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東大音感 THE FEARLESS FLYERS カヴァーバンド ロングインタビュー(2) /// フィアレスのメンバーに近づくためには?

KINZTOのDr.ファンクシッテルーだ。今回は「どこよりも詳しいVulfpeckまとめ」マガジンの、57回目の連載となる。では、講義をはじめよう。

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今回の記事は、東大音感のTHE FEARLESS FLYERS(フィアレス)カヴァーバンドのメンバーのインタビュー、後編となっている。

前編を未読の方はぜひそちら👇からご覧いただきたい。

それでは後編を始めよう!





フィアレスへの想い

――今回のフィアレスカヴァーバンドの発起人となったもりさださん、こみやさんは、いつごろフィアレスやVulfpeckを知りましたか?

こみや:大学2年の時にはすでに知ってたから、多分1年生のどこか(2019年ごろ)で知ったんじゃないかと思います。YouTubeでたまたま流れてきたとかで。

もりさだ:僕はたぶんCory Wongから入ってると思います。確か大学1、2年ですね。僕はギターマガジンのバックナンバーを買ったりしてるんですけど、バンアパの特集がある号を買った時に、冒頭のページでCory Wongの特集👇が組まれてたんです。それで、こういう人いるんだ、って知りました。

僕はもともとギターを始めたのがアコースティックギターで。ストローク寄りのほうから入っていたので、バッキングとか、リズムギターのほうが好きだったんです。で、バンアパとかも自分が弾いていたのはバッキングのフレーズとかで。結構バンアパってカッティングが多くて、その頃からカッティングに興味があったんです。それでCory Wongの記事で、リード・リズム(Coryが提唱する奏法)について書いてあって、自分も好きそうだな、と思って聴きました。

あと……僕が大学2年の時、こみやさんが3年の時に、Vulfpeckの「Cory Wong」を宅録でやったんですよ。当時コロナ禍、2021年だったので、有志で宅録ライブみたいなのをやってたんです。そこで僕とこみやさんと何人かで「Cory Wong」をやったのが、僕がVulfpeckとかをちゃんと聴くようになったタイミングでした。


――なるほど。おおえださん、さえきさんは、フィアレスを知ったのはいつでした?

おおえだ:もりさださんとこみやさんがやってたフィアレスのカヴァー👇が今回のカヴァーの前にあって、そこで知った感じです。

さえき:私はTom Mischのカヴァーをやったときに「Cosmic Sans」のドラムでNate Smithを知って、そこからフィアレスも聴くようになりました。


――なるほど、ありがとうございます。そうしたら、皆さんのフィアレスへの想い……好きな所や、好きな曲などを聞かせていただけますか?

こみや:個人的に僕は、VulfpeckやCory Wongよりも圧倒的にフィアレスが好きなんです。Joe DartとCory Wongの2人のファンクネスと、Nate SmithとMark Lettieriの2人のジャズ畑のプレイヤーのミックスが好きで。ファンクだけじゃない、でもめちゃくちゃファンキー、みたいな。

自分が一番好きな曲は……「Patrol Acrobatique」ですかね。曲がすごい短いっていうのがまず好きで、あとNateのドラムとリフが結構フュージョンチックなのが好きなんです。


さえき:私の好きな曲は「Signed Sealed Delivered」と「Running Man」です。「Running Man」の最初のドラムからもう、こんなフレーズあるんだ!みたいな。私の中ではNate Smithがけっこう、神みたいな存在なので……来日するたびに観に行くぐらい好きで。フレーズが大きくもあるけどすごい細かい音も常に鳴っていて、それとカッテイングの相性もすごくいいし。ファンキーなんだけど、繊細なところもあるみたいなところが好きです。


おおえだ:僕は曲としては同じく「Signed Sealed Delivered」、あとはやっぱり「Introducing the Fearless Flyers」です。特に「Signed~」はライブごとにMarkのソロがけっこう長尺であって、「そんなソロ弾くんだ!」っていう。何が出てくるんだろう、っていうのがあの曲は好きで。「Introducing~」もソロ自体は短いですけど、その中にファンクっぽさ、ブルースっぽさを詰め込んでくるところが……。

Mark Lettieriはアドリブの引き出しの多さも好きですし、あとフィアレス全体に言えることですけど、リズム感が桁違い。あれだけ難しいフレーズを16分できっちりはめ込んでくる。そこから生まれるグルーヴが、ちょっと他のバンドとは違うよな、と思います。


もりさだ:僕はコンセプトが一貫しているっていうのがすごく好きなところで。僕は音楽に限らず、コンセプチュアルなものに魅力を感じるんです。Vulfpeckもそうだと思いますけど、ミニマルファンクというコンセプトがあって、フィアレスだと衣装も同じで、曲名も飛行機関連になっていて……そういうコンセプトが一貫しているのが好きです。

あとフィアレスとVulf両方に言えると思うんですけど、曲がミニマムだからこそ、どこへでも一緒にいける曲が多いというか……。表現が難しいんですけど、親近感があって、すごく馴染みやすい。コンセプトが一貫してるからこそ、ある種の高尚さみたいなものも感じられるし。曲は「Hero Town」が一番好きですね。ライブ版でサックスがないバージョンがあって、それがすごい好きで。ハンドメイド感がある感じ、雑な言葉で言うとエモい感じというか。笑 

――ありがとうございます。ちなみにもりさださん、Cory Wongの好きなところや曲もお聞きしてもいいでしょうか?

もりさだ:Cory Wongはやっぱり、明らかに教養が深いところがすごい好きだなと。カッティングマスターとしての面もありつつ、ライブとかのソロを聴くと、ちゃんとジャズとかを通ってきたんだなっていうものになってて。ペンタ1本で決めるソロも弾けるし、すごいスケールアウト気味でオクターバーもかかっててみたいなサイケなソロも弾ける。ちゃんと実力があるんだなっていうところがありつつ、それを120%ちゃんと音に乗せてる感じが好きですね。曲は、最近では「Flamingo」が好きです。


選曲・衣装など

――では、今回のカヴァーではフィアレスのどの動画を参考にされました?

もりさだ:このバンドをやろうって決めたあたりで、ヨーロッパライブの動画👇が上がって。

――なるほど!

もりさだ:展開とかセトリに関しては、基本的にはこれに準拠してやったところが多いですね。

――選曲はどうやって行いましたか?

もりさだ:関7っていうライブの性質上、マニアックな選曲はちょっと避けた方がいいなっていうのはありました。僕らだけじゃなく、他の大学の方も見に来てる。大学を代表して出ているっていう場なので、なるべくポップな、フィアレスの中でも聞き馴染みのある曲を選びました。

曲順はさっき言ったヨーロッパライブを参考にしてて、最初のほうがほぼそのライブそのままです。「Fryers Direct」「Vespa」「Patrol~」「Introducing~」までが同じで、最後「Ace of Aces」で終わらせる、みたいな。ここら辺を参考にして、って感じです。

――そうだったんですね。ちなみに、今回もりさださんがステージに1人で残って「Airplane Mode」を弾くシーンがあったと思うのですが、なぜその演出を?

もりさだ:ヨーロッパライブの後半の方に、Cory Wong、Joe Dartとか各メンバーのソロパートがあって。僕が今回バンドの代表だったので、せっかくならソロでやる?っていう話になったんです。

でもヨーロッパライブのCoryのソロ、「Illumnation」っていう曲はさすがに静かすぎるかなっていう話になって。何やろうかなっていう時に、Fenderの動画でCoryが弾いてる「Airplane Mode」のソロ動画。僕はそれが好きで前から練習してたんで、それで行きますか、ってなりました。


――なるほどなるほど。ちなみに、衣装はどう探されました?

もりさだ:衣装は……ファンクシッテルーさんの記事を参考にしつつ、本物を買いたかったんですけど、海外輸入でけっこう値段が高かったので……できる限り近い、それっぽい作業着をAmazonで買いました。動画だと分かりにくいんですけど、あれ股下がすごい低い、下のほうにあって。ものすごく歩きにくかったですね。笑

今回の衣装

――そうだったんですね。でも、個人的にはむしろ本物を使わないほうが面白いと思うので、それで良かったんじゃないかと思います。笑 あと、楽器スタンドは間に合わなかったんですよね?

もりさだ:そうですね。スタンドは、いまでもたまに探してるくらいなんですけど。日本国内では生産終了してるっぽくて。だからもし今後やるなら自力で作るしかないですね。

――それ以外の小物はどうでしたか?

もりさだ:サングラスはGUで買ったんですけど。ギターとベースのストラップも、まったく同じのを用意して。できる限り同じものを着ようって。

――おおえださんのギター、Markのとすごい似てると思うんですけど、あれは……?

おおえだ:あれはヨーロッパライブで使ってたギターを買いました。

――ええ!?それはすごい。Markのバリトンギターですよね?このバンドのために買ったということですか?

おおえだ:そうですね。まだこのバンドのためにしか使ってません。笑 バリトンギターってやっぱり特殊なギターで、どれがいいのか全然分からなかったので。同じやつ買うしかないな、と思って買っちゃいました。



Cory Wongカヴァーについて

――ちなみに、もりさださんがやったCoryバンドについても、もう少しお聞かせ願いたいです。あれはこみやさんも参加されてたと思うんですけど、フィアレスの流れでまた誘ったという感じでしたか?

もりさだ:そうですね、信頼があったので。

こみや:いやいやいや……ありがとうございます。

――Coryバンドではどの動画を参考にされました?

もりさだ:ちょうど、ヨーロッパでCory Wongがツアーをしていた時期で、現地のファンの方が撮った動画がYouTubeにアップされていて。けっこうそれを観ましたね。これまでのライブからもそうですけど、その当時のライブの雰囲気も参考にしました。

――セットリストも本家にかなり忠実だったかと思うのですが、こちらの選曲はどのようにされました?

もりさだ:ライブ時間が25~30分で限りがあったので、なるべく最初は「Asassin」で初めて「Dean Town」で終わりたいな、くらいの大枠を決めて。あとは好きな曲からいろいろと。『The Lucky One』っていう、新しいアルバムも出ていまして、そこに入っている「Grid Generation」もすごいハマって、やりたいな、というのもありつつ。

――なるほど。「Asassin」で初めて「Dean Town」で終わるのは定番ですものね。ちなみに、Coryバンドではバラードとして「Meditation」「Home」が演奏されるのも定番ですが、今回もりさださんが「Meditation」を選ばれた理由は?

もりさだ:ちょうどあの時期に『Live At Montreux』がリリースされていて、その「Meditation」がすごく好きだったので、選びました。


――なるほど、ありがとうございます。上下ジャージという、Cory Wongバンドの衣装もしっかりとコピーされていましたが、あの衣装はどうやって準備されました?

もりさだ:僕は衣装を買いがちなんですけど。笑 Amazonでジャージを買いたくて。でもジャージって上下セットで買うとけっこうするんですよね。平気で4~5000円くらいする。しかもバンドに10人くらいいたので、4~5万はやばいな、って思いまして。なるべくちょっと価格を抑えつつ、それっぽいジャージを探して……それでも多分2000円くらいしたと思うんですけど。それを大量購入しました。

――胸の「黄」のワッペンはどうされました?

もりさだ:あれは100均で、小学生の体操着につけるためのワッペンを買って。マジックで書いてアイロンで貼り付けました。1枚ずつ。

「黄」ジャージ

――そうだったんですね!あのワッペンは最高でした。こちらのバンドで大変だったこともお聞きしてもよろしいですか?

もりさだ:やっぱり人数が多かったので、そこをまとめるのが難しかったですね。さっきも話したことですが、フィアレスをやったのも大人数を避けたかったからで。実際、僕が10人くらいのバンドを組んだのがCory Wongが最初で最後でした。ということで、練習などでどの程度舵を取るかや、練習の方向性を決めていくのがチャレンジングなことだったなと思っています。

――なるほど。こちらのバンドでの練習回数は?

もりさだ:こっちは人数が多くてなかなか練習日程が合わなかったので、けっこう少なかったです。4~6回くらい……。

こみや:メンバーが全員揃ったのはたぶん2回くらい……?

もりさだ:「Meditation」は当日まで全員で合わせてなかったと思います。ホーンが入る時間が短い曲だったので。なるべくホーン以外のメンバーで集まって練習していたりはしたんですけれど。Cory Wongに関しては本当に、練習日程が限られてました。

画像出典:7 Cory Wong [東大音感 24'冬リサ]

――そうだったんですね。動画を何回も観させていただいてますが、とてもそんな少ない練習回数だとは思わなかったです。改めて、こちらも素晴らしいステージでした。



フィアレスのメンバーに近づくには

――では最後の質問で……もりさださんは非常にCory Wongのコピー精度が高く、私も今回、そのレベルの高さに驚かされてインタビューを申し込んだところがあります。そんなもりさださんにお聞きしたいのは、どうすればCory Wongに近づくことができるのか?ということです。ぜひ、お話を聞かせてください。

もりさだ:僕もCory Wongに憧れてるギターキッズの1人なので、そんな偉そうなことは言えないっていう前提を置きつつ……2方面からのアプローチがあると思ってて。1つはテクニック面、技術面で、もう1つがフィーリングというか、気持ちの面。

テクニック面で言うと、Cory Wong本人も多分インタビューで言ってると思うんですけど、やっぱりリズムに対してシビアに向き合う、というのが本当に必要かなと思います。

どんなギターであれ、どんなピックであれ、どんなエフェクターのセッティングであれ、リズムって最後までついてくるところだと思いますし。多分Cory Wongが弾いてるような曲だと、本当にリズムに対してシビアにならないと、曲としての輪郭がぼやけちゃうような曲が本当に多いと思うので、そういった点でリズムに対してちゃんと向き合うっていうことは大事ですよね。

具体的な練習としてはいわゆるクリック、メトロノームと一緒に練習するというのもあると思います。僕が個人的にやってるのは、メトロノームだと音量が一定なんで、単調になりがちで。なのでドラムマシンと合わせるというのがけっこういいかなと思います。人から借りたものなんですけど、僕が使ってるアンプにはドラムマシンが内臓されてて、それと合わせながら練習することが多いです。

結局バンドで演奏するときも、他の楽器とのコミュニケーション……このフレーズが嚙み合って、ここはベースと噛み合って、みたいな。いろんな楽器とのコミュニケーションを図るのも大事だと思うので、そういった点で基礎練の段階から、ドラムマシンなり他の楽器と合わせて弾くのは大事かなと思います。


それとさっき(前回の記事を参照)筋肉の話をしていたと思うんですけど、Cory Wongも筋肉が必要だと思っていて。コンプレッサーをけっこう深くかけてるっていうのもあると思うんですけど、Cory Wongってピックが弦に当たる、その速さと力がむちゃくちゃ強いと思うんです。多分ある程度(力強く)振り抜かないと、あの音は出ないのかな、っていう気はします。

Cory Wongが使ってるピック、僕も持ってるんですけど。これは硬いピックなので、これを使ってあの速度のカッティングをするには、やっぱり腕の筋肉が必要になる。中途半端な力で弾いていたらピックが飛んでいくし、向きが変わったりとかしちゃうんで。腕周りの筋トレは必要だと思いますね。僕もフィアレスをやってた時も、練習中は腕がパンパンになりながら弾いてた記憶があるので。……テクニック面に関してはそういうところがあるかなと思います。

Cory使用のピック「DAVA ( ダバ ) / Jazz Grip Nylon」
画像出典:サウンドハウス
参考:Cory Wong: The Sound of Joy


フィーリングの面に関しては……練習って、とにかく愛情表現だと思うので。愛を伝える。ちょっと気持ち悪い話になっちゃいますけど。笑 自分の好きなこととか、Cory Wongで言えば、Cory Wongに憑依するっていう気持ちが大事かなと思います。

好きなアーティストの曲を練習することだったら、そんなに苦じゃないと思うんですよね。やっぱり基礎練とか、単調なものを繰り返してると飽き飽きしたりとか、なんでこんなのを弾かなきゃいけないんだ、みたいな時って、少なからずあると思います。でもそれでも、好きなアーティストだったり、好きな曲を弾いてるときはそんな気持ちはあまりないのかな、と個人的には思っていて。好きな曲だからこそ練習できて、楽しく弾けるしっていうのがあると思うので。

そういった点で僕は、もう形から入るじゃないですけど、Cory Wongの弾き方とか体の角度だったりとか、そこらへんからCory Wongになりきるつもりで弾く。そういう練習をすることで、自分なりにCory Wongへの愛を音に変えることができるのかなって思っています。



――なるほど……貴重なお話、ありがとうございました。他の皆さんも、今回のカヴァーを通して学んだ、ご自身が担当されたミュージシャンに近づくポイントを教えていただけますでしょうか?

こみや:自分の場合は、さっきも申し上げたかもしれないですけど、結局、力強いタッチ。右手のタッチが大事だなというところで、毎日、愚直に強いタッチでベースを弾き続ける……自分のプレイを耳で聴いてフィードバックして、プレイに落とし込めるか、っていうのをやるだけだと思うので、やっぱり耳をたくさん使わないと上手くはならないんだなぁ……っていうのを再確認した機会になりました。

あとJoeっぽいフレーズって、やっぱりJoeのフレーズを完コピしない限りは派生してこないものかなと思っていて。短い期間で本当に全部完コピするのはなかなか難しかったので、どうしても簡略化せざるを得ないところはありましたけど、結局どの楽曲も好きだったら原則完コピして、なお自分の中に湧いて出るフレーズがあればそれを弾くみたいな……そういう順番なのかな、と思ってます。


――ありがとうございます。さえきさん、Nate Smithはどうでしたか?

さえき:Nate Smithは本当に上手くて完コピはできなかったんですけど、その中でも真似しようとしたことは音色です。普通は14インチのハイハットを使うんですけど、Nate Smithは15~16インチのものを使っていて。Nate Smithみたいに速く手は動かなかったとしても、ハイハットのサイズを変えることで、ちょっとそのサウンドに近づいたりとか。私もこのライブのために普通のものより大きいハイハットを買ったんです。あとはスネアのチューニングとか。そういうところは実力が追いついていなくても真似できるところだと思うので。

――なるほど。ハイハットのサイズが上がると、どう音が変わるんですか?

さえき:ちょっと音が低くなる感じですね。14インチはロックでよく使うものなので。(15~16インチだと)3点のドラムでも、より音のレンジが広がる気がします。あとNate Smithはバスドラの打面と当たるビーターも、柔らかめなものを使っていて。それでファンキーだけど、ジャズっぽい感じも出るかなと思います。


――ありがとうございます。おおえださん、Mark Lettieriについてはどんな練習を?

おおえだ:Mark Lettieriの身体の使い方をちょっとでもコピーしようと思って、左手の運指は全く同じにしようと思いました。すごい細かいことなんですけど、3フレット分を超えて動くときに、ずっと人差し指・中指・薬指で弾いていたところを、Mark Lettieriは人差し指・中指・小指で弾くんですね。だから近いフレットでも小指を使ったほうが、実は中指との分離がいい、っていうのに気づけたり。それで結構速いクロマチックなフレーズでも弾きやすくなりました。

あとはピッキングも、アップで弾くのかダウンで弾くのか、っていうのも、音ごとにスローで見て確認したり。それでちょっとでも弾きやすくなったり、本家に近いプレイができると思います。

――Markらしいフレーズもたくさん弾いていらっしゃったと思いますが、そういった練習は?

おおえだ:特にこのフィアレスで弾いているソロはけっこうブルージーというか、ブルース・ペンタみたいなフレーズが多いのかなと。そういう音選びや、あとピッキングもオルタネイトピッキングで弾いたり、時にはずっとダウンで弾くのが特徴的だと思います。そういう引き出しは自分の中にはなかったので、気合でコピーしました。

こみやさんが言ってた話とも被るんですけど、やっぱり最初はもうとにかく完コピするつもりでやる。結局、そのエッセンスを自分の中に入れるには一番いいんじゃないかなっていう気はします。




――ありがとうございます! とても貴重なお話がたくさん聞けて、素晴らしいインタビューになりました。最後に何か一言ございますか?

もりさだ:この場で言うのはあれですけど……すごい今更なんですけど、このフィアレスバンドに関しては僕1人ではできなかったことだと思うので、3人に感謝を伝えたいです。

こみや:こちらこそありがとうございます。

もりさだ:自分のなかでもすごい、レガシーとなる体験をさせてくれたバンドだと思いますし、本当に1人じゃできなかったなと……。服着せたりサングラス掛けさせたり、自分のわがままに付き合ってもらった部分もけっこう多かったので。この場を借りて……本当に今更ですけど、ありがとうございました。

ライブ後の集合写真

――YouTube的にも他にないクオリティー、レガシーとなる動画だったと思います!改めて、今回は本当にありがとうございました。フィアレスが来日したらみんなで一緒に行きましょう!笑



◆著者◆
Dr.ファンクシッテルー

イラスト:小山ゆうじろう先生

宇宙からやってきたファンク博士。「ファンカロジー(Funkalogy)」を集めて宇宙船を直すため、ファンクバンド「KINZTO」で活動。「KINZTO」と並行して、音楽ライターとしても活動しています。

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