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【親友回顧録】幸運なり我が人生

第一章「出会い」
北の地の、温泉街。合宿の会計係であったわたしを、会場の入り口で出迎えてくれたのが最初だった。髪は長く、長身で、わたしと同じような円いメガネをかけた大学生、ジヨン。

その夜は合宿に参加する多くの大学生が、入れ替わり立ち替わり大浴場へ。
「日本ではそうするものだと思ってた」と、後になって頬を赤らめたジヨンもその時は堂々とみんなと一緒にかけ流しの温泉を堪能した。文字通りの裸の付き合いから、わたしたちの縁は始まったのだ。

ジヨンと話をするのはドイツ語だった。お互いに専攻し、留学生活を経て習得した共通の言語だったから。わたしは「オンニ※」だったから、韓国語や日本語で話していたら堅苦しい関係だったのかもしれないが、ドイツ語では気にしなくて済んだ。
※韓国語の二人称の一つ。年上の女性に呼びかける時の表現。

夜の宴会でジヨンはわたしの隣にすわり、その時の好きな人の話とか、ドイツの大学院に進むのだとか、合宿が終わったら帰国前にどこへ行きたいとか、そんな話でひとしきり盛り上がった。そして最後にこう言った。

「わたしに日本語の名前をつけてくれない?」

そんな突飛な申し出を受けたのは初めてだったが、一晩考えて名前をあげた。直感的に、でもぴったりだと思ったその名前を、ジヨンは自分が大好きな日本のキャラクターと似てると言ってとても喜んでくれた。以降永らく、わたしはジヨンに宛てた手紙の冒頭にいつもその名前を書いた。

Meine liebe Kokoro,…



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