Multilingual Parenthood

こたえはきっと自分の中にある。他者と比べない人生を送りたい。

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最近の記事

わたしの「お仕事」ーー翻訳

小学生の息子から、インタビューを受けた。 「あなたの仕事はなんですか?」 説明を兼ねて「外国語を日本語に変換する仕事」と伝えたら手元の ノートに息子は「翻訳」と書いた。・・・知っていたのか、その単語。 ①「何が楽しい?」 ②「何が大変?」 ③「どんな人におススメの仕事?」 矢継ぎ早に聞かれるも、答えは自分の中で案外と整理出来ていて、スラスラっと出てくる。 ①「たくさん本が読める。新しいことがわかる。一日に何度も『へえー』って感服できる…」 ②「誰にも『はい、これで良いで

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    • 【親友回顧録】幸運なり我が人生 ⑥

      写真を眺めていると、そこに写る親友の姿がまるで昨日の姿のように見えてくる。親友が抱いているのは我が家の娘ーー今年10歳になった。つまり、この写真も10年前のものだ。 あの日、娘を連れてジヨンを迎えに駅まで行った。勝手知ったるもので、韓国はソウルから兵庫県にある我が家の最寄り駅までジヨンは少しも迷わずやってくる。宿はある、風呂もある、Wi-Fiもあるし、何より友がいる、ということで訪日の際の目的地はもっぱら関西になったという。無論、関西圏には朝鮮語の通じるコミュニティも少なく

      • 【親友回顧録】幸運なり我が人生 ⑤

        奇跡は起こるものであり、案外と起こる。 ジヨンとの出会いはまさに人生最大の奇跡であった。隣に座っても、ずっと静かに黙っていられる相手がジヨンという存在だ。ちょうどムーミンとスナフキンのように、いつも近くにいるわけではないのだけれど、いつも自分の心が相手のすぐそばにある。人生100年世代とはいえ、100人の友達は出来ない(知り合いは出来ると思う)この人生で、出会わなかったら人生無意味と言いたくなるような親友を得たのだから。ジヨンの存在ゆえに、わたしは「奇跡は起こる」のは真実で

        • 【親友回顧録】幸運なり我が人生 ④

          ジヨンはクリムトが好きだ。ゴッホも好きで、フェルメールも好き。美術に関して造詣が深い。 一方わたしは、母親に連れられて幾多の美術館へ足を運びはしたものの、通り過ぎたるだけで絵画その他の美術品に対して何も感じない人間だった。 ジヨンのおかげで、美術がわたしの世界に入り込んできたことは間違いない。今はフェルメールが好きだ。光と影のコントラスト、女性の顔のうつむき加減、こんな風に台所に立っていたんだな、と暗くて見えにくくて、気がついたらこんなところにカビが生えてた!なんて日常茶

          【親友回顧録】幸運なり我が人生③

          わたしとジヨンは本当に似ていた。食べ物や身に着けるもの、身近に置いておくものの好みだけではなく、生きるペースや思いつく内容とそのタイミング、朝起きてから仕事に取り掛かるまでのルーティンといった、わたしたちをわたしたち「たらしめている」ことの諸々が似ていた。 わたしたちは明るさよりも暗さの目立つ子どもだった。アジア人であり、女であり、職業を持っているわたしたちには、いつだって「差別」が身近で、それと闘っていた。 研究会に行ったら他は全員男性で、祝辞を述べた会長はジヨンを飛ば

          【親友回顧録】幸運なり我が人生③

          【親友回顧録】幸運なり我が人生②

          アパートのポストはドアに直接開いた穴で、手紙が投函されれば玄関の三和土にハラリと落ちるようになっていた。 そこにすべり落ちたジヨンからの手紙は、何通あったのだろう。旅先からハガキをくれることも多かったが、異国の香りをそのまま染め付けたような、味のあるハガキを選ぶ人だった。ある時はベルリンから、ある時はパリから、またある時は帰郷したソウルから。何度も何度も手紙をもらった。 わたしもまた、ジヨンに宛てた手紙に書くことを考えながら日常を過ごしていた。すでにスカイプやライン、フェ

          【親友回顧録】幸運なり我が人生②

          【親友回顧録】幸運なり我が人生

          第一章「出会い」 北の地の、温泉街。合宿の会計係であったわたしを、会場の入り口で出迎えてくれたのが最初だった。髪は長く、長身で、わたしと同じような円いメガネをかけた大学生、ジヨン。 その夜は合宿に参加する多くの大学生が、入れ替わり立ち替わり大浴場へ。 「日本ではそうするものだと思ってた」と、後になって頬を赤らめたジヨンもその時は堂々とみんなと一緒にかけ流しの温泉を堪能した。文字通りの裸の付き合いから、わたしたちの縁は始まったのだ。 ジヨンと話をするのはドイツ語だった。お互

          【親友回顧録】幸運なり我が人生

          動きを止める

          「カエルの声、聞こえる?」 子どもたちに声をかけると静かになりました。 空中を見つめ、耳を澄ましています。 わたしの耳には田んぼで鳴くカエルの合唱が聞こえた(ような気がした) のですが、子どもたちは数秒間の沈黙の後「何も聞こえないよ」と 遊びに戻っていきました。 あんなに大騒ぎして遊んでいた三人の子どもたち。 カエルの声を聞こうとピタっと動きを止め、シーンとなりました。 すごいな、知ってるんだな。小さな音、遠くの音を聞くためには こちらの動きを止め、音をたてないように

          生きる意味=生きる

          benesse よく生きる 教育に携わるベネッセという会社の名前であり、キャッチフレーズ。 これはラテン語に由来するbene(良い、良く、正しく)とesse(ある、いる、生きる、存在する)で作った言葉だそう※。( )内は筆者が調べた※https://www.benesse.co.jp/purpose/参照 わたしが大好きなドイツ語は、ラテン語から作られた単語を多く含む言語で、上に挙げたesseから派生した動詞がある。ドイツ語の動詞は-enを語の最後につけるのだが、その動詞

          生きる意味=生きる

          日本手話とドイツ語が似てる①

          こんにちは。 言語の勉強が好きで色々な言語を学習しています。英語、ドイツ語、ときて現在は日本手話をやっています。広く浅く、ではなく一つずつ深く、というのがわたしのスタイルです。時間はかかりますが、とても好きなことなので人生きっとこれに捧げるのだろうと思っています。 自身の突発性難聴がきっかけで日本手話を学び始めて、1年が過ぎました。 週に1回、2時間という限られた学習ですが、自分なりに学習を重ね、ふと思ったのです。 「…ドイツ語と似てる」 それを先生に伝えたら「日本手話

          日本手話とドイツ語が似てる①

          目で見るまで決めない強さ

          うわさ話や、想像だけで「ああだ」「こうだ」と悩んだり困ったり、恨んだり嫌ったりすることってありませんか?対象がモノであれ、人であれ、概念であれ、まだ自分の目で見ていないのに判断してしまうことが。 冒頭の写真は、日本を歩いて確かめて、その形=地図を浮かび上がらせた人物「伊能忠敬(いのうただたか)」さんの像です。一歩69センチで日本中を歩き、測量し続けた方です。 この方の伝記にあり、思い出すと気持ちが強くなる言葉があります。 あまり利口になるな 想像でものを言うな 自分の目

          目で見るまで決めない強さ

          和製英語というけれど

          「和製英語」という表現を皆さんは使うことがあるだろうか。 ハンドルとか、フロントガラス、バックミラーなど車の部分名称が よくその例に出され、英語でこれらを話題にする際に「そのままだと 通じませんからご注意ください」のように扱われている。 いわばカタカナ語と同一のような気もするが、専門家じゃないので置いといて、いずれにせよ私がここに申し上げたいのは「和製英語」と呼ばれる言葉の数々は決して「和製」の「英語」ではない、ということ。 これらは全て「日本語」だ。 ホットケーキ、プリ

          和製英語というけれど

          新生活は緩めにスタート

          春は崩れる。 天候も 体調も テンポも 涙腺も 仕事や学校の年度は、3月の大忙し状態で終わりを迎え、4月に調子が出ないまま新たな始まりを迎える。気持ちがついていかないばかりか、体調も優れない。転職と重なるとなおさら、よほどお給料がアップでもしない限り気分も晴れず憂鬱だ。 そういう人に「でも、それでいいの」と伝えたい。 別れがあって涙を流して、 出会いがあって緊張して、 花粉を吸って喉が痛い。 そんな季節に疲れないなんて、無理ムリむり。崩れるのが、自然。別れも変化もあ

          新生活は緩めにスタート

          翻訳するフリーランス&3児の母の日常

          自分がフリーランスになって、翻訳をやろうと立ち上がった時、 「翻訳、フリーランス、育児、両立…」といった検索ワードを並べて敵を知ろうとした。 流れがわかると、少しは安心してスタートが切れるはずだと思って。 この先、そういう方が立ち上がる時、わたしのルーティンが少しでも安心材料になったらうれしい。そんな気分で書いてみる。 【朝】 夫が先に起きて、乾燥機終了後の洗濯物を片付ける 息子が起きて、学校の準備を始める(時々宿題も朝やっている) 娘が起きて、わたしを「もう起きよう」と

          翻訳するフリーランス&3児の母の日常