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momono_essay
12月に読んだ本
『対馬の海に沈む』を読んだ
書店で平置きに並んでいて、ふとタイトルが気になり、SNSで評判を検索したところ絶賛されていたので購入しました。
あらすじは👇
人口わずか3万人の長崎県の離島で、日本一の実績を誇り「JAの神様」と呼ばれた男が、自らが運転する車で海に転落し溺死した。44歳という若さだった。彼には巨額の横領の疑いがあったが、果たしてこれは彼一人の悪事だったのか………? 職員の不可解な死をきっかけに、営業ノルマというJAの構造上の問題と、「金」をめぐる人間模様をえぐりだした、衝撃のノンフィクション。
読んでみて・・・(微ネタバレ)
2週間程で読み終えました。
ずーっと衝撃でした。
JAには、農家から農作物を買い取って全国へ流通させる、そんな浅い知識しか持っていませんでした。
しかしながら、現在は共済事業(保険)の売上比率が非常に高まってきているようです。生命保険・自動車保険・火災保険など販売していて、まるで保険会社の営業マンのようです。私が抱いていたじゃがいもやキャベツを仕分けしているイメージとはだいぶかけ離れていました。無茶なノルマを達成するために自分や家族が保険に入る、いわゆる「自爆営業」を行う職員が後を絶たないようです。
作中では、西山というJA対馬のスーパー営業マンがいかにそのノルマを達成してきたか、達成せざるを得なかったのか、そして自ら命を絶つに至ったのかが描かれています。特に日本のムラ社会の有り様が描かれている箇所はとても面白かったです。西山と共犯関係にあったのは島民でもある、と。
作者の窪田さんの執念を感じる取材、実名もバンバン出てくる記述にはハラハラさせられます。集英社が訴えられないのか心配です。
とても読み応えがある本でした。