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素因数分解と最小公倍数(江戸川女子中2023)
【 】の中には2以上の整数を入れるものとし、【A】で1からAまでの数の最小公倍数を表すものとします。例えば
【3】は1, 2, 3の最小公倍数を表すので、【3】=6
【4】は1, 2, 3, 4の最小公倍数を表すので、【4】=12
となります。このとき、次の問いに答えなさい。
⑴【6】を計算しなさい。
⑵【16】÷【13】を計算しなさい。
⑶ 次の□に入る最も小さい数を答えなさい。
【□】=【□+3】
ただし、□には同じ数が入ります。
最小公倍数を素因数分解によって求めるときの仕組みを正しく理解しているかどうかを測れる良問です。
(解)
⑴
1〜6までの整数をそれぞれ素因数分解する。ただし、1は素数を約数に持たないため省く。
2=2
3= 3
4=2 ×2
5= 5
6=2 × 3
(見易さのために共通する素因数は縦にそろえた)
よって、【6】=2×3×2×5=60.
⑵
⑴での実験から、【A】を素因数分解したときの各素数の掛け合わされた個数は、1〜Aまでの整数のうち、各素数の累乗で表される最大のものを調べることにより知ることができる。
例えば⑴では、1〜6までの整数のうち、2の累乗で表される最大のものは4=2×2だから、【6】を素因数分解したときの素因数2の個数は2個である。
1〜16の整数のうち、各素数の累乗で表される最大のものを調べると、
2→16=2×2×2×2
3→9=3×3
5→5
7→7
11 →11
13 →13
よって、【16】=2×2×2×2×3×3×5×7×11×13である。
一方、【13】は、素因数3、5、7、11、13の個数は【16】と同じだが、1〜13の整数のうち、2の累乗で表される最大のものは8=2×2×2だから、素因数2の個数は【16】より1つ少ない。
つまり、【16】=【13】×2である。
したがって、【16】÷【13】=2.
⑶
⑵の実験から、【□】=【□+3】が成り立つためには、(□+1)〜(□+3)までの整数の中に、素数の累乗で表されるものが含まれてはいけない。逆に、含まれなければ【□】=【□+3】は必ず成り立つ。
例えば□=13のとき、⑵で調べたように、14〜16までの整数の中に、16という、2の累乗で表される数が含まれているため、【16】は【13】よりも2の素因数が1つだけ多くなる。そのため、【□】=【□+3】が成り立たない。
そこで□=16以上のものに見当をつけ一つずつ調べると、最小で□=19のとき、20〜22までの整数の中に、素数の累乗で表されるものが含まれないことがわかる。(終)
ひとこと
最小公倍数と素因数分解の関係を正しく理解しないうちから、連除法などによる「うまい方法」で解けることに満足していると、このような問題で痛い目を見ます。整数に関する問題は、小学生にとっては非常に抽象的で難解なものが多いですが、まずは多少垢抜けなくてもよいので、数字を紙にいっぱい書いて、うんと考える習慣をつけてください。すると抽象的な整数の発想にも、いつの間にか親しみを感じられるようになるはずです。