令和7年度の税制改正大綱に思う
令和7年度の税制改正大綱
今日は料理の話ではなく、我々の生活にも少し関係ある税についての話。
本日、政府与党は令和7年度の税制改正大綱をまとめました。
「壁」の議論
いちばん大きな焦点だったのは、現行103万円以下が所得税非課税となる103万円の壁について。
こちらをまずはおさらいすると、103万円を基準に考えるのは給与所得限定の話です。給与は経費になるようなものが無いため、丸々課税するのではなく、給与所得控除という概算の経費のようなものがあります。この最低限度額が55万円。次にだれでも引ける48万円の基礎控除(←正確には合計所得金額が2400万円以下の人限定)。
この2つを合わせると給与103万円。給与103万円以下の人は所得税が非課税になります。そしてこの給与103万円を超えるかどうかで、他の家族の扶養に入るのかどうかという点も影響が出てきます。
本年の衆議院総選挙で与党が過半数割れになったため、来年の予算案・関連法案の成立にはどうしても野党の協力が必要な状況であるため、政府与党は野党の一部と政策協議を行ってきました。協議していた野党が求めたのはこの103万円を178万円にすることでした。
与党側の税調がこの103万円を現行より20万円増やした123万円にしたいと押し切ったため、協議は決裂し、本日の税制改正大綱の発表となったわけです。
誰でも20万円所得が控除されるのか？
では20万円壁が後退したことにより、誰でも20万円控除が増えるのか？
どうも違うようです。基礎控除が10万円増えることは、よほどの高収入層でない限り恩恵に預かるでしょう。
問題は給与所得控除の最低額が10万円増えるというレトリックです。大綱では最低額を10万円増やすと言っているだけで、全員10万円増えるわけではなさそうです。
給与所得控除は最低55万円から、最高195万円(←給与収入850万円で頭打ち)です。どうやら最高額が205万円になるという話ではなさそうです。
現在の特定扶養控除が改正されるようです
現在、19歳から22歳の扶養者を抱えている方は、扶養控除63万円受けられることになっています。これを特定扶養控除と言います。通常の扶養控除38万円より額がおおきいですね。
19歳から22歳というと通常は高校卒業して、まだその上の学校に通うご子息を扶養に入れている親御さんが恩恵を受けるということになります。
扶養に入る要件は合計所得金額が48万円(←給与収入103万円)以内です。しかし、近年の経済情勢により学生でも103万円を超えてアルバイトなどしながら学生生活を送る方が増えてきました。
給与収入103万円を超えると親御さんは63万円の控除を一切受けられなくなるため、親御さんの税額に大きな影響があります。近年はマイナンバー制度により、学生さんのアルバイト収入を厳しく捕捉するようになってきました。(私が大学生だった30年近く前は、給与収入103万円超えても意外とバレないケースが多かったようです。)
さすがにこれは気の毒だということで、配慮するような改正になるようです。ただ、配慮するのはいいのですが、それがスライド式で控除額が変わっていくという、とても面倒な方向で検討しているようです。
こうやって税制はどんどん複雑になります。
あるべき税制についての意見
私は税の専門研究科ではありませんが、意見を述べさせてもらいます。
この10年で2度の消費税率アップがありました。平成２6年4月1日に税率が5%から8%に。令和1年10月1日から税率が8%から8%と10％の複数税率になりました。
現在、国の税収の一番大きな柱は消費税になりました。消費税は逆進性が高いため、税率が上がれば低所得者ほど負担が大きくなると言われています。
ただ国はあくまで消費税中心の税制で行こうと思っているようです。それなら可処分所得を増やし、消費に貯蓄が回るような経済状況を作らなければ、消費税の税収も思うようには増えないはずです。(そんなこと言っても、政府の税収は過去最高らしいのですが。)
つまり、消費を増やすことで、税収に繋げるような経済政策を行う責任が政府にはあると思います。
現在の経済状況はそれに逆行しており、消費税の負担が大きくなり、所得税の負担が減らないという二重の搾取の状況ではないでしょうか。
どうも与党の税調の議員先生は、税の専門化であるかのように幅を効かせていますが、経済政策とセットに税制を考えるということは、いい加減な感じがします。
だから、税の専門家を自認するような人の言い分を、まともに受け止めない方がいいと思います。
(ここに住民税の議論も入ってくるのですが、そこは話が複雑になるので割愛します。)
税の専門家と一口に言っても色々です。申告書を作れる人、節税スキームを熟知している人、税体系を理解している人、税務署に顔の利く人・・・色々いるのです。議員の先生は、どうすれば税収を維持できるかという意味での専門家に過ぎません。
これからも、どういう税制がいいのか、折に触れて考えていきたいと思います。
今日の三食
朝食
味噌汁(小松菜、モヤシ、ナス、生姜、ニンジン、ワカメ)
ご飯
納豆にタマネギ入れ
昼食
近所で買ったサンドイッチ(タマゴ、ポテトサラダ)
モヤシのナムル
ピーマンの酢の物
夕食
レトルトの親子丼にタマネギ、海苔乗せ
味噌汁(水餃子、ニンジン、モヤシ、生姜、ワカメ)
