球団ヒストリー44.スポンサー企業に訊く~ユーミーコーポレーション(株)Ⅰ
2012年4月、チーム名を『鹿児島ドリームウェーブ』に変更したと同時に発足した後援会。
発足当初から変わらず後援会長を務めてくださっているのが、選手の所属企業のひとつでもあるユーミーコーポレーション株式会社(後援会発足当初は弓場建設株式会社)、弓場昭大社長である。
会社としての余力
ご存じの方も多いと思うが、ユーミーコーポレーション株式会社といえばプロバスケットボールチーム鹿児島レブナイズのオーナーだったこともある企業。鹿児島県内を中心に、建設業や不動産業を展開している。
「プロスポーツチームを持つのが夢でした。
それは会社としての余力ができたという一つの通過点でもあるから。
鹿児島のメジャースポーツは、ほぼスポンサーとして名を連ねています」
失礼ながらだいぶ強面でいらっしゃる弓場社長、見た目とは全く違う落ち着いた優しい声で話してくださった。
球団代表との関係
弓場社長と球団代表國本さんは同い年。
2008年ごろにビジネスを通して知り合い、以降は飲み友達でもあるという。
「國本くんがいちばん一緒に飲むのは自分です。間違いない」とおっしゃるくらいなので、このご時世になる以前は幾度となく語り明かしたのではないか。
くだけた話も仕事の話も幅広く交わすが、当時のホワイトウェーブのことが話題に挙がったのは、知り合って2年ほどたってからだという。
当時のホワイトウェーブといえば、練習には数人しか来ないし公式戦もあわや棄権という完全なる低迷期。
國本代表、当時はまだチーム運営を監督コーチらに任せており、野球に関することは業務時間外にやっていた。試合も今のようにすべて見に行くことはなく、あくまで仕事が主体。野球は趣味みたいなものだから、そんなに時間を割いちゃいけない、というような思い込みがあったと語ってくださったことがある。
しかしそれではチームが崩壊寸前。どうしたらいいのかと悩んでいたことが飲みの席でぽろりと出てしまったのかもしれない。
「なにかできることがあれば応援するよ」
弓場社長(当時は専務)が声をかけたのはそんなときだった。
お金を出しているというより気持ちを出している
野球、バスケットボール、プロレス、ボクシング、男子ゴルフ、女子ゴルフ、ダーツ…
ユーミーコーポレーション(株)がスポンサーをしているスポーツは多岐にわたり、それぞれの状況に応じて支援のしかたも違うそうだ。
プロスポーツを応援したい、そこを目指す人を応援したい。
それは「アスリートって純粋にそこだけ。駆け引きとかなく気持ちがいい」からだと話す弓場社長。
「メリットってあるんですか?」
なんとも的外れな私の質問にも、丁寧にこう答えてくださった。
「すべてのスポーツに対して言えることですけど、メリットってほぼほぼないです。お金を出しているというより、気持ちを出している」
ボクシングやゴルフは個人競技だから、その選手個人を応援するスタンス。
しかしドリームウェーブへの応援はそれとは少し違う。
「ドリームウェーブの場合は、誰を応援しているかというと國本代表です。
損得なしでやっているし、彼の心が折れたらチームが消えるから」
つまり國本代表に、純粋にチームを強くしたい、続けていきたいという掛け値なしの想いを見たのだろう。
鹿児島ドリームウェーブとしてリスタートするのと前後してスポンサーとなってくださったのには、そんな背景があったそうだ。
自然と後援会会長に
そして、同じ歳で数年来の飲み友達。
他のスポンサーの方々より距離感がとても近い。
後援会を立ち上げるから会長に、と持ちかけられたとき「その中なら俺でしょう」と弓場社長がお引き受けになったのは、あまりにも自然な流れだった。
今回記事を書くにあたって、ホームページに掲載されている後援会長の“御挨拶”を再度読んでみた。
おそらくこの文章を書かれたのは後援会が発足した2012年ごろ。そして私がお話をお聞きしたのは2021年末。約10年が経っても少しもブレのない姿勢に、感動を覚えたのでした。