガジンの、26回目の連載になる。
(👆Vulfpeckの解説本をバンド公認、完全無料で出版しました)
今回は、「VULFPECK /// Live at Madison Square Garden」の、全MCの日本語化を行う。
このライブは特別なライブで、Vulfpeckの偉業がすべて凝縮されたような内容となっている。観客は14000人。すべてSNSの告知のみで集められ、世界中からファンが集まった、まさに完璧なライブだった。
しかしライブ動画であるため、残念ながらYouTubeの自動生成字幕が正確に機能していない。今回は、@yansi_songbird 氏と一緒に、そのMCを可能な限り翻訳した。
内容は意訳となり、歌詞の部分は訳を行っていないが、基本的に全てのMCを翻訳したため、今回も長い記事になっている事をご了承いただきたい。また、本文では一緒にライブ解説も一緒に行っていこうと思う。
それでは、はじめよう。いざ、2019年9月28日のニューヨーク、マディソンスクエアガーデンへ!
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前半(ライブイントロ~JackのロングMC~Back Pocketまで)
2:18~ Tee Time
Jack : 2、3、4!
ステージ右側で演奏してくれたのは、Winograd!(イントロの「The Sweet Science」を演奏したクラリネット奏者、Michael Winograd)
「すべての女性、すべての赤ちゃん――大きな子どもも小さな子どもも、シングルの人も。」
(「Christmas in L.A.」の歌詞から引用。このセリフとメンバー紹介は、以前は録音された音声だったが、このライブではJackの肉声で行っている)
今夜のヴォルフペックのショーの準備はいいかい?
キーボードは――いま「Tee Time」を弾いている、Woody Goss!
ドラムは、ニューヨークのサウンド――Theo Kaztman!
そしてギターは、ヴォルフペックの曲から両親が名付けた――Cory Wong!
サックスは、「Running Away」のJoey Dosik!
パーカッションはニューヨークのブルックリンから、スペシャルゲスト――Richie Rodriguez!
そしてミシガン、ハーバースプリングからやってきた、Joe Dart!
ザナックス(抗不安薬)もβブロッカー(高血圧の薬)もいらない。アドレナリン全開!今日は、ぜんぶの曲が20%速くなる…準備はいいか!?
Theo、ドラムを叩いてくれ!!!
1、2、3、4!
(Animal Spiritsへ)
4:19~ Animal Spirits
7:55~ Cory Wong
12:38~ My First Car
15:42~ Daddy, He Got a Tesla
再びステージに帰ってくるのは、Nate Smith!(Nateは同日、前座として行われたTHE FEARLESS FLYERSのライブにも出演している)
(「Daddy, He Got a Tesla」のフレーズを歌うCory Wong。Tesla(テスラ)はアメリカの高級電気自動車のことで、これは「パパがテスラを買っちゃった」みたいな意味。James Brownの「Papa's Got A Brand New Bag」に少し似ている)
20:18~ Arena Meditation
Jack : 今夜はすごい歓声が…私たちはいま、すごい興奮に飲み込まれているけれど、グラウンディングして落ち着きたいところだね。これはまだ一般的ではないけど、ちょっとずつ流行ってきているんだ。(ヨガなどのグランウンディングのこと。)
いまから、アリーナ式――「アリーナ呼吸法」で瞑想したい。そのために、私の母をステージに呼ぼうと思う。みんなで一緒にグランウンディングするために。今夜はすごく刺激が多いから――いったん、それらをおろしてみよう。
(Jackのお母さんでヨガインストラクターでもある、Alice Strattonさんが登場)
Alice : Jackは私に頼みました――あなたがたが次の曲に入るまえに、感情的に、肉体的に準備できるようにしてほしいって。一緒にやってくれますか?(大歓声)
(ここからしばらくヨガの時間。会場は満員なので、その場から動かずに、呼吸を整える動きをみんなで行う。14000人がJackのお母さんとヨガを行っている図は壮観!ヨガの内容は動きを観れば分かるため、ここのMCは割愛)
(Aliceさんが退場)
Jack:Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!Yes!
――そしていま、私たちのために、「小さな楽器」の世界的な名手二人が準備してくれていた。紹介しよう、Dave Koz、Chris Thile!
24:22~ Smile Meditation
(Chris Thile(左側、マンドリン)と、Dave Koz(右側、カーブドソプラノサックス)。どちらも、一般的によく見るギターやサックスよりも小さいサイズの楽器を持ち込んでいる。2人とも世界的な超有名プレイヤー。素晴らしいソロの応酬を繰り広げる)
(演奏が終わって)
Jack :「小さな楽器」はいつだって勝利する――Dave Koz、Chris Thile!
そして次に紹介したいのは――Joey Dosikだ!
(Joeyがキーボードに座る)
Joey : ニューヨーク、聴いてくれるかい?
29:38~ Running Away
(👆Joeyがキーボードに座ったので手が空いてしまい、ギターを弾くWoody)
Jack : Joey Dosik! そして今夜はさらに別のゲストも――Charles Jones!
34:59~ Baby I Don't Know Oh Oh
(Charles Jones(写真右)はLAのシンガー。ここで歌われている「Baby I Don't Know Oh Oh」は、ここまでずっとカメラを持っていたRyan Lermanの曲なので、カメラはTheoに渡り、ギターはRyanが弾いている。
👇終わってギターをTheoに返すRyan)
Jack : 今夜は、さらにゲストがいる。ミシガン州のフリント中央高校から――Antwaun Stanley!
38:53~ 1612
(曲が終わって)
Antwaun : さあ、君たちに質問だ――準備はできてるかい?何かって?
ファンキーになる準備さ!!!
42:20~ Funky Duck
(曲の途中、バンドの小芝居が入る)
Jack : このストーリーは?(観客:ファンキーダック!)
誰のストーリー?(観客:ファンキーダック!)
Jack : これはファンキーダックのストーリー。彼は幸運であり、その恩恵は大きい。彼の名前は恩恵を受けてビッグになった。しかし彼らが食道にチューブを挿したのを見て言った、「オレは死ぬにはまだ早い」。
他のダックは彼を見てこう言った――「なぁ、オマエ太りすぎてるゼ」。
彼は自分の人生のために走り、そして、今夜のライブを祝うために、マディソンスクエアガーデンに入り込んだ。私は信じている、この中のどこかにファンキーダックがいると。さぁ、どこにいる?
(牧場か農場でファンキーダックが飼われていて、そこから逃げ出してきた、というストーリーになっている)
Jack : この中のどこかにいるのは分かってる!どこだろう?彼はワイヤレスなんだ。
Theo : あの3つのライトのあたりじゃないか?
Jack : そうだ、あそこにいるぞ!
Theo : (後ろに)いた!
Jack : ファンキーダックが追いかけてくるぞ!
(ファンキーダックは被り物を被ったCory Wongだった、というオチ。実はこのMCの間ずっとワイヤレスでギターを弾き続けていた。確かに、「彼はワイヤレス」だった!)
Jack : (曲が終わり)Cory Wong!
次の曲では、トロンボーンのMelissa Gardinerをフィーチャーしよう!
46:53~ Aunt Leslie
(Melissa Gardinerはよくライブに参加してくれているジャズトロンボーン奏者。アルバムには未参加だが、Brooklyn Steelなど、ここぞというライブに参加している)
Antwaun : OK、Jack。戻してくれ――2013年に!
50:55~ Wait For The Moment
(「Wait For The Moment」は、Antwaunが初めてVulfpeckで歌った2013年の曲)
(メンバーは退場、リーダーであるJackのMCが始まる)
57:26~ The Hill Climbers (Speech)
Jack : 今夜は皆を歓迎したい。私はVulf Records創設者の、Jack Stratton。
私は碩学(せきがく。広く修めること)のリーダーで、「いろんなナンバーツーになること」について、ナンバーワンの男だ。博学と言う人もいれば、マニアと言う人もいる。私はすべてを専門としている。
私はトニーロビンスの結果を、T.J.マックスの価格設定で買い――ニンニクをミンチにする。これは私の言葉じゃない。
(トニーロビンズは、お騒がせ系自己啓発タレント、T.J.マックスはディスカウントストア。ニンニクを~以降はネットミーム。「ホリ〇モンの本をバーゲンで買って結果を出す男だ」のような意味。ここの全体は「バンド運営のあらゆる業務を一手に引き受け、それぞれのテクニックは超一流ではないけど、ちゃんと結果を出してきたよ。やり方はかなり変わってたけどね!」という意図で喋っている。
この一連のセリフは数年前から同じ内容で、お決まりの導入部分になっている。そしてここからが、今回のライブでもっとも重要なMCとなる。)
今夜はHill Climber(登山家)たちの話をしよう。
2013年、若き登山家である「彼ら」は、ロープも無しに危険な道を歩み始めた…つまり、レーベルも、マネージメントも無しに、だ。まるでハン・ソロのように。
彼らの旅は、NYの「Rockwood」から始まった。装備は、KELTYのバックパック(昔の登山の必需品)と、Wifiしかなかったが…100人もの仲間が集まってくれた。
彼らは少しずつ成長しながら、旅を続けた。 2015年には、「Brooklyn Bowl小屋」(NYで有名なライブハウス。もちろん、小屋ではない。Vulfpeckの歴史を登山に例えている)に立ち寄ることができた。旅の仲間は増え、優れた若い登山家も遠征に加わってくれるようになった。
2016年には「Brooklyn Bowl小屋」に三連泊した。さらに、2016、2017年には「Brooklyn Steel」(NYの1800人が入る有名な会場)に留まり、さらに旅のスケールは大きくなっていった。
プロの登山家は『これ以上遠くへは行くな』と言い続けたが…「彼ら」は決してやめなかった。
2018年、「King's Theatre」(NYの大会場)に登頂。6000人の仲間が集まってくれた。
しかし、それでもまたプロは言う。『もう無理だ!頂上にたどり着く前に力尽きてしまう、止めたほうがいい。』
しかし我々は『No!』と言った。
『俺たちは登る!』(We said "NO"! We're gonna climb!)
そして2019年、我々は頂点へ昇り詰めた…アメリカ東海岸の頂点。ワシントン山ではなく、この「マディソン・スクエア・ガーデン山」に!
14000人の仲間と共に。
さらに旅は続く。このステージからの旅は終わらない、次は2020年についてアナウンスしよう。夏の間、キャッツキルの、ハワイ風の農園(※1)のような場所に帰ってくるつもりだ。
そして、今夜はその登山家たちをステージに招待したい。勇敢な登山家、Hill Climbers(※2)だ。Theo Kaztmanが率いる、「ペッカペラ」!(※3)
(※1 ファンの間でも議論が分かれている部分。キャッツキルはアメリカの地名だが、Jackが具体的な会場名を口にしておらず、実際は会場を抑えていたのか、そもそもただのジョークだったのか。いずれにしても悪疫によってこの話の真偽は不明となった)
(※2 さっきからずっと話題にしている「Hill Climbers」は、2018年のVulfpeckのアルバムタイトルでもある)
(※3 Pecca Pela。Vulfpeckの「Peck」と、「アカペラ」を重ねたジョーク)
Theo : ありがとうございます…。今夜、Vulfpeckに感謝を伝えたいです。
私たちにとって、これはとても大きなチャンスです。数年前にYouTubeチャンネルを開設し、今夜、初ライブに望めて、ワクワクしています。こんな幸せなことはない、世界最高の……。(あくまで別のバンドだという設定で押し通すTheo)
みなさんも、私が何を言いたいか分かっていると思いますが…。今夜はちょっと緊張しているので、いまようやく、現実を実感しているところです。
ああ、チューナーを忘れてしまった、なんてことだ。
みなさん、私にGの音を歌ってくれますか?(会場が歌う)
OK、チューニングできました!
そう、私たちに音楽的なファンがいることは分かっていました。今夜、みなさんは素晴らしい観客です。ずっと一緒に歌ってきましたね?たくさんの歌詞や、ベースラインを一緒に…。もし頼まれていなくても、きっと一緒に歌ってくれたでしょう。
そしてまた、いまから一緒に歌いましょう。人類史上もっとも複雑な、3パートのコーラスを。
もう一回Gの音をくれますか?(歓声)
さあ、こちら側のお客さんは、こんな感じで!
(Back Pocketのコーラスを歌い始める)
1:02:25~ Back Pocket
1:08:44~ Beastly
後半(Christmas in L.A.~アンコール)
1:15:50~ Christmas in L.A. (Intro)
Theo : (歌いながら)ニューヨーク、ニューヨーク、とても素敵な街――二度名付けられた街、二度名付けられた街――♪
(Theoはニューヨーク出身。ニューヨークは「ヌーヴェル・アングレーム」「ニューアムステルダム」と呼ばれた後、1664年に「ニューヨーク」となった。出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%82%AF)
Theo : 今夜、ここにきてくれて本当にありがとう。今夜は私たち全員にとって特別な夜です。
私たちはライブの前はこの話題で持ちきりでした…私たちにとって今日のライブは最高だけど、実は最高なのは私たちじゃなくて今日来てくれているみんなのことです。カッコつけたくて言ってるわけじゃなくて、こうやって言うと「ナイスガイ・ポイント」のようなものをもらえるんだ。笑
今日来てくれている14000人、みんなのことをきちんと知っているわけじゃない…分かるよね?
どういうことかと言うと、私の近所にいるたくさんの人が、今日ここに来なかったということ。つまり、たくさんの人たちが、飛行機や、電車や、自動車で今夜ここに来てくれたということ。私たちはとても感謝しています。
これは文字通り、あなたたち無しでは成しえなかったライブです!
さあ、飛行機で来てくれた人はどれくらいいますか?
(大歓声。ステージ前のほとんどの人が手を挙げる)
Jack : Oh my gosh!(なんてこった)
Theo : OK、だいたい分かったよ!そうしたら――電車で来た人はどれくらいいますか?
(さらに多くの人が手を挙げる)
Jack : Oh my gosh!!!!!!(なんてこったい)
Theo : じゃあ、Path Trainは?
Jack : 何だって?
Theo : Path Train(NYの私鉄、パストレイン)だよ…よし、じゃあ…ここまで…地下鉄で来た人は?
(大歓声)
Theo : 最後に、数が少なそうだし、最小のグループだとしても気にしないけれど――大声が欲しい。今夜、ロングアイランド鉄道(NYの私鉄)で来た人はどれくらいいますか!?
(これまでで一番の大歓声。手が挙がっている人は少ないが、NY出身のTheoのこのセリフに会場は大盛り上がり)
Theo : ロングアイランド鉄道では45分もの乗車時間を捧げないといけない。あの電車でケンカが起こるのを見た。どこが最高の野球チームか、「マッドシティ・ヤンキース」か?
だけど、今夜はそんな話はしたくない――今夜は愛について語りたいんだ!
(大歓声)
Jack : その通り、その通り!
Theo : あなたたちはここに集まるために旅をしてきました――私たちも、Jackがさっき話したように旅をしてきました。
私たちは10年前、ミシガン州アナーバーのリビングルームの地下室(※4)からスタートしました。みなさんに伝えたい、今日ここにあるのは、その地下室にあった家具です!
(※4 Tyler Duncanの家のこと。Dean Town、Animal Spirits、その他多くの曲のレコーディング&撮影に使われた。1Fがリビングルーム、地下室にスタジオがあり、「Barber House Studio」と呼ばれている。厳密に言うと彼らはそこからスタートしたわけではないが、初期から一貫して、一番多くを過ごした場所であることに変わりはない。よく見ると、同じソファーが置かれているのが分かる)
(大歓声)
Theo : 昨日発送しました!
Jack : Tricia Robertsonがね!
Theo : Tricia Robertson、本当にありがとう!彼女と、Mike(Triciaの夫)がここまで運転して来てくれました!
こういったこと(会場に家具があること)は想像力を与えてくれます――何を言いたいかわかるよね?想像力とは、夢を見ること、とも言えます。あなたたちが現実に身をもって働いている仕事と、想像力とはまた違う話です。私たちは皆、夢を叶えた――今夜、私たちの成功を手伝ってくれて感謝します。
この地下室の家具はアナーバーから来ましたが、アイデアはハリウッドのプロの映画セット・デザイナー(Tricia Robertsonのこと)からです。
バンド全員を勇気づけるために、ニューヨーク市の想像力のすべてを使いたいと思います――ここからそう遠くない、魔法の場所へ、時間と場所を旅するために。
(この家具も10年前のアナーバーから時間と場所を移動してきている、とも言えるので、家具の話からこの話に繋がっている)
もしここからジェットスターでバーバンク空港(LAの空港の旧名。現在はボブ・ホープ空港)まで直行したら?――何を言っているか分かるよね?ティファナでのロシアンショットについてじゃないよ?
(大歓声)
サンタモニカのハヌカ(クリスマス祭)でもないよ?
(もうみんな気づいてるので大歓声)
これからする話は!
「ロサンゼルスのクリスマス(Christmas in L.A.)」についてだ!!!
(Jackがジングルを弾く)
2、3!
1:21:25~ Christmas in L.A.
(曲の途中、Theoが前に行って会場とのコーラスの掛け合いになる)
Theo : マディソンスクエアガーデン、すごい!夢がかなった、いまここに14000人もいるんだ!
バンドの声ではなく、君たちの声援で僕に力を分けてほしい!(「in L.A.!」の歓声が入る)
ベースはこんな感じだ、(低音パートで)in L.A.ー♪
(ステージを降りて)そこの男の人、下のパートを頼むよ!
(観客、マイクを向けられて):In L.A.~♪
Theo : それじゃあ中域に移ろう!
(別の観客、マイクを向けられて):In L.A.~♪
Theo : OK、誰か歌いたい人いる?女のひとにお願いしたい、上のパートで!
(観客の女性、マイクを向けられて):In L.A.~♪
Theo : いい感じ!よし、みんな、もうちょっと大きな声で!
もうちょっと大きな声を出してくれるかい!?(In L.A.~♪)
(歌いながら)冗談だけど、ここにはクリスマスの服装をした大きな子どもたちがいっぱいいるね!(In L.A.~♪)
ここにいるみんなで歌ってみよう!(In L.A.~♪)
14000人でこのハイトーン出せるかい!?
In L.A.~~~~~~~~~!!!!!!
(Theoのロングトーンにつられてみんな大合唱。)
Theo : ステージに戻れない!エネルギーが切れてしまった~!
Jack : 助けよう!
Theo : みんな、歌うのはやめないで!Ahh~~~~~!!!
(なかなかステージに帰らずハイトーンをキープしようとするTheo。会場も続けて一緒に歌い続ける)
Jack : Theoを助けよう!
Theo : Ahh~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!
Theo : みんな、歌い続けて!Ahh~~~~~~~~~~~~~~~!!!
(Theoは担がれてステージに戻ってくる。会場もTheoも歌い続ける。Coryがマジで重そうにしていて、Theoはメガネが落ちそうになっている笑)
Theo : まだ歌ってる、まだ歌ってるよ、Ahh~~~~~~~~~~~~~~~!!!
(観客も歌い続ける)
(無事にドラムに帰ってくる。観客とTheoどちらも、Theoがステージに帰ってくるまで一緒に歌い切った)
Theo : やった、やったぜ!!!みんな一緒に歌い切った!
そうしたら、これが最後の声援です!ここに戻してくれてありがとう!今から一緒に歌いたい!
(曲に帰る。本ライブ中最高の盛り上がりを見せた曲になったため、曲が終わるとTheoはブッ倒れる)
Jack : Theo Katzman!
Joey : Theoーーー!!!!
Jack : Theo Katzman!
Jack : よし、この電車でもう一駅停車しよう。次の駅は「Dean Town」。
1:28:36~ Dean Town
(曲が終わるとアンコールへ。)
Antwaun : (歌いながらMC)たくさんの友達が、ここに集う――♪
でも確信している、悪い集まりじゃないって――
あなたの隣人のほうを向いて言う――「今夜は君を愛する」
今度は向きを変えて、ノーと言うような隣人に言う――「今夜はロックする」
準備はいいかい?1、2、3、4――
1:33:10~ Birds of a Feather, We Rock Together
(「今夜はロックする」は、ロックンロールの意ではなく、曲名から来ている)
(曲が終わり)
Theo : もう一度、Antwaun Stanleyに大きな拍手を!
1:39:09~ It Gets Funkier
Jack : マディソンスクエアガーデン!今夜のショーはこれで終わりだ!Woddy!C(ド)の音がほしい、Cの音をホールドしてほしい。
さあ、三歩進んで二歩下がるぞ!
(Jackが足を動かすたびに音が上がったり下がったりする)
Jack : Cを弾き続けて!
(鍵盤のWoodyが意図を理解していなかったため、再度伝える。今度は一瞬で伝わり、WoodyはオクターブでCを連打する)
Jack : ラスト!!!
(ライブ終了)
Jack : みんな!みんな出てきて!!!
Jack : 1、2、3、4!
(最後に一番喜びを爆発させているのが、1曲しか弾いていないChris Thile。彼はグラミー賞を4回も受賞している、Vulfpeckよりもはるかに格上のミュージシャンなのだが、Vulfの大ファンで、こうしてライブにも参加し、彼らの成功を素直に喜んで自らのことのように祝福している。
Chrisの素晴らしい人格、そして愛されるVulfの魅力が詰まったラストシーンである――)
◆著者◆
Dr.ファンクシッテルー
宇宙からやってきたファンク研究家、音楽ライター。「ファンカロジー(Funkalogy)」を集めて宇宙船を直すため、ファンクバンド「KINZTO」で活動。
◇既刊情報◇
バンド公認のVulfpeck解説書籍
「サステナブル・ファンク・バンド」
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ファンク誕生以前から現在までの
約80年を解説した歴史書
「ファンクの歴史(上・中・下)」